悲劇SHOW ―被害者:M―
放課後、私は足早に屋上へと駆け上がった。
屋上へ着くと、私より先に、大介がいた。
…にしても、あの憎き要と大親友の愛乃が付きあうなんて、どういう風の吹き回しなんだろう。
「んあぁ、何か腹が立つぅぅ!!」
と叫ぶと、大介が心配そうな顔をした。
「なんか悩みでもあるの?聞こうか?」
…はぁ、どっかのウザい奴と比べて、なんて心優しい人なんだろう!!
「えっへへ、いや、大丈夫だよ〜」
私は今、口がつりあがっている。確実に。
でもそんなのは関係ない!!
何を隠そう、大介は私の…彼氏なのだから!!
そんなことを思ってるうちに、ふとしたことを思い出した。
「そういえば愛乃…怒ってるだろうな〜」
私は悪気はなかったのだが、つい秘密を漏らしてしまった。そう、悪気は、ない。
そう後先の事を考えてると、来るとはわかっていても来てほしくないあいつが来た。
―要だ。
「あれ、アイツいねぇの?」
要は愛乃のことを言っているのだろう。辺りをキョロキョロ見渡している。
私は愛乃を待つ間暇だし、からかってやろうと、思った。
「いやぁ彼氏さんだから?やっぱ?彼女さんのことが?心配なのかな?」いやあ、気分爽快だ。
「は?当たり前だろ…って、オイ!!」
要は、案の定食いついてきた。
そこへ追い打ちをかける。
「当たり前?やだ~。本音が口に出てるよ、ヒヒ」
と言うと、要は私に手をあげた。そこで大介は要の手を押さえ付けてくれた。流石…!!
とまぁそんなことをしていると、屋上のドアが開いた。…きた!!
「愛乃遅刻ー!!何分待ってると思ってんの!?」
まぁ、遅れた理由はだいたい分かってるし別に怒ってるつもりはないが、なんとなくからかってみる。愛乃をからかうのは私の日課だった。