72:旅
「よし、じゃあ早速出発するかな。」
今回はちょっとブラックスミスの集落を下見に行く。え?エミリアは付いてこないのかって?いや、なんかあいつ昔やらかしたらしくてな。街に入った時点で全兵力挙げられるレベルらしい。
という訳で行くのは右腕のブラドと俺だけである。どうにも奴らは他種族との関わりが浅いらしく、集団で行くと警戒されるんだとさ。で、少数精鋭という訳だ。
ちなみに、そいつらの村まではかなり遠い。ついでに言うとブラドは飛べない。つまり徒歩で歩くことになる。ダルい。
で、俺の街からさらに西、近くの山を超えていき、さらにずっと行った火山の麓にその集落はあるそうだ。まぁ気分はピクニックだね。
一応移動手段は用意してある。結局徒歩である事に変わりはないんだけども、スライムカーと言う便利な乗り物があるんだよなぁ。という訳で車で山を超え、谷を超え、移動していく。小さくなって木の隙間も通れるのが強みだよね。
というかさっきから全然魔物が出てこない。やっぱ俺の魔力に当てられた感じかな?まぁそら自分の百倍は強いやつがものすごいスピードで迫ってきてたら逃げるか。そうだよね。あ、キノコ発見、取りに行くか。こっちには果実もある。うん、甘酸っぱい。美味しい。
と、食材を確保しながら山を進んでいると、地中海的な何かへ出た。風邪も気持ちいいし、ちょっとここらで休んで行くか。それにしても良いね、海も綺麗で太陽も当たって、食材集めに釣りでもしようかな。
てなわけでといっ!蜘蛛の糸を垂らして釣りをする。ほら、ブラドもやれよ。
「おぉ……我が君主よ……。私めはもう死んでしまうようです……。どうか最後に……一言……バタッ。」
え?急にどうしたし。体力ゼロか?とりま鑑定。そして見つけた状態異常:車酔いの文字。大げさだなおい。まぁ拡大して縮小して回転して空飛んだりという派手な運転をした俺にも非はあると思うけどさ。
と思ってたらなんかサメっぽいのが釣れた。鑑定するか。
【インディー・ジョーズ】
考古学の知識を身につけてしまったサメ。なまじ賢くなってしまっただけに、もたもたと考え込む癖がついてしまった。釣り餌を口に入れてから罠かどうか考えるため、釣り好きの中では簡単に釣れて美味しい魚として有名。フカヒレの味は別格。
お、おう。うちのマンドラ達といい、最近なんかどこか残念な魔物が多いね。なんだろ。でもそっかー、フカヒレが美味しいのか。ただ料理の時間がないしなー、よし、生で行こう。洞窟時代に戻ったような気分だけど、刺身だと思えば大丈夫。
『スキル:鮫肌Lv9を吸収しました。』
『インディー・ジョーズの遺伝子情報を取得しました。』
うん、さすがに皮くらいは剥ぐべきだったと後悔。スライムなら溶かせるかなーとか思ったけど、なんかこいつの肌ザラザラしてる。おい鮫肌、てめーだろ。イテテ。
でもこれからずっとこうなのかねー。ちょくちょくワープで街に戻るってのもありだけど、街の人にも出かけることは伝えたしなー、見つかると色々面倒くさい。はぁ、つら。
その後しばらく昼寝をして、再び出発した。いやー、本当ならずっとここにいてもいいんだけどねー、草や風が気持ちいいし、空もとても青い。ここに別荘でも建てようかな。
で、そこからしばらく進むと霧の深い湿原へでた。白霧の山脈のような魔力の霧ではなく、純粋な水滴が集まったものだね。ここが話に聞いてた水霊の大湿布か。確かに足元も泥でぬかるんで、どうにも動きづらい。
うおっと、随分と急な攻撃だな。エミリアから情報をもらっていなかったら今頃死んで、はいなかったけど致命傷は食らってたかな。こいつの名前は【霧竜ノエル】。視界と足場の悪さを利用して、足元から攻撃してくる竜だ。
所詮、というのもあれだけど竜と侮ってはいけない。実はこいつ、ほかの全てを犠牲にして攻撃力を高めているのだ。基本沼の中で姿を隠しているため、防御と素早さは要らない。顎の一撃で殺すため、連戦を考慮しなくて良いので、HPもMPも要らない。そんな種族だ。
さーて、これは倒すのにも骨が折れそうだ。




