表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侵略のポップコーン  作者: 進常椀富
12/35

やきにく異星人3

 三十分後。

「はぁーい、できあがりましたぁー」

 アマガはみごとに進常家のドアを修理した。

 光線銃の光線を絞り、器用に溶接機のごとく使いこなしてドアを直したのだった。


 進常は開けたり閉めたりしてドアの具合を確かめる。

 ドアは軋んで音を立てたが、きちんと閉まることは確かだった。

「なんかぎーぎーいうようになっちゃったけど、まあ開け閉めできるからいいか……。お疲れさま。中へ入ってお茶でも飲も」


 部屋のなかでは鈴木とメリコが散らばったお菓子のパッケージを掃除していた。

 それももう終わりだった。

 進常は手を叩いて言った。

「さ、みんなテーブルについて。会議はじめるよ」


 四人はテーブルにつき、進常が全員分の緑茶をいれた。


 メリコは湯気の立つ茶碗をおっかなびっくり触る。

「熱い……」

 進常が注意した。

「あっついから、ふーふーして飲みな」

 メリコは言われたとおり、息を吹きかけてから一口すすった。

「おいしい! なんかさわやかな味!」

 進常は目元をほころばせた。

「悪くないだろ、緑茶」

 アマガもメリコの真似をしてお茶をすする。

「おいしい。本当に地球人の食事は多様ですわー」

 進常は鈴木に向かって言う。

「じゃ、鈴木くん、会議をはじめてくれ」

「え、ぼくが司会ですかぁー?」

「そうだよ。わたし寝不足だと頭がまわらないんだ」

「しょうがないなー。えっと、それじゃあまず……」


 そういえばまだアマガの意思を確認していない。

 お菓子を食べさせてからここまで協力的だが、

 まだ協力してくれることの言質をとっていなかった。

 鈴木はまずそれをはっきりさせるべきだと考えた。


「まず、アマガさん。アマガさんはぼくたちのことを味方と認識して、ぼくたちのしようとしてることに協力しようとしてくれている。そこは間違いないですか?」

「ぐー……」

 アマガは寝ていた。

 メリコが肩を揺すって起こす。

「ちょっとアマガ! 場所を選ばず寝ないで!」

 アマガはハッと目覚める。

「も、もうしわけありません。わたくしサイコグラスがないと性格も変わっちゃうし、どこでも眠くなっちゃって……。もう一度おねがいします。自分の名前が出たところまでは覚えてるんですが」


 鈴木はしかたなく繰り返した。

「アマガさんはぼくたちの味方で、これからすることに協力してくれるつもり。それで合ってますか?」

 アマガは答えた。

「もちろん、そのつもりです。人型生命体を侵略するのは重大な犯罪行為です。わたしたちの会社、テホルル・ペットフーズは宇宙的悪といえましょう。会社のいうことをきいていたらこっちまで犯罪者になってしまいます」


 そこで進常が口を挟んだ。

「わたしたちの作戦なんだけどさ、そっちのマザーシップに潜りこんで超光速通信で会社の違法操業を中央宇宙連邦に通報するっていうの。ねえこれ、もっと楽にできる方法はない? メリコのミッションシップが直せるんならさ、その通信機を使ってなんとかできないの?」


 アマガは難しい顔をした。

「ミッションシップの通信機からはマザーシップの超光速通信は使えません。いまおっしゃられた作戦がもっとも簡単で確実だと思います」

「そうかぁー。やっぱりほかの方法はないのかぁー……」

 鈴木が口を開いた。

「いまそっちではメリコちゃんの扱いはどうなってるんですか。メリコちゃんがどういう状況に置かれていると考えられてるんですか」


 アマガは答えた。

「メリコ149は超体駆除に失敗したものの殺されてはおらず、捕虜になっていると考えられていました。超体駆除のついでに可能なら救出し、ムリならトドメを刺してあげよう、と、そういう認識になっています。また超体のシグナルは安定していないのですが、メリコ149の居場所はわかるので、近くに超体がいる目印ともなっています」


 進常が言った。

「超体ってわたしたちでしょ。わたしたちの居所はわかったりわからなくなたりするんだ? どうして?」

 お茶菓子として出されたせんべいのパッケージを開けながらメリコが言った。

「超体、寝てるとシグナル拾えないんだって。起きて活動してないとどこにいるかわかんない。アタシしらなかったけど」

 進常はさらに質問した。

「じゃ、逆にアンタたちの居場所はどうやって特定してるの?」


 メリコとアマガが顔を見合わせる。

 アマガが首をかしげた。

「さあー……?」

 メリコもせんべいをボリボリ噛みながらこくこく頷いた。

 わからないということらしい。

「わかんねーのかよ!」


 鈴木が割って入ってくる。

「ちょうどいまみたいに、位置確認方法が敵にバレたら逆利用されますからね、そのために秘密なんですよきっと」

「そうかもなー」

 進常は唸った。

 それからアマガに聞く。

「わたしたちの能力、超体の力はそっちじゃどんな感じに把握してるの? もうだいぶ情報いっちゃってるんでしょ?」

 アマガは眠りかけていたがハッと顔をあげて答えた。

「はい、超体は二体一組で行動していて、とても的確に素早く動けて、強力な破壊光線を放つ、ということになっています。ただし能力を発揮するまでに少し時間がかかるので、速攻で倒すようにと」


 鈴木が言った。

「まったく事実のとおりってわけでもないですが、かなり把握されちゃってますね。進常さんの予知が間違ってとらえられてるのはラッキーですね、そこらへんにつけこむスキがありそうです」


 進常はお茶で口を湿らせてから言った。

「あともうひとつ、重要なことを聞いておきたいんだけど。たとえばさ、ミッションシップが直って、メリコがそれに乗ってマザーシップへ帰るとしたら、簡単に受け入れてもらえる?」


 メリコが激しく首を振る。

「やだ! アタシあんなとこ帰らないよ!」

 進常はなだめるように言った。

「そうじゃなくてさ、たとえばわたしと鈴木くんをうまいこと生け捕りにしたっていって、わたしたちをマザーシップへ連れていくことができるかってことよ」


 アマガが答えた。

「超体は抹殺することになっています。生け捕りにすることも、生きたままマザーシップへ連行することもありえません。きっと精神侵襲を受けたものととらえられて攻撃されるでしょう」

「じゃさ、メリコとアマガだけだったら?」

「捕虜からいきなり自由になって帰還ですかぁー。どうでしょう、向こうも警戒すると思います」


 鈴木はいいアイデアを思いついた気分で口にした。

「ぼくたちの反応が消えればいいんだ。つまりぼくたちが寝ているあいだに、メリコちゃんとアマガさんは、ぼくたちを倒したことにして帰ればいい」

 進常が言った。

「それだと二人が安全なのはわたしたちが寝ているあいだだけだ。超光速通信は向こうへ着いたらすぐ使えるのかい?」


 アマガは言った。

「いいえ。超光速通信機は特別な申請をして許可されないと使えません。普通の社員は一周期くらい待たされます。地球時間にして百時間以上になりますね、たぶん。それに許可が下りるともかぎりません」


 進常は頭を抱えた。

「そんなに眠れねーし。死んじゃうよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ