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千堂アリシア、なんとも言えない気分を味わう

児童公園までは、三分とかからなかった。


その児童公園は、敷地面積が、個人の住宅よりほんのわずかに広いだけの、とても小さな公園だった。それこそ、そこに公園があることなんて気付きもしないかもしれないほどのものだった。


あるのはブランコと滑り台と鉄棒だけ。


他には本当に何もない。いや、実は砂場もあるのだが、猫が糞をするので、普段は蓋で閉じられている。浴槽の蓋によく見られる、耐候性の高い樹脂製の巻き取り式の蓋だ。


しかも結構大きなブロックを重石代わりに置いていて、小さな子供では一人では開けることさえままならないようにされている。


この辺り、それなりの規模の公園だと警察用のレイバーギアが公園の管理もおこなっていて、安心して利用できるようになっているものの、さすがにこの規模の公園などではそこまではしていられないということだろう。


そもそもこの路地裏に入って以降、警察用のレイバーギア自体、姿を見ていない。


このような地域だとロボットに管理されることを嫌う人間も少なくなく、積極的に警察のレイバーギアなどが立ち入ることを好まない傾向にあるという事情もあったりする。


だから余計に情報を得るのが難しいと言う傾向もある。


「ナニーニはね、いっつもここで寝てた」


そう言ってコデットが指差したのは公園の出入り口の。


そこにも確かに同じ毛が付。いていた確かにここにいたのも事実だろう。


アリシアがやはり周囲を窺っていると、コデットが、


「ナニーニね、いっつもそこでウンチするんだよ。きったないの」


眉をしかめて言いながら公園の隅を指さした。さらに、


「そしたら、そこの家のおばちゃんがぶつくさ文句を言いながらウンチを捨てるんだよ」


今度は公園の隣の家を指さしながら言う。


警察用のレイバーギアが管理を行っている公園では大まかな清掃についてもレイバーギアが行なってくれるので(もちろん人間の警官はそこまではしない。ロボットだからこその<行政サービスの委託>である)、よほどタイミングが悪くない限り人間が犬猫の糞を始末することにはならない。


なのにここでは、文句を言いながらでも住人が自ら糞の始末をするという。


『この街では、昔ながらの<人の暮らし>が続けられているということなんでしょうね……』


アリシアは、ふと、そんなことを思った。


かつてはメイトギアのような人間によく似せたロボットを<アンドロイド>と呼んだそうだが、そんな区分さえ意味を失うほど多種多様なロボットが生み出され、<不気味の壁>さえ超えて、多くの役目をロボットに任せるのが当然になった今の世の中で敢えてそれを選ぶ人間の在り方に、彼女は、なんとも言えない気分を味わっていたのだった。



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