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7

あのいたたまれない空気の中、最初に行動したのは氣堂蓮だった。

『今度改めて確認するよ。それじゃあ、そろそろ行こうか。』と微笑みながら言ってくれた。


私はその間ロボットのようにぎこちらない動きで首を振り、車に乗り込んだ。

まるでウィーン、ガシャっと音が聞こえてきそうだった、と自分でも思う。


車に乗ってそっと美好さん達の方を見ると、痛ましげな視線を送られていてたのでばっと顔を伏せた。

そのとき隣に座っている氣堂蓮が微かに震えた気がした。

どうしたのかと確認しようにも、おそらく真っ赤な顔をしていると思ったのでやめた。


流石に顔を上げないとと思って、能面フェイスを意識して顔を上げた。


「もうすぐ着くよ。」


そういえば、水族館に行くとだけでどこの水族館か聞いてなかったと今更ながら思った。


「本日はその、どちらの水族館に…?」


「ああ。言ってなかったね、ごめん。アクアリウム水族館ていうところ。まだオープンしてないんだけど、開店前の限定百組のチケットを父さんがもらってきたみたいで。」


「そうでしたか。」


「イルカのショーはもちろんだけど、触ったりできるんだって。ペンギンにも触れるって言ってたよ。あとトンネル型の水槽とか筒状の水槽があるみたいだよ。」


「そうですの…」


どれも楽しそうで沈んでた気持ちが少し回復した。


「うん、今言った中でどれか見たいのある?」


「全部」


「そっか、じゃあ全部見に行こうか。」


少し回復したけどを新たなダメージが上回ったので意味なかった。

ついでに着くまで二度と顔は上げられなかった。



***


着いてからイルカのショーやトンネル型の水槽、筒状の水槽はもちろん、クラゲやサメなど色々な水槽をお嬢様藤宮のまま見ることができた。

全て返答に「はい」で答えた。というかぶっちゃけ夢中になりすぎてそれ以上に答える余裕がなかった。


「そろそろお昼にしない?」


もうそんな時間かと思って時計を見れば一時を過ぎていてびっくりした。

館内のカフェで食事をとることにした。


オシャレな館内と同じように落ち着いた雰囲気のカフェは入ってすぐ気に入った。

奥の席に行き、向かい合って座る。


適当に注文してからこんな風に二人で食べるのはいつぶりだろうと思った。


ボンゴレパスタを食べ、紅茶を飲み終え食休みもした後、館内はとりあえず一周したのでお土産を見に行くことにした。


お店にはぬいぐるみやキーホルダーからペンやメモ帳など様々なものが売られていた。


私はこの間お世話になった美好さんになにかプレゼントしようと思った。

つけてくれるかわからないけど、キーホルダーを選ぶことにした。


そこそこ広い店内でお土産は自由に選んだ方がいいとのことで別行動をすることになったのだけど、

気になって目で確認すると氣堂蓮は奥の方でネックレスを手にとって見ていた。


市花晴香にあげるのかな、なんて考えてやめた。

こんな日ぐらい考えたくない。


私は気を紛らわせるようにキーホルダーを手に取った。




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