第522話.見知らぬOB
半分になったレモンティーを眺めながらボーッとしていると、見知らぬ男性2人に話しかけられる。見た目的に大学生だろうか。
「きみ、1人?」
「良かったらさ、文化祭一緒に回らない?」
「一緒に……ですか?」
正直あまり気乗りはしない。刻との約束があるし、それに誰なのか知らないし。あとはそんなつもりはないのだろうけど、身長が2人とも刻以上に高いので威圧感が凄い。灯崎くん以上なのではなかろうか。
「いやぁ実はさ、俺達も一応ここのOBなんだけど、招待してきた後輩達の居場所が分かんなくてさ、どこをどう回ればいいのか分かんないんだよね」
「そうそう。それでどうしようか途方に暮れてたらきみを見つけたってわけ。ほら、それに欲を言えば可愛いこと回りたいしさ、きみなら後輩達の代わり以上になるかもなぁって」
随分と欲望丸出しじゃないか、なんて思いつつ、一応OBであるということが分かったのは一つ大きな情報だ。校内には間違いなく直属の後輩にあたる生徒がいるので、変なことを少なくとも学校内でされることは無いだろう。
と、考えるとだ、別に回るのは悪くないのだが……いかんせん刻との約束が私にはある。私にとってはそれが何よりも優先すべき最優先事項であることに違いないし、となるとやはり断らなければならない。けれど、無自覚のこの威圧が何よりもしんどいのだ。本能的な恐怖というか、この人達の人となりを知らないがゆえに警戒心が全開になっているのだ。
「うーん……」
イエスともノーとも言うでなく、曖昧な言葉を紡ぎながらキョロキョロと周りを見て時間を稼ぐ。刻が来てくれるのがベスト。だが、この人達の後輩が来てくれるのもまた然りだ。
飽きてどこかに行ってくれないかな、なんて考えもするが、どうやらそういう訳にもいかず。んー……面倒くさい。
さすがに限界かと思って、私がイエスの意味を込めて頷こうとすると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「先輩っ!探しましたよっ!?」
声の方を見ると、急いで走ってきた様子の灯崎くんが立っていた。
「あー、いや、場所が分かんなくてさ」
「なら電話してきてくださいよ!」
「ごめん、昨日夜更かししてたら2人とも充電切れちまってて」
笑いながら、2人は電源ボタンを押しても一向に明るくならないスマホの画面を見せている。
「っていうか、空宮さんとなんのはなししてたんです?」
「ん、あれ、灯崎ってこの子と知り合い?」
「知り合いっつうか、去年同じクラスで、俺の友達の彼女さんっすよ」
「え、彼氏持ちだったの!?」
驚いた様子のOBさん。失礼な、と思いながらも、そんな話をしていなかったから仕方がないかとも思う。
「いや、でも確かにこれだけ可愛かったら彼氏くらいいるかぁ」
どうやら納得はしてくれたみたいだ。
私は、もう行っていいかどうかの旨を尋ねようとしたところで、また新たに聞き覚えのある、聞き馴染みのある声を拾う。
「蒼ー、となんで灯崎?」
キョトン顔の刻。
そんな刻に灯崎くんが軽く説明してくれるので、私の負担は無くなった。
一通り聞き終えて納得したらしい刻は私の方を見ると手を差し出してきた。
「それじゃ、行こっか」
「あの人達はいいの?」
「あの人達はそもそも灯崎の客人だからな、俺達が関与する相手じゃないよ」
「それもそっか」
「そうそう。俺達は2人で楽しむだけでいいんだよ」
刻にそう言われながら私は頷いて刻の方に体を寄せ歩く。
第522話終わりましたね。他人の先輩って、たとえ自分と同じ学校の卒業生だとしても本当に関わりがないので、学校にいた場合あんた誰やねんとなりがちですよね。
さてと次回は、27日です。お楽しみに!
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