慈悲欠落者
「あー帰りたい、こんな世界マジありえねー、帰りたい帰りたい」
龍也はそんな愚痴をこぼしながら子供を抱いて歩いている。
「しかも手紙が頼りって言っても、おれには全然読めねーよ!」
なんて書いてあるんだ?過去の手紙ってこんななのか?わかる字がところどころあるだけで、全然理解できない!まぁ多分この手紙は知り合いに宛てた手紙でこの子供の事とかいろいろ書いてあると思うけど。
そんなとき龍也は民家を見つける。
「あそこの人に聞いてみるか」
龍也は民家の人に手紙を見せて、この子供を両親のところに連れて帰りたいことなど説明した。
民家の人は龍也の服装などを見て戸惑っていたが手紙を読み、答えてくれた。
「あー、この山を越えたらもうすぐそこだよ、山を越えたら民家があるから、またそこで聞けば家まで帰れるだろう」
「ありがとうございます」
龍也はお礼を言って、歩きだす。
この民家の人は良い人そうなので、子供を渡して自分は逃げようと思ったが、この子を命懸けで守った女性から、まぁ周りには龍也しかいなかったが、渡された責任感から、そんな考えはすぐ消えた。
それに訳も分からずタイムスリップして、海賊に殺されかけた今の龍也にとっては、何か目標が必要でこの子が今の龍也の行動理由になり、とりあえずは理性を保っていられた。
だが出てくる言葉は「帰りたい帰りたい帰りたい」だった。
「くそー!疲れたー!ちょっと休憩だ!一体いつになったらたどり着けるんだよ!」
さすがに子供を抱いて山を越えるのはしんどい。
「しかしなかなか強い子供だな、全然泣かねーし」
龍也に懐いたのかはよくわからないが、その子供は泣いたりせず、龍也にくっついていた。
「しかしけっこう肌黒いんだな、まだ喋れないから1、2歳だと思うけど、けっこうデカいし」
だから重いんだよ。
「うわッ!?背中に毛がはえてるのか!?」
なんておもしろ半分で子供を見ていたら、「おい!身ぐるみ置いて行け」と刀を持って龍也に迫ってくる山賊が1人現れた。
「さ、山賊ッ!?」海賊もいたから山賊もいるだろうと思っていたが、実際に現れるとビビった。
「おらー!」山賊は龍也に襲いかかる!
それを間一髪で交わす、そしてすかさず龍也は砂を山賊に投げる、「ぐわっ!?」と目くらましが成功して、その隙に龍也はこぶし大の石を手にとり、山賊を殴りつける!
海賊との戦闘では恐怖しかなかったが、今は死にたくない、生きていたい、帰りたいと言う一心で龍也は山賊を殴りつける!
龍也は危機的状況化で生き抜くと言う非凡な才能が覚醒しはじめる。
「どうだッ!!おれに勝てると思ったか!?おれは強い!!おれは死なない!!」
何度も何度も山賊を殴りつける!龍也はかなり高揚していた、龍也はいままで味わった事のない興奮を覚えた。
もうすでに山賊は動かなくなっていたが、龍也は手を止めなかった。
子供が泣き出して、我に返る龍也。
「心配すんな!おれが絶対守ってやる!」
龍也は生きがいを感じていた。
「おいおい!やられちまったのかよ!?」
龍也が倒した山賊の仲間が2人現れた。
「こんな小僧に負けるとは弱い奴だ!しかもなんだその格好は?」 「異国の服って高く売れそうだな!」
龍也は倒した山賊の刀を取り構える。「来いよ!返り討ちにしてやる!」
「なめんな!小僧!!」
山賊の1人が龍也に襲いかかる。
「ハアッ、ハアッ、ふッ!」龍也は山賊の手を切り落とす。
「ぐわー!?いでー!?」そしてもう一度斬り、山賊は倒れる。「ハッ!おれは強い!おれは不死身だ!」
「この野郎!!」もう1人の山賊が後ろから龍也に斬りかかる!それを刀ではじき、次の瞬間、龍也は山賊の首筋を斬りつける。
首筋から血が吹き出し怯えだす山賊「もう勘弁してくれっ!?許してくれっ!?助けてくれっ!?」
しかし山賊の言葉を聞かず、龍也は容赦なく山賊のお腹に刀を突き刺した。
「がはっ!?・・・貴様・・・」倒れる山賊。
「ハハッ!おれは最強だ!おれはここでこそ生きていける!おれの生きる道はここだ!」と完全にこの時代に酔いしれた。
泣きじゃくる子供を抱いて歩きだす龍也。
「大丈夫!必ずお前は家に帰してやるよ!」
そっからは自由だ!好きなように生きてやる!この世界は最高だ!剣ひとつでなんでもできる!さっきの山賊から奪った刀は持って行こう!これでおれは無敵だ!
龍也がその場を離れたあと、3人の山賊達の無惨な姿を発見して笑う男。
「面白い奴がいるみたいだな」




