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 ─────これで、終わり。

 所々壊れた建物。焦げたような匂いが辺りを包む。晴れやかな空は"正義"の勝利を祝うようだった。

 そして今、ボロボロな体を庇い建物の影で隠れている私はまさしく敗者。まぁ所詮悪であり現状負け確である為敗者なのは間違いないのだが。


「はぁ……」


 そんなため息しか出てこない。未だ諦めずに戦う仲間の音がする。爆発音。殴る音。金属がぶつかる音。衝突音。ボスは既に倒されたらしい。今戦う理由は仇討ちか、諦めたくない感情からか。残念ながら私にはどちらも無いので戦線から離脱したいところだ。



 ──この世界には"正義"と"悪"が明確化されている。正確に言えば悪いことをした奴らが正義の味方に倒される構図がはっきりとしているのだ。悪いことをすれば必ず正義の鉄槌を食らう。

 更に正義の象徴が存在する。魔法少女やヒーローといったおかしな力を使う少年少女が正義の代わりといい悪に立ち向かう。

 逆に悪にも悪の象徴がある。象徴というかまとめ役というべきだろうか。要は悪の組織だ。そして私はその悪の組織の幹部。ちょっとしたお偉いさんである。

 悪の組織が何かすると正義の味方が現れて人々を助ける。そんなやり取りが当たり前だった中、今日は終焉を迎えた。


 悪の組織の崩壊。正義の味方達が力を合わせてうちのボスを倒し、その他幹部も続々と倒されていく。あ、また1人やられた。まぁそんな感じで、世界は物語のフィナーレを迎えていた。例に漏れず私もここで倒されるのを待つだけ。ぶっちゃけ倒されるのは御免だがそうしないと終わらない。


 ふぅ、と息を吐く。他の仲間が全てやられたらしい。悪の組織といえど仲間には優しい人も多かったのに。まぁちょっと、ちょっと特殊性癖拗らせてた人もいたけど。それでも基本は普通の人だった。なんで悪の組織に入るなんて選択をしたのかと疑う人もいた。

 ボロボロな体も休まり、体力は残っている。さっさと正義の味方と戦おう。そして負ける。

 物語の終わりだ。


「…!でたわね!」


 可愛いらしい衣装を身につけ魔法のすてっきを手にする魔法少女が私に気が付き、他の正義の味方に教えるように叫んだ。私は歪んだ笑みを作りしっかりしとした足取りで前に出た。


「もう終わりだと思った?残念。この私、イモターリスがお相手致しましょうか。」


 敵の人数は多い。結構な傷を負っているがやはり人数に敵わないだろう。目を細めて笑えば、わらわらと魔法少女やヒーローが集まってくるのが見える。

 その中で1人が前に出てくる。私とよく戦っていた魔法少女だった。真っ白な髪と海みたいな青い双眸が目立つ美人さん。他の仲間とコソコソと話しては私をしっかりと捉えた。


「ここで降伏してくれれば、私達は貴方を倒さない。大人しく捕まってくれる?」


「…急に何を言い出すと思えば。アナタ達が許しても国が、人々が許さないでしょう?それに一生惨めな想いをして生きていくよりもここで華々しく散った方がましよ!」


 本当は生きたい。でも私は絶対に無理だ。いくら正義の味方といえど悪の組織の幹部を庇ったら非難轟々だろう。乾いた笑いと共に言葉は止まらない。

 白髪の魔法少女は黙り、すてっきを構えた。そう、それでいい。私も手から垂れた血から、既に死んだ仲間の血からバケモノを創る。


「……貴方とは別の形で会いたかったわ。イモターリス。」


「あら?奇遇ね。もし出会い方が違っていたら私惚れちゃってたかも!」


 魔法少女が目を見開いた。事実、私がもし悪の組織なんかにいなかったら。もし襲われているところに貴方に助けられたら惚れていたかもしれない。私は割とこの子が好きだった。

 他の魔法少女、ヒーローが大量にいたバケモンを倒している。


「じゃあね。」


 私は魔法少女の1人の攻撃を受けて意識を手放した。視界の端でバケモンが血に戻る所を。白髪の魔法少女が駆け寄ってくるのが見えた。


 最後に笑えていたかな。






 次に目覚めた時。私は最後に言ったとこを後悔することになる。後悔しかない人生で最も後悔したかもしれない。



 身体中が痛かった。私は無機質な電子音が聞こえる部屋で点滴に繋がれているのが分かった。怠いと思いながらも目を開ければ、知らない人がいた。


「………誰…?」


「…お。起きたな。」


 誰だ。この人。私はもう1回寝たかったが既に眠気は無く1回起きて話しちゃったからには逃げられなそうな予感がする。

 黒髪の知らない男性がこっちをじっと見ていた。私は死んだと思ったのだが…?


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