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4-1

サージェント王国に帰国して、もうすぐ一年。

一年という月日は、決して短い期間ではないけれど、学ぶ事が多かった私にとっては、目紛しい日々だった。



主人と姫様によって攫われるように帰国した私は、アデライード様の養女として、サージェント王家に迎え入れられた。

平民が王族の籍に入るなんて異例中の異例だ。けれど、私はサウザリンド王弟殿下の運命の番。それが考慮されて、私の王籍取得は、大きな反対もなく受け入れられた。


そう、主人は、本当に私のお母様になってくれたのだ。


でも、喜んでばかりではいられない。王族になったということは、それだけの重責がかかるのだから。

それからは、生活の全てが勉強だった。普段の歩き方すら美しさを求められ、指先の動き一つ、気を抜けない。

何度も挫けそうになった。出来ない自分が悔しくて、情けなくて。

でも、そんな時は、必ずと言っていいほど、ヴェイル様が私に会いに来てくれた。落ち込む私を慰めるために、沢山のお菓子とお茶を持って。

ヴェイル様だって、お母様から課せれた難題で大変なはずなのに、いつの間にか、自分専用の長距離転移魔法陣を私が住まう離宮に設置してしまったのだ。私と会えない時間が耐えられなかったらしい。それをお母様達の前で堂々と言うから恥ずかしかった。




私と結婚するに当たって、お母様は、ヴェイル様に課題を出した。

それは、ヴェイル様の地位を確定すること。


ヴェイル様は、今、サウザリンド王国で王位継承権第一位。万が一、ガイル陛下が亡くなれば、彼が次の王になる。そうなれば、情勢によっては政略結婚も必要。つまり、私以外の妃が出来る可能性があるのだ。それをお母様は危惧した。

そのため、サウザリンド王家に、ヴェイル様の立場の確定を約束させたのだ。



「これは、相当、時間がかかるわね」と、姉になった姫様が、嬉しそうに話していた。お母様は、サウザリンド王家に、ヴェイル様の継承権の放棄か、王となった場合の重婚権の破棄、または、ガイル陛下の早急な婚姻兼世継ぎの誕生を要求をしたのだから、確かに、そう簡単に決まるはずがない。


少し寂しく思いながら、私も頑張ろうと決意を新たにした頃、ヴェイル様が王位継承権を放棄したと報告が入った。


それは、あまりにも早すぎる報告だった。お姉様でさえ、嘘か誠か判断出来ずにいたほど。

でも、その報告が来た次の日には、新たな公爵となったヴェイル様が、叙爵証を持って颯爽と現れたのだから信じるしかない。


それに対して、お母様が苦肉の策を取った。王族の結婚の準備には時間がかかるからと、婚約期間を一年と定めたのだ。








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