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鳴き声は……返る  作者: アル治


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10/10

第10話  欲望

最終話になります、今まで読んでいただきありがとうございます。

気分は大丈夫でしょうか?

4人家族がいた。


父、母、そして子供が2人。

男の子と女の子。


父親の仕事は――ブリーダー。


家族全員が、それを知っていた。


「この犬、もう子供産めないな」


父親が言う。


迷いはない。


「もうダメだ」


保健所に連絡をする。


「飼えなくなったので引き取ってください」


だが、断られる。


「その理由では受け入れできません」


父親は不満そうに電話を切る。


そして、別の連絡先に電話をかける。


保護団体。


「もう飼えないから、引き取ってほしい」


身勝手な理由。


だが――


「分かりました。我々の団体で全ての犬を引き取ります」


あっさりと受け入れられる。


「いや、全部じゃなくて――」


言い終わる前に。


視界が暗くなる。


「……え?」


「因果応報」


気づけば、檻の中だった。


「なんだ……ここ……」


隣を見る。


同じ檻の中に、母親がいる。


「あなた……どうなってるの?」


「俺にも分からない……子供たちは?」


声が響く。


「男の子と女の子、います。すぐに出荷できます」


「待て!出荷ってなんだ!?」


「おい!答えろ!」


別の声が、母親に向けられる。


「お前には、産めるだけ産んでもらう」


「ふざけるな!!」


それから。


1日1食。


トイレは檻の中。


母親は、医療器具によって何度も出産を強いられる。


やがて――


体は限界を迎える。


「……こいつ、もう産めないな」


「捨てるしかないな」


父親は、すでに声も出せないほど衰弱していた。


母親は動かない。


心が壊れていた。


「タキ、この事件どう思う?」


カジが鋭い目で問う。


「家族失踪……犬はすべて保護団体に預けると言ってますし……夜逃げですかね」


「いや……これは誘拐、もしくは殺人だ」


カジは低く言う。


「最近、犬や猫に関わる飼い主が行方不明になっている」


「何かが起きてる」


「……追うんですか?」


タキが聞く。


少しの沈黙。


「タキ……俺はこの事件、追いたくないな」


「カジさん……それは……」


「冗談だ」


1拍置いて、カジは続ける。


「……でもな」


「立場が違ったら、俺も――」


言葉は最後まで出なかった。


その時。


保護団体の職員が、カジをじっと見ていた。


何も言わずに。


ただ――見ていた。

読んでいただき、ありがとうございました。


本作はこれで終わりになりますが、現実に起きている問題だと思い、書き続けてきました。


気分を害してしまう内容もあったかと思います。

それでも、小さな命が踏みにじられている現実が、確かに存在しています。


私は、自分にできる範囲で、出来ることを続けていきたいと思っています。


もし、この作品で不快な思いをさせてしまったのなら、申し訳ありません。

何かが変わることを祈ってます。


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