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5、ナナ、よこたんにせがまれヘブンする

よこたんがコンパスから去って(/_;)です。クラスで唯一の友達ロクちゃんにカラオケに誘われる日々です。

5、ナナ、よこたんにせがまれヘブンする





 ヘブンファイアは伝説の魔法である。かつてこの世界最強の賢者が唯一の使い手であった。400年も前の話なので、今は伝説として語り継がれていた。





「ナナたん、ヘブンファイアの魔法をぜひ、見せてください」


「え、急にどうしたの?」


「魔法使いの憧れなのです! ヘブンは!」





よこたんは右腕を前に出して、ぐーと握りしめていた。いつの間に呼び名がカットされている。


翌日、魔物の森に到着したよこたんが、すぐに口を開いて発した言葉はそれだった。


伝説の魔法に強く興味を示したよこたんが、早くみたくて催促してきた。


よこたんにしては珍しい反応だ。わたしの腕を掴み、いつもはわたしがよこたんの後ろに隠れるが、今は、よこたんがわたしの後ろに隠れて、甘えるような声でせがんできた。


その表情が可愛いので、思わず頷いてしまう。





「わ、わかった。やってみるね」


「安全のため魔法シールドの結界を張ります」





よこたんが結界を張るのを確認してから、早速、杖を握りしめたまま左手を挙げる。そして、ヘブンファイアの呪文を唱えようとすると、頭の中に言葉が浮かんできた。暗唱が始まる。





「偉大なる炎の神のヘファイストスに願う、われに力をお貸しください」





そこまで唱えたところで、突然、上空に巨大な紅蓮の炎で描かれた丸い魔法陣が現れた。それから炎は、ぐるぐると魔法陣の中を回り始めた。





そして、わたしはトドメの呪文を唱えた。





「ヘブンファイア!]





次の瞬間、上空で作られた凄まじい熱力が、一気に魔物の森に降下した! と同時に、ドドド!と激しい爆音が響き渡った。周囲は爆風で吹き飛び、激しい熱風がわたしたちにも襲いかかった。


目の前で、衝突する!


よこたんが張っていた耐火障壁に激突した。すると、ビシッ! と眼前の空間に透明なひびが入った。


わたしは慌てて、内側にもう一つ耐火障壁を張りなおした。すぐに、よこたんの結界は吹き飛び、その衝撃がわたしが張った結界に衝突した。それでも勢いは止まらない!


すべての炎の波が消え去った後には、周囲のすべてが黒く炭化していた。


わたしが見える範囲でいえば、確実に10キロ四方メートルがそんな状態だった。遠くの10キロメートルぐらい先に魔物の森が微かに見えた。


す、凄まじい破壊力である!


おまけではあるが、辺りには、魔石がゴロゴロと転がっていた。





「よこたん、終わったよ」


「ナナたん、びっくりしました。思わず涙が零れてきました・・・泣いてますよ」





よほど怖かったのか、よこたんは目元を抑えながら続けた。





「でも、すごく楽しかったですね」





よこたんがちょっと壊れた感じがした。


これは、ディズニーランドでいうスプラッシュマウンテンに乗った後のような感触だろうか? 「怖かった! でも楽しかった」とランド内でよく繰り返されるセリフだ。





われに返った後、二人で吸収魔法を唱え、魔石を回収したが、その量の多さに驚いた。


どれぐらいあるのか想像して、これだけ魔法回復力を作ったらいくつになるだろうか? そう考えて震えた。


作業を終えたよこたんが、満面の笑みを浮かべながら話しかけてきた。





「すごくドキドキしました! もう少しヘブンを見せてもらえないでしょうか?」





いつの間にかファイアがカットされている。よこたん、大丈夫かな?心配になってよこたんの顔を覗き込むようにして見た。





「よこたんは、怖くなかったの?」


「すごく怖かったです! でも楽しかったです! わくわくしました」





よこたんは、こくりと頷いた。


それならば、わたしたちは、討伐を続けることにした。





その後の作業はルーティーンだった。


わたしは、魔法回復薬を飲んで魔法を回復させる。高レベル魔法である飛行を唱えた。よこたんをお姫様だっこして、10キロメートルを2分の猛スピードで空を進み、魔物の森の先端部で着地する。





「到着しました」


「ナナたん、ありがとうございます。それにしても飛行魔法は便利ですね」





よこたんが後ろを振り返り、飛ぶ前の付近を眺めた。





「本当は、黒いローブでほうきに跨ってまたがって、黒猫を連れて移動したいよね」


「なんでしょうか? それは」





どうやらよこたんにはわからないらしい。ルカなら乗ってきそうなので。今度、実演してみよう。





そんなことを考えながら、討伐にとりかかる。


まずは、耐火障壁を3重に張り、同じようにヘブンファイアを唱えた。魔物の森が削られ焼失し、炭化する。


その地面から魔石を回収し、ぐっと減った魔力を魔法回復薬を飲み、回復させる。


その繰り返しだった。


途中でランチタイムとおやつタイムを迎えるまで、ひたすら練習を続けた。魔物の森は高レベルの魔物もいるのだが、そんなものは、ヘブンファイアの前では何でもなかった。ただ、高熱の炎によって一瞬ですべてが焼き尽くされるのである。


後から気が付いたが、この時、わたしたち二人はおかしかった。ハイテンションになっていた!


だからだろう・・・わたしたちに天罰が下るまでそれに気がつかなかった。


いつものように数学は赤点でした。そして、日本史も赤点でした。あと5点あれば、免れたのに・・・悲しいので評価をぜひ、お願いします。

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