62:主人公?知らない子ですね
「嘘……!神に祝福された……聖衣が!?」
ふっふっふ、いつまでも鎧なんざに頼ってちゃダメだぜベイベー。というか良かった。下にインナーは着ていたらしく、R18展開にはならなかった。
幼女趣味なんかじゃない。ないと言えばない。いやほんとに、違うからね?
「もしかして……、いや、違いない。……あなた、覇龍?」
ファ?!なぜにそうなったし。というか覇龍ってお前がぶっ倒したあれだからな?多分過大評価しすぎてるぞ?
「フフ……フフフ……その反応、間違いないようね。やはり予言通りだわ。私はもうすぐ消滅する。だから最後に一つ、託されてくれないかしら。この予言を残した人が貴方に伝えたかったこと。【タイラント】は、まだ稼働してるって。」
いやー、人違いの相手に重要そうな情報ポンポン吐くね、君。まぁその人違いも、予言とやらのせいみたいだけどね。
「ほう、このようなやつとワシを見間違えるとは、貴様随分と目が悪いようじゃの。すまぬが、ワシが覇龍じゃ。」
すると、一気に幼女の目が険しくなる。
「覇龍を騙る愚かな人間……天罰を下すべき。……そもそも覇龍なら、彼女しか知らない覇龍の本名を知っているはず。……答えられないでしょ?」
「妾は覇龍エミリアス。かつて龍を統括し、魔王や勇者と闘い続けた龍種の長ぞ?」
すると、幼女は優しく、安心したように微笑む。
「そう……貴方が……。最期に会えて、良かった……。」
「ほう、誰が最期と言った?旧い友の知人ならば、助けぬ訳にもいくまい。妾は魔王の好敵手であり、勇者のライバルである覇龍じゃぞ?貴様を救い出す程度、造作もないことじゃ。」
そう宣言すると、エミリアス、略称エミリアの身体を鱗が覆い、牙が生え、脳天から背中にかけて炎のように紅い突起が生えだした。身体はぐんぐんと大きくなり、手先からは鉄をも豆腐のように切り裂く爪が生え。
そこに顕現したのは、黒い、いや、夜よりも暗い龍の姿だった。気になって鑑定してみると……【鑑定不能】。デスヨネー。
「ふぅ、この姿になったのは何百年ぶりかの。いかんせん体格のせいで人間の姿の方が過ごしやすいのじゃ。最も、全盛期と比べれば力は100分の1もないじゃろうな。」
うわぁーお。100分の1でこれかよ。ただのヤバいやつじゃねーか。で、その黒い体に唯一映えるその紅い突起が脈打ち、絞り出されるようにして包み込むような、優しい光が出てきた。
『歌おう、それは愛の旋律。唄おう、それは優しさの音。昏い、cry?海の底。それは照らし出す光のように。差し伸べられた救いのように。ちっぽけな僕らは気付かなくとも、そこに幸せはある筈だ。回復歌魔法:ヴェルダンディ』
その口から漏れだしたのは、歌。あまりにも、息を呑むほどに美しいその音を、聞き惚れているうちに光は幼女の体に落ち、そのまま水滴のように波紋を広げ、彼女の体を癒していく。
時を巻き戻したかと錯覚する程の、急速な再生。数瞬後、力の代償か自壊し続けた彼女の体は、何も無かったのだと思えるほどに、戦いの後を一切感じさせない美しさを醸し出していた。
「……!私、生きてる。予言は外れた?でも確かにあれのことは伝えられた。一体どうして……。」
「ふっふっふ、驚け、これが龍にしか使えぬ歌魔法じゃ。おうおう、力の真髄をしかと肌で受け止めるが良い。で、【タイラント】じゃったか?それは我らの時代に生きた人間共の玩具ではないか。いやはや、あれには肝を冷やされたものじゃが、まだ稼働している?フォッフォッフォッ、まだまだ隠居は出来そうにないのぅ。」
あの……その……、すっごく言い辛いンですけど……、聖衣倒したの俺ですよ?なんでハブられてるし。
今回のMVPなのに幼女にカッコイイとこ奪われた挙句蚊帳の外にされてる主人公がいるらしい




