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61:産廃スキルの活躍

 スライムが幼女と戦いを繰り広げるのと同時刻、四角い世界の四隅で、それぞれの隅に対応するような四体の獣が目を覚ました。それは、神話の時代より後。世界機構誕生直後に生まれた魔物達。

 世界機構が生まれたのにも関わらず、それに相反し、されども本質は同じである神話の時代の技術を蘇らせようとした結果、4つに分かれた技術達。


 あるものは聖衣の使用に反応し、あるものは大量虐殺の気配に歓喜し、あるものは人間の行く末を懸念し、あるものは二度寝した。


 そう、それはそれぞれがオンリーワンであると共に、また神話の時代の偽作でもある。現代において四つの最強種として語り継がれるそれらは、また来る戦いの予感に各々の反応を示した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

side︰スライム


 うおっとやばい。ゴーレムの野郎、俺を視認した瞬間殴りかかってきやがった。全く最近の若者は親への感謝が足りないね。もっと親孝行せんか!具体的にはこの幼女倒すとか。


 で、幼女の攻撃を見た瞬間間にゴーレムが来るように位置を調整し、何とかヘイトを押しつける。凄いな、山さえ砕くデコピン持ちのパンチVS土吸収して無限再生するゴーレム。なんて恐ろしい戦いなんだ。大体どっちの攻撃もワンパンされた瞬間死ぬって。


 で、そんな状況に押し込んだ俺は漁夫の利を……狙わない。いやまぁ自分でやった事の後始末くらいはするけどね?具体的にはあの服処理してゴーレム壊す。


 と、その前に覇龍を起こしに行く。これまで大量に収納していた薬草から有効成分を抽出し、混ぜ合わせる。


 で、それを染み込ませて覇龍の体を覆う。別にやらしいことしてる訳じゃない。より効率よく回復薬を塗っているんだ。


「ブエックション!」


 覇龍のしたオッサンっぽいくしゃみで、俺の体が吹き飛ぶ。いや、土食べれば治るとはいえ流石にもうちょっと大事に扱って?メンタルが死ぬ。


「はっ、お主?!生きておるのか?!あの聖衣のやつはどこへ行きおった!」


「今はゴーレムと交戦中。勝算はあるからできるだけあれを押さえておいて?」


「対峙してまだ勝算などとほざけるか。まぁ良い。時には若いもんの蛮勇にも付き合ってやるかの。」


 そう言って覇龍は不敵に笑った。お前一回ボコられてるんだけどな。


 そうして戦闘場所に向かった俺が見たのは、無残にも殺されたゴーレムの姿だった。鎌は見る影も無くすり減り、足は奇妙な方向に折れ曲がり、羽は片方はもげ、八つの複眼は全て潰されている。回復手段である土も辺りからは失われ、無機質な岩盤が露出している。


「……戻ってきた?しかもその女……殺したはず。まぁいい、もう一回殺す。」


 おいおい、物騒な事言ってくれるな。でも回避に特化した俺に攻撃は当たらない。紙一重で躱せる粘体ってやっぱ強い。

 この辺りの魔物は全種類狩ったのか、攻撃手段こそコロコロ変わるものの、繰り出されるのは二番煎じのデジャブのみ。


 しかし全くこちらの顔を見てこないな。急所だけを見つめ淡々と狙い続ける。まるでこっちをサンドバックとしか見てないみたいに。どんな育ち方したらこんな戦い方できるようになるんだ。

 でも仕方ない。こうなったら口で言うか。


「おーい、俺の顔を一瞬でもいいから見てみなよ!きっと見た事もないような顔だよ!」


 元々見ていなくてもそう言われればついつい目がいってしまうのが人の悲しき性である。その結果奴が目にしたのは……俺の渾身の変顔である。


「ブフっ?!」


 戦い中とはいえ、何とか笑いを勝ち取れた。できた隙は一瞬。だが一瞬あれば充分だ。


「覇龍!」


「分かっておる!」


 そう行って彼女が発動したのは、【空間魔法】。

 魔法に対する造詣が驚く程深い彼女の魔法はいつだって正確であり、その結果として聖衣使いを羽交い締めにすることに成功した。


 そこで俺はこの状況をひっくり返すジョーカーのようなスキルを使う。


 かつてはネタだと罵られた、そのスキル。同じネタスキルのローリング・クレイドルを蜂に使いこなされ、一人寂しくお蔵入りとなったそのスキル。そう、その名は……



【服だけ溶かす毒LvMAX】。生物は攻撃できない代わりに、服に対して驚くべき効果を発揮するその毒は、神の力もお構いなしに聖衣を蝕んでいく。

 この時、この瞬間のために作られたのではないかとも思えるそのスキルは、最高に輝いていた。


『称号:幼女趣味を獲得しました。』


 解せぬ。

 いやー、これまで産廃だと思われてたスキルの大活躍っていいですよね。絵面はやばいですけど。

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