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*ヴェイル視点 25

「ヴェイル、取り戻したのだな。」

俺の下に来た兄上が、腕の中のステラを見て少しだけ目尻を下げた。それでも、相変わらず俺を見る兄上の目は厳しい。



「はい。ご心配をお掛けしました。」


「まったくだ。至宝を奪われるとは、なんと情けない。」


「返す言葉もありません。」


兄上の存在に気付いたステラが、俺の腕から降りようと身動ぐ。俺は、それを宥めて、ずれたマントをしっかりと被せ直した。



「ここは俺に任せて、早く彼女を休ませてやれ。」


「はい。ありがとうございます、兄上。」


先ずは、一刻も早くステラをこんな場所から遠ざけよう。そう思い、扉へ足を向けると、俺を呼び止める不快な声がかかった。



「お、お待ち下さい!その人間の娘が、殿下の番様とは、どういう事ですか!?番様がお生まれになっていたのなら、我々には、それを知る権利があったはずです!その娘は、本当に番様なのですか!?」


騎士に押さえ付けられていたウィルソンが、暴れながら血走った目をこちらに向けて来た。



「バルガンデイル公爵家当主ウィルソンよ。彼女は、紛れもなくヴェイルの運命の番。馬鹿な弟が、私にも隠してきた神の慈悲だ。」


「そ、そんな…。では、我が娘は…。」


「元々、王家は、お前の娘をヴェイルの婚約者とは認めていなかった。側室候補も含めて、お前達が勝手に騒いでいただけだ。」


「ですが!」


「くどいぞ、ウィルソン!今まで私は、お前達の愚行に目を瞑ってきた。だが、もう庇い立てはしない。お前達は、我がサウザリンド王家に牙を剥いたのだ。反逆者として、この場で全員捕縛する!連れて行け!」

兄上の怒号に、ウィルソンは震えながら縮こまる。なんとも情けない姿を皆に晒していた。この男は、異能者ではない兄上を王とは認めず、傲慢な態度を取り続けていたというのに。



ハッ、馬鹿な男だ。

兄上も、これを機に、煙たい存在だったバルガンデイル公爵家側の者達を排除していくのだろう。

俺も、ステラが心穏やかに治療に専念出来るよう、愚か者を徹底的に取り除いていかねばならない。こんな事が二度と起きないように。


ウィルソン達が拘束されていくのを横目に、ステラを抱え直すと、目の前にキャロラインが飛び出してきた。



「陛下は、お認めになるのですか!?」


「何?」


キャロラインは、騎士を押し退け、兄上に駆け寄る。そんなキャロラインに、兄上は威圧を込めた目を向けた。



「つ、番様は…、その女は、人間なのですよ!?先代陛下の悲劇を繰り返すおつもりですか!?だから、ヴェイル殿下も、その女をいつまでも表に出さなかったのでしょう!?結局は、その女が気に入らなかったのよ!」


キャロラインに言われた言葉に苛つきながらも、俺はすぐに言い返すことが出来なかった。


その時、俺の腕の中で、大人しくしていたステラが顔を上げた。










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