二人の女神
「あっ、ヤシロさーん!」
艶のある黒い長髪、整った目鼻、手を振る度にぶるんぶるんと揺れる乳房。
皆さんもうおわかりだろう。
「ベルナデット!」
そう、黒髪の巨乳シスター、ベルナデットである。
……ってなんでここに居るんだ?
一昨日に別れてから連絡が取れなかったベルナデット、一体何してたんだ?
「近くまで来ていたからわらわが喚んだのじゃ」
日傘を挿したパイモンが自慢気に言う。
「お疲れ様です、ヤシロさん。いやー驚きましたよ、クオンさんの応援にでもと思って来てみれば、コロシアムに入るか否かと言うところでこの魔族に勝手に転移させられて……次から勝手にしないでくださいね!」
「気が向いたら、な。キキッ!」
怒るベルナデットにニマニマと笑いながら煽るような事を言うパイモン。
こいつら仲良くできんのか?
……無理、だろうなぁ。
「ユウ、その娘のことをあたし達にもちゃんと紹介しておくれよ。まだ名前を教えあっただけでね」
俺たちのやりとりを見ていたトーレさんがそう言うと、リリルリーもその隣でコクコクと頷く。
「ヤシロさん私も気になります!この女性とどう言う関係なんですか!?」
パイモンと睨み合ってたベルナデットが過剰に反応を示す。その視線はベルナデット自身の大きな胸に並ぶ大きさの褐色っぱい(褐色おっぱい)に向けられている。
……あれ? そう言えば今この場には作中最高クラスの巨乳の持ち主であらせられる乳神様が二人も光臨してるって事で……天国!?桃源郷!?
「そんな事より二人とも水着きな、いですよねはいごめんなさいだから銃口ゴリゴリやめてぇ!!」
べ、ベルナデットの野郎!全部言い切っていないと言うのに俺の眉間に銃口をつきつけてさらにゴリゴリと捻り込みやがるっ!最近おとなしくなったのにこの娘やっぱデンジャラスだ!
「私は、真面目に聞いてるんです!」
頬を膨らましプンプン!と怒った表情のベルナデット。不覚にもかわいいと思ってしまった。
「わ、わかったわかった……関係、関係ね……」
正直トーレさんとの関係と言われてもこれと言った関係じゃないんだよな。知人以上恋人未満?なんかそれも違うなぁ。
「あっ、そうだ。おもブベェッ!?」
お漏らしを見た関係、と言おうとしたが直前に顔面に見えない何かがぶつかり仰け反る俺。
恐らく、と言うか間違いなくだがトーレさんの攻撃だ。だって笑ってるのに俺を見る目が笑ってないんだもん。「言ったら……わかってるね?」って感じの殺気もだだ漏れだし。
「おも?」
「い、いや何でもない。そ、そうだな……共に死線を越えた仲、って感じか?」
バジリスクの群の中に放り込まれたって意味じゃ間違ってないな。……うん、トーレさんもこれなら満足そうだ。
「トーレさんとリリルリーにはルクセリアで会ったんだ。特にリリルリーとはグラード荒野でも一緒に戦ってな、」
(恐らく魔法かなんかで人払いしたのだろう)一人分空いていた席に腰を降ろしながら続ける。
「ま、まだ小さな女の子にしか見えませんが……」
「内緒。けど、ユウの足手纏いにはならない自信は、ある」
驚くベルナデットに自信有りげに答えるリリルリー。まぁ『時の魔女』だしね。 時間停止なんてチート技使える以上足手纏いになるわけないし。
「んでベルナデットとはリズワディアで会ったんだ。そっからの付き合い」
そう言えば最初は俺の命の狙ってたんだよなぁ。随分と昔の事みたいだ。
「コホン。改めて、神聖ウルキオラ教団所属、『代行者』のベルナデットです。……ヤシロさんとは……胸を揉まれたりする仲です」
「はあああああっ!?」
な、ななな何言っちゃってんのこの娘おぉぉぉっ!?
「本当のことじゃないですか。この間なんて水着を着てるのを言い事に好き勝手されましたし」
頬を赤くして身体をクネクネと揺らすベルナデット。
確かに、確かに胸を揉んだり水着の上から好き勝手揉みしだかせていただきましたけども!あーたその後マジギレしてたじゃないのさ!
何?何が今俺の身に起こってるの!?
「……それは恐らく、ユウの性欲が暴走した結果の事。貴女との仲とは、関係ない」
混乱しっぱなしの俺を放ってリリルリーがそう切り出した。
「そしてヘタレなユウの事だからそのボディタッチ以上の事は出来ていない。……違う?」
「むむっ……違い、ません」
悔しそうに肯定するベルナデット。てか今俺何気にディスられた?ねぇリリルリーさん?リリルリーさん!?
「まさかヤシロさんにこんなお仲間が……わ、私も負けていられませんね」
腕を組んで神妙な顔してぶつぶつと呟くベルナデット。
勝ち負けとかあんのか?
……うん、この前の変な感じは無くなったみたいだな。
ベルナデットと別行動をする際に見せた思いつめたような表情は今のベルナデットには見られない。
「?」
俺がベルナデットを見ているとベルナデットは首を傾げた。
いろいろ聞きたい気持ちもあるが……ここで聞くのもなんかあれだしな。
今日の試合が全部終わった後にでも聞いてみるか。
『続いて第二試合一戦目へ移行します!』
ウサギ耳の司会嬢のアナウンスが闘技場に響き渡る。
計四戦を終え、新たに四つの試合が行われるのだ。
「初戦はイーブサルの野郎と、シード枠の一人、か」
「さっきのを見る限り、まともな奴じゃ相手にもならないだろうけどね」
トーレさんが苦笑気味に俺の言葉に続く。
「イー…? 誰です?知り合いですか?」
首をコテン、と傾けるベルナデット。そう言えばベルナデットはちょうど見てなかったのか。
「まぁ知り合いだな」
「女性ですか!?」
クワっ、と凄い気迫で俺に詰め寄るベルナデット。何が彼女をそこまで本気にさせるのか。
「お、男だよ」
「ふぅ、それはよかったです。これ以上女性キャラが増えるのは困りものですしね」
若干気圧されながら答えると安心したようにベルナデットは胸を撫で下ろした。 俺的には一向に困らないんですがねー!
「「「うおおおおおおおっっ!!」」」
赤毛が特徴的な上半身半裸の男、イーブサルがリング上に現れると、観客の歓声が爆発する。
熱気渦巻く観客席に腕を振り上げ応えるイーブサル。……なんつうか、場慣れしてんなアイツ。
「へぇ、あの方が……ずいぶんとこう、ヤシロさんとはタイプが違う方なんですね」
確かにイーブサルと俺は見た目には真反対に見えるな。片や髪を赤くそめたヤンキー、片や真面目な好青年ときたもんだ。
「真面目?好青年?」
「……こんにゃろ」
俺を見てわざとらしく首をかしげるリリルリー。あれ、つか今俺口に出してた?
「主はぶつぶつと呟く癖があるようじゃな」
ううむ、気をつけんとな
『では第二試合一戦目、拳聖イーブサル・ドラ・グレゴリア・バランシェル対、拳闘士ウォン・リー……|戦闘≪デュエル≫、開始!』
ウサギ耳の司会嬢が宣言すると同時に先に動いたのは、
「速い……!」
「ただの雑魚、ってわけじゃないみたいだねぇ」
イーブサルではなくその対戦相手、ウォン・リーとか言う拳闘士だ。
速い、と言ったがイーブサルやクオンが見せた程の速度ではない、だが、たった二歩で数メートルは離れていた距離を詰める程には、速かった。
特殊な歩行術を用いていない、純粋な脚力によるそれは、一般人でもかろうじて理解できる速力であるが故に、見る者に驚きを与えた。
そう、
(やるじゃねぇか、コイツ!)
強者の出現に歯を見せ笑う男、イーブサルにも。
ベルナデット合流~。
これで勇のハーレムが揃いましたね(笑)
特殊な歩行術と言うのはクオン等が使う縮地みたいなことです。ちなみに勇も特殊な歩行術は用いてませんが存在がバグみたいなものなのでノーカウントです。




