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必勝の聖眼の神殺しと戦女神  作者: 暁 白花
第1部 召喚されし世界 1章 旅路
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幕間 過去 ―詩音―

 私は今、簡易シャワーで身体を暖めている。

 久しぶりに落ち着いて身体を休められる。

 そのせいだろうか過去の事を思い出す。





 私が総司と出逢ったのは小学3年の時だ。


 総司と妹の涼風ちゃん、お母さんの真弓美まゆみさんが、私の家の隣に引っ越して来て挨拶回りに来た時だ。


 引っ越しと言えば引っ越し蕎麦なんてイメージがあった。


 私の居る所迄、両親と真弓美さんが話しているのが聞こえてきて、同い歳の子がいて年下の子も居るらしいと知った。

 暫くして、名前を呼ばれ私は「はーい」と玄関へ行く。


 そこには綺麗な女の人がいた。


 引っ越しの為に動きやすい白いTシャツにジーンズパンツ。

 スタイルも良く手足もスラリとして、後ろでまとめているポニーテールは、濡れ羽色の美しい黒髪で、その横に立つ姉妹・・も良く似ていた。


 その二人が私に「どうぞ」と、包装紙に包まれている物をさしだしてくる。


 二人のお母さんが私に「クッキーなの」と言って微笑んだ。

 私も微笑んで、姉妹・・に「ありがとう。同じ女の子同士仲良くしてね」と言うとの方が何故か苦虫を噛み潰した様な顔をした。


「………………じゃない」


 あまりにも声が小さくて聞き取り難かった。


「え?なに?」と、私が聞き直すと…………。


「オレは女子じゃないっ! オレは、男だっ!!」


「「「!!」」」


 私たち親子は驚いた。「ええぇぇっ!!」と私は声にも出していた。


 ボーイッシュな女の子じゃなかったの!?

 だって、すごくカワイイ顔なのに!


 彼女改め、彼がムスーっとして「総司……。千羽 総司……です」


「千羽 真弓美です」


「千羽 涼風です」


 真弓美さんと、両親は先に挨拶を済ませていたのだろう。兄妹は、私が来てからだったらしい。


「雪城 詩音です。宜しくお願いします」とお辞儀をする。


「凉風ちゃんよろしくね」


「はい、詩音さん」


 と、涼風ちゃんは握手してくれて、真弓美さんとも握手する。


 真弓美さんは苦笑しつつ「ほら」と、総司を前に出す。


「よろしく……」


「よろしく……」


 こんな感じの、ビミョーな出逢いだった。


 幼馴染みの氷鏡 翔真、南條 千尋、有馬 紗奈、妻夫木 一誠を紹介したりもした。



 ビミョーな出逢いから2年、小学5年


 その頃私は虐めにあう様になっていた。総司にも無視されてしまうことが怖かった。


 原因は何でもよかったんだと思う。

 虐め(その)理由に上げられたのは私の趣味だった。


 物語を書くことやちょっとした詩を書くこと。

 それを黒板に貼られて嗤われた。


 淡い想いがあったのだろう私は総司では無く、翔真を頼った……。後で勘違いだと気付くのだけれど……。


 彼は対応してくれたものの虐めは陰で行われる事になる。



 面白ければ何でもよかったのだろう。


 だってTVでやっているのだから……。

 落とし穴に落としたり、集まりの中で誰かを無視したり、発言中に言葉を被せて輪から弾いたり、突き飛ばしたり蹴ったりして転び痛がる。

 そのリアクションが面白い。


 だから、同じ様な感覚で行う。


 総司には知られたく無かったし、虐められたくなかった。


 だけど、総司は「凄いなー!」と言って、文字だけだった物語に絵を描いて持ってきた。


 そのイラストはクラスの誰より上手だった。

 それも後になって、納得する事になるのだが……。



 月日は流れ…………6年生、夏休み前。




 総司は剣道を習っていたものの、何時も何処かつまらなさそうだったが、真弓美さんから習う剣術は真面目におそわっていた。


 私はその態度の違いを聞いてみた。


「ねぇ、剣道もそれくらい熱心になったら?」


「ちゃんとやってるよ」


「…………」


 私は、納得がいかなかった。


「お兄さんが、そんな態度じゃ、涼風ちゃんに示しがつかないわよ」


「はぁ、冷めるんだよ」


 溜め息を吐き、そんな事を言う。


「冷めるって?」


 素振りを止めて、汗を拭きながら私に向き合う。


「詩音、人間の命って一つだ」


「えぇ」


「けど、剣道は、基本三本勝負……。つまり、命が三つ……。けど、運営次第で、これはかわるんだけど、そんな都合上の理由や時間で、命の数が変わるのは、おかしい……」


「だから一本じゃない?」


「あのさぁ、それで、一本が勝ちを決めるなら、そこで終わりだぜ? 頭割られて、手を斬り落とされるか、筋を斬られる、銅を斬られて、喉を突かれ、そこで、絶命してる」


「………………」


「それに、〈心・技・体〉揃わないといけないとか、声が発せられず、気合いが伴なっていないとかで、一本にならないとかさ、普通なら致命傷だ…………」


「それは、スポーツだからじゃないの?」


「でもさ、それ、ゾンビ行為だ……」


「ゾンビ行為って?」


「うーん。付いて来て」


 総司に付いて行き、総司の部屋に入って私は呆れた。

 以前、私の黒歴史を知られた時に見た部屋には無かった物があった。


「サバゲーでさ、撃たれたのに宣言コールせずにプレイを継続する行為」


「サバゲーなんてやりだしたの?」


「面白いよ。走ったり、隠れたり、作戦たてたり」


「な、ナルホド」


 私は納得がいった。

 真弓美さんと稽古してる時がそんな感じだからだ。


 ムフーっと、満足してる総司を見て楽しそうだから、まぁいいかと思った。


 ある日の放課後、かなり遅くまで隠された鞄の中身を探していると、中庭の池から総司が、制服がびしょ濡れの状態で出てきた。浅い池、季節は夏……ちょっと吃驚した。


 彷徨う生徒の地縛霊……かと思った。


 今でも、変わらずに接してくれて、虐めをやめる様に言って庇ってくれていた総司のことが気に入らないのか、酷くなるいっぽうで、総司のことも悪く言うようになり、ある日、私は総司に言ってしまった。


「よけいな事をするなっ!!」と…………。


 それがいけなかた。


 翔真の言葉なんて最早、心に届かないし、響かない……。


 私を蹴った男子に向かって机を蹴り当て、腕を捻り上げ、それを見た他の男子が殴りかかったのを避ける。

 後ろから迫っていた男子と殴りかかった男子がぶつかる。

 更にそこに捻り上げていた男子を解放する。


 暴れていた男子は突然拘束から解かれ、勢い余って、喚いていた男子と更にぶつかる。


 当然、問題となり、相手の親も真弓美さんも呼び出された…………。





(はぁー、こいつ何をやったんだろう…………)


 先日、私を虐めていたクラスメイトとその親、校長、教頭、担任が謝罪に来ていた。


 そして「モヤモヤしてたら、折角の夏休みがもったいない」と、総司に外に連れ出され私もサバゲーに巻き込まれることになる。


 走ったり、息を潜め隠れ、隙を窺い狙い射ったり、逆に狙われたり、私は随分とはしゃいで楽しんだ。


 私は、その中でもスナイパーライフルにはまり、せっかくの長い夏休み〈ウルティマラティオ・ヘカートⅡ〉を、二人で制作する事にした。





 そして、現在――


 私はカップカレーうどんを、異世界エストレーヤの精霊郷の森で、総司と二人で食べている。


(はぁー、総司のドタバタに振り回されて、はしゃいだりもして来たけど、さすがに今度は異世界から異世界の問題に巻き込まれるなんて思いもよらなかったわよ)


 それでも、総司と二人この異世界で生き抜こうと私は此処迄来た。


 今、過去を振り返ると私の氷鏡 翔真への淡い想いは憧れからだったのだと分かる。積極的で活動的なところに当時の私は憧れていた。

 

(それを初恋と勘違いしてたなんてね……。何故、あの時の私は氷鏡 翔真に救いを求めたのかしら?)


 私はカレーうどんを食べる手を止めて考えてしまう。


(……あ、そうか……。千尋や紗奈が居たから……かしらね)


 私は昔からの繋がりを絶ちきりたく無かったのだと結論を出す。

 

(総司なら隣に住んでいて、涼風ちゃんとも仲良くしてるからと安心してたのかしらね……)


 私の事ながら情けない。


 私は思い出した様にカレーうどんを食べる。

 


 私達はアースィナリアと出逢う事になる。


 総司がこの世界の料理とお菓子に「ふざけんな、料理を舐めるなっ! こんなのは、料理と言わない! 食材をゴミに変えてるだけだっ!!」と言って、作ったのが総司の好きな和菓子、羊羮だった。


 理由1:自身が食べたかったから。

 理由2:旅の保存食として。


 そんな羊羮にアースィナリアが興味津々で、総司が切り分けていた。


 アースィナリアが受け取り、口にする。

 彼女は驚いて、これは何かと聞いてきたので説明する。


(当然よね。この世界のデザートは果物の砂糖水漬け、砂糖で甘くしたミルクに果物を入れる。砂糖を固めた砂糖菓子、パンの蜂蜜漬けに果物をのせた物をお菓子やデザートと呼んでいたものね)


 そして、やっぱりトラブルになった。


 金髪の筋骨逞しい(ゴリマッチョ)騎士が、私に斬りかかってきた。

 総司はそれを、 魔法銃装剣ガン セイバーmodeで受け止め弾くと、がら空きの胴に回し蹴りを入れる。


 金髪の筋骨逞しい(ゴリマッチョ)騎士が綺麗な放物線を描き飛んでいく。


 起き上がり、総司に向けて大剣を構え、突撃からの突きを放つ姿勢をとり、魔力を練り上げていく。


 総司の構えは、鞘は無いが抜刀術の構えだ。


 二人が同じに駆け出す。

 筋骨逞しい(ゴリマッチョ・)騎士エドウィンの突進からの突き技がいち早く放たれる。

 

 総司の右目が、冴え冴えとした瑠璃色に光。


 その刹那、身体強化し身体をずらし、大剣を横にし突き出される剣の腹に跳び乗り、大剣を踏みつけ、その上を駆け上がると、抜刀術をエドウィンの首筋目掛けて放つ。

 

 あの技は確か、千羽天剣流 ―計都―


 エドウィンは大剣を打ち捨て、自身を地面に投げることで()を逃れる。


起き上がろうとするエドウィンに向けて、可変魔法銃装剣を銃modeにして左肩を撃ち抜く。


 そして、私たちは駆け出す。


 追いかけ来る騎士達を総司が迎撃する。


 後方で閃光が弾けた。


 雷と雨が降りしきる中を総司と二人駆けて行く。


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