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部屋中に響き渡る破裂音は、結界が破壊された音だった。
ヴェイル様は、自分の住まうエリアに強力な結界を張って、他者の侵入を拒んでいたらしい。
王宮の主であるガイル陛下に怒られなかったのだろうかと思ったけど、陛下は、目覚めない番を必死で守っているヴェイル様に気を遣って、黙認していたそうだ。
そんなヴェイル様の私室には今、アデライード様、エレンディール姫様、そして、ガイル陛下が揃っている。
何だか気不味い雰囲気の中、私はヴェイル様の膝の上に座らされていた。
「ステラ!良かったわ!目が覚めたのね!本当に、本当に、心配したのよ?それなのに、このバカ猫は!急に連絡が取れなくなったと思ったら、私の可愛いステラを監禁していたなんて!無垢なステラに手を出していないでしょうね!?その苛つく尻尾を切り落とすわよ!」
「エレン、落ち着きなさい。それに、万が一、殿下がステラに手を出していたら、切り落とすべき場所は、そこじゃないだろう?」
主人と姫様の鋭い視線が、私の後ろにいるヴェイル様に向かう。そんな二人の怒りを物ともせずに、ヴェイルは、上機嫌で二人に向き合っていた。
「そんな事はしませんよ、アデライード陛下。結婚式では、ステラに美しいドレスを着せてやりたいですから。」
ヴェイル様は、意味深な笑みを浮かべて、二人に丁寧な言葉を返す。そして、見せ付けるように、ぐっと私を引き寄せた。
「ねえ、ステラ。本当に、ほんっとうに!この猫でいいの?今なら逃げられるかもしれないわよ?」
「そうだぞ、ステラ。別に結婚を急ぐ必要はないんだ。女の幸せは、必ずしも結婚ではないからな。嫁ぎ先で苦労するぐらいならば、いつまでも私の下にいたら良い。ステラぐらい一生養ってやる」
「そうよ!お母様は一国の王。財産は、それなりにあるから、将来は安泰よ!私だって、結構お金持ちだし。お兄様達も、喜んで迎えてくれるわ!それに、みんな、ステラのこと心配していたわ。元気な姿を見せに、一度サージェントに帰りましょう?将来の事は、これからゆっくり考えればいいじゃない、ね?」
帰ろうと言われて、私の心が揺れる。それに気付いたのか、ヴェイル様が私の耳を塞いだ。
「アデライード陛下、巫女殿、ステラは、俺との結婚を承諾してくれました。ですので、無駄な事はしないで頂きたい。式も早急に挙げる予定ですから、そのつもりで」
私は聞こえなかったけど、二人に向かって話すヴェイル様の顔は、満足そうだった。すると、私の視線に気付いたヴェイル様が私の頬に唇を寄せた。
ひっ人前で!
しかも、主人と姫様の前で!
恥ずかしすぎる…。
私は真っ赤な顔を両手で隠した。




