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第523話.グラウンドでの文化祭

 グラウンドに降りて近くの出店に寄ってみることにした。

 校舎組とは違い、常に外にいるためか、外で動いている人達の額にはじんわりと汗が滲んでいる。しかし、それとは裏腹に作業に勤しむ人達はみな楽しそうだ。外で、というのが全てではないだろうが、けれどそれが一つの要因としてここまで楽しめているのだろう。

 にしても、まさかそうめん流しを結構するクラスが出てきたのは予想外だった。確かにそうめん流しの設備を用意するには、校舎内ではいささか窮屈だ。だからといって広いグラウンドを思い切り使うという思考回路もなかなかだと思う。全長の長さが、そうめんを流し始めて終了地点に到達するまでおよそ3分かかる距離。普通それほどの時間そうめんが水に浸かっていたら、水を吸ってぶよぶよのふにゃふにゃ麺になってしまう他ない。けど、楽しそうではあるのだ。


「そうめん流しする?」


 私がじーっとそうめん流しをしている様子を見ていたからか、刻が私にそう聞いてきた。

 んー、どうしようか。たしかに楽しそうではあるし、お腹も空いているけど、場所によってはぶよぶよの余ったそうめんしか来ない。言ってしまえば実力以前に運要素がかなり大きい。

 しばし悩んでから私は刻に伝える。


「ううん、今回はいいよ。それよりもあそこの唐揚げ食べてみない?1から10までこだわってる秘伝レシピの唐揚げだってさ」


 高校生の文化祭でだす出し物としては大それた謳い文句ではあるが、けれどいい匂いが常にしているので興味が無いと言えば嘘にもなる。それに、やっぱりお腹が空いている以上気になるものは気になるのだ。満たすならガッツリとだ。

 刻もこの案には賛成なようで頷くと、私の手を引いて歩き始める。

 唐揚げと一概に言ってもメニューが一つだけというわけではないようだ。シンプルなものから、タレがかけられたもの。レモンソースがかかったものから、塩コショウや柚子胡椒といったバリエーション豊富なメニュー達だ。

 普通に迷ってしまうが、私は一番シンプルなものにする。サイズは中くらいだ。対する刻は塩コショウで、サイズは大。唐揚げ一つ一つがかなり大きい上に、大となると結構な量だ。

 私が先に注文していたので先に受けとり、少し下がって刻が来るのを待つ。私は片手で収まる程度のサイズなのだが、大の刻に関しては、両手でやっと何とか収まるサイズらしい。


「大きいね」

「うん、食べれるかな」

「大丈夫じゃない?いっつも私が作る料理も残さず食べてくれるし」

「あれは蒼の作る料理が美味しいからいけるだけで」

「き、急に褒めるのやめてくれる?心の準備というか、喜ぶ準備が出来てないからさ」

「ん、ごめん?」


 偶然褒める形となってしまっただけなので、刻はキョトンとしている。


「ま、まぁいいや。とにかく食べよっ」


 私は空いている片手を使って刻の腕を取った。刻は両手で唐揚げを持っているので落とさないようにゆっくり引き連れていく。


第523話終わりましたね。唐揚げの話を書くと唐揚げが非常に食べたくなりますね。深夜なので食べるわけにもいきませんけど。

さてと次回は、29日です。お楽しみに!

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