桜井コデット、ロボット探偵と共に
そうしてアリシアと高齢女性との話が一段落したところで、
「おばあちゃん、今日、ナニーニ来なかった?」
コデットがそう切り出した。一見しただけでは気遣いとかとは無縁そうな彼女だけれど、実は、必要だと思えば他人を気遣うこともできる聡い子供だった。
「そう言えば、ここ最近見てないわねぇ」
コデットの問いかけに、高齢女性は自身の頬に手をやりながら、小さく首を傾げた。
「コデットちゃんは、ナニーニを探してるの?」
「うん! このロボット探偵さんと一緒に探してるんだよ!」
コデットがそう言うと、
「まあ! 探偵さんだったのね」
高齢女性も、笑顔で、得心がいったようにぽんと手を叩いた。
その上で、
「私はここ二~三日見てないけど、バス停前の秦さんが、昨日、ナニーニに餌をあげたって言ってたわね」
と、告げた。
ここにきての新たな手掛かりに、コデットは、
「バス停前の秦さんだね! 分かった!」
弾むような声を上げて、
「おばあちゃん、ありがと!」
笑顔で手を振りながら駆け出した。それを見て、アリシアも、高齢女性に向けて頭を下げながら、コデットの後を追った。
そんな二人を柔らかな笑顔で手を振りながら、高齢女性が見送ってくれたのだった。
こうしてコデットとアリシアは、バス停のある通りへと向かう。そこは、この地域を巡回するロボットバスのルートだった。もっともロボットバスと言っても、基本的にはバス型のロボットが運行を担当しているものの、管理責任者としての人間の運転手も乗っている。
ロボットバスが実用化された当初は、ごく稀にではあるものの誤作動を起こすことがあり、それを人間の運転手が修正しなければいけなかったため、ほとんど誤作動などがなくなった今でも、法律上の責任を明確にするという目的もあり、人間の運転手が乗ることになっているのだ。
このため、知らない人間からは、普通に人間が運転しているバスにも見える。決して人間の形をしたロボットが運転席に座っているのではない。ロボットが果たすべき役目を考えると、必ずしも人間の形をしている必要はないのだ。バスそのものがロボットであれば、求められる機能は果たせる。
ちなみに<JAPAN-2>では、身分証が電子マネーの決済機能も有しており、バスに乗る際に自動的に決済されることにより、現金で支払う者は千人に一人にも満たず、無賃乗車を図る者もほとんどいないのだった。




