刑事達、撤収する
実に呆気なく家宅捜索が終わり、スミレ2237-PAが一部始終を記録し、刑事達は部屋を後にしようとした。しかし、
「あ……!」
<証拠品の空き箱>を持っていた刑事の手が滑り、うっかり落としたその瞬間、ナニーニが思いがけない速度でその中に飛び込んだ。
『猫は狭いところが好き』
と言われ、よく、箱や鍋に収まっているところが紹介されたりするものの、どうやらそれはこのナニーニも同じだったらしい。
「おいおいおい、勘弁してくれ…!」
証拠品は落とすはそこに猫が入り込むはで散々な刑事が、情けない声を出す。
するとスミレ2237-PAがスッと手を伸ばして、箱に綺麗に収まっていたナニーニを抱き上げてくれた。
『ロボットはかくあるべし』
という人間達の望みそのままに、実にそつない働きを見せる。
アリシアも、ここまでくると、スミレ2237-PAのその姿に、嫉妬どころか嬉しくなってしまう。そして少しだけ、癒された気がした。その一方で、
「ご協力、ありがとうございました」
「は……! 感謝ならナニーニとコデットちゃんにするんだね! 私はもう二度とあんた達には協力しない……!」
大家の女性は不機嫌そうに顔を逸らしたまま吐き捨てるように言った。そんな女性に、刑事達も、
「はい、そうですね」
苦笑いだ。
家宅捜索の間、部外者が立ち入らないように待機していた応援の刑事達と、部屋に上がったのとはまた別のスミレ2237-PAとが共に撤収。何事かと集まっていた野次馬も解散していく。
その野次馬の中には、コデットと、彼女の友達である<かほり>と<結愛>の姿もあった。さらに、先日、地蔵尊ないし道祖神のものらしき祠で声を掛けてきた男性の姿も。
「探偵さん! お仕事終わった?」
他の野次馬達は次々と立ち去る中、コデットだけは、かほりと結愛と共に残り、アリシアに声を掛けてくる。
「はい、おかげさまで無事に終わりました。コデットさんの助けがあればこそです。感謝いたします」
アリシアが深々と頭を下げると、千堂も、
「本当に助かりました。桜井さん」
同じく頭を下げる。
すると、二人の刑事も、
「ありがとうございました…!」
続けて頭を下げた。
そんな大人達の様子に、コデットも、
「お役に立てて嬉しいよ!」
自慢げに指で鼻をこすりながら胸を張った。それを、かほりは少し呆れた様子で、結愛は嬉しそうに、見詰めている。
そして千堂は、刑事達に向かい、
「私達はしばらくここで余暇を楽しんでから帰ります」
と告げた。それを受けて刑事達も、
「分かりました。今日は本当にお手間を取らせました。ご協力、ありがとうございます」
改めて頭を下げて、去っていったのだった。




