?:300年後の地球の話
第三者視点です。
きっかけは些細なことだった。ある地質学者が、新種の生物を発見したのだ。勿論、その瞬間だけを切り取って見るならば、そこに些細と言える要素は無く、寧ろ大発見だと讃えられただろう。
しかし、迫り来る大きな絶望を前に、新種の生物の発見など些細と言わざるを得なかった。
その生物は、多粘性流動型生物、通称スライムと呼ばれた。偶然か、必然か、その星ではゲーム等で親しまれていたため、その生物は凄まじい人気を博した。
また、大きさや形などを変幻自在に変えられることから、医学の分野でも注目された。
「皆さんご存じですか?最近人気の新生物、スライムです!ペットとして親しまれている他、医学の研究にも使われているそうです。可愛いのに役に立つんですねー。」
これが、初めてスライムについて取り扱ったテレビの番組である。今考えれば全く呑気としかいいようがないのだが、如何せん平和な時代であったから、未知の生物に対する危機感が全くなかったのである。
時は流れ2ヶ月後、とあるニュースが話題となった。
「世界的科学者の千夜孝一郎教授が、空間に関する画期的な発表を行いました。続いてのニュースです。近頃話題となっていた、多粘菌流動型生物、通称スライムが、人を捕食する事件が発生しました。国としても速やかに対策を講じていく姿勢を見せています。」
これが、スライムの起こした初めての事件である。この時点でスライムを駆逐すれば良かっただろうに、世間ではただの不運による事故と捉えられていた。
さらに20年後、ようやくスライムが人類の敵と認知し始められた。というのも、東京という大都市が壊滅してしまったからである。そう、ただ1匹のスライムによって。
「現場に到着しました。ヘリからの映像となっていますが、とても大きいです。東京タワーをも凌ぐ大きさとなったスライムに、どのような攻撃が効くのか、自衛隊が出動して実験しております。おっと触手を伸ばしました。これでビル等をなぎ倒すのです。えっ、うそ、ヘリに向かっt……。ザー……。」
これ以降の、スライムについての映像資料は残されていない。ただひとつ、救いがあるとするならば、スライムの最大の弱点、火がよく効くことが分かったことだ。
最も、この時代では近づくことすら叶わなかったのだから、役に立たない成果とは分かったが、今こうして我々が滅びへの道を遅らせられているのは、こうした過去の努力があっての事だろう。しかし、人類の知恵を持ってしてでも、地球は刻一刻と滅びに近づいているのだ。
次回から新章に入ります。




