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9 ナナ、カノさんとよこたん

前回までのお話。ドラゴンと戦った。

よこたんがコンパスからいなくなった。わたしを置いて別ゲーに行くのか!

 9 ナナ、カノさんとよこたん





わたしとカノさんとよこたんは、小学生時代からの友人である。


小学校を卒業後、カノさんはよこたんと同じブラック北中へ、わたしは、ブラック中へと進学した。


その後、わたしはブラック中で村中のいじめにあい、ブラック北中へ転校したのだ。


小学校からの友人と離れたため、再会することが不安だったわたしだったが、カノさんとよこたんは優しく受け入れてくれた。


ルカは小学校は違ったが、この時、中学校が一緒になった。


わたしとカノさんは、中学時代はとても仲良しだった。おかげで平和な中学時代を過ごすことができた。


しかし、高校生になり、わたしがドジッ子であるために起こした事件により、二人の友情は砕けっ散ってしまった。


それは高校受験シーズンの時である。当時のカノさんは成績が悪く、都会の私立高校に進学しようとしていた。


わたしは、カノさんと離れたくなかったので、自分の学力で合格可能な自宅から通えるブラック南高校に一緒に進学しようと、カノさんを誘った。しかし、当時のカノさんの学力では合格は難しい状態であった。


ちなみによこたんとルカはかなり優秀なので、この高校は選択肢になかった。


わたしは、カノさんと進学したいため、何度も説得した。それによって、カノさんもついに折れて、同じ高校に行く約束をしてくれた。


それからのカノさんの努力は凄まじかった。毎日、6時間も勉強し、どんどん学力を上げていった。一方、わたしは、学力的に安全だったので、まったりとし、あまり勉強をしていなかった。


そして、日にちは過ぎ去りあっという間に、受験日になった。わたしたちは、一緒のお守りを持って、いざ受験に向かった。


わたしは当日、ひどく緊張していた。さらに、いつものドジっ子が最悪な場面で登場してしまった。


最初の国語の試験の時、一マスずつ解答欄を間違えてしまったのだ。試験終了間際で気が付き慌てて消しゴムをかけて直したが、半分ぐらいを直したところで、終了のチャイムが鳴り、その結果、わたしはブラック南高校に不合格になってしまったのだ。


合格発表の後は同情され、カノさんも優しかった。


しかし、わたしが都会の私立高校に通い始め、都会の話をしているうちに、カノさんは、不機嫌になっていった。



「学校帰りにスタバに寄ったよ。美味しかった」

「ななさんはいいわね。わたしは学校から家まで自動販売機しかないわ」


「サーティツーアイスクリームが100円だったんだ」

「学校に向かう途中でタヌキが車に撥ねられて死んでたわ」


「動物がいなくて、車と人とビルだらけで都会は嫌だ!」

「シカやキツネにサルと田んぼだらけで田舎は嫌だわ!」


「遠足はディズニーランドなんだ。お土産買ってくるね」

「遠足は近くの河原。石を拾ってこようか・・・」


その拾ってきた石をわたしに投げてカノさんは、怒った。


「なんで、わたしが行きたかった私立高校に行って、ななさんはずるい! わたしも本当は都会の高校に行きたかったのに・・・河原なんてつまらないわ。ディズニーランドに行きたかった。なんで落ちたの! なんでちゃんと勉強しなかったのよ」


「わたしだって合格したかったわよ。好きで落ちたわけじゃない。カノさんは受かったんだからいいでしょう」

「受かった方がみじめだわ。わたしは都会の高校に行きたかったのに!」


最後は大げんかになってしまい、慌ててよこたんが仲裁に入ったが、二人の友情が戻ることはなかった。



あの大喧嘩したカノさんが今、土下座までして謝っているのだ。あの後、わたしも少しは反省した。

よこたんに説明されて、学校でのことが自慢のように捉えられていたことに驚いた。

それでも絶対に、わたしの方からは謝らないと決めていた。

なぜなら、わたしは悪くないのだから。わたしの本心は自宅から近い高校に行きたかった。

ましてやタヌキやキツネに出会えるのならば、素敵なことではないか! わたしにとってはスタバよりもタヌキやキツネの方が魅力的なのだ。


土下座をしたまま地面に頭をこすりつけているカノさんを見て、わたしもこれ以上意地になるのは辞めることにした。カノさんから謝るのならば許してあげてもいいと思った。


「わかった。もう許すわ。だから、顔を上げて」

「え、許してくれるの」

「もうお互い、意地を張るのはやめましょう。わたしも少しは悪かったわ」


わたしの言葉にカノさんは、ゆっくりと顔を上げた。顔にはびっしりと泥がついていた。


わたしはカノさんに歩み寄り、カノさんの顔の泥を落とそうと手を伸ばした。その時、またしてもわたしのドジっ子が炸裂してしまった。


手を伸ばしたままわたしはあろうことか、何もない地面で足を引っかけて転びそうになった。

慌てて転ばないように何かにしがみ付いた。しかし、勢いがありすぎて、その何かがバキーンと折れる音が響いた。

わたしは勢いのまま地面に倒れてしまった。気が付けば、2本の棒のような物が手に握られていた。


「ナナたん、大丈夫ですか?」


よこたんが心配する声の後に、叫び声が響き渡った。


「わ、わらわのつ、角が・・・」


カノさんは両手で頭を触りながら震えていた。そして、わたしの方を見て。わたしを指さしながら泣きだした。


「角が・・・お、折れてる」


わたしは地面から起き上がると両手に握っていたものを確認してみた。それはかのさんの頭に生えていた角だった。

わたしは、カノさんの目の前までゆっくりと歩き、カノさんの頭の角が折れた部分に折れた角を当ててヒールを唱えた。

折れた角の部分が輝きだし、治りそうに見えたが光が止んでも何の変化もなかった。

ヒールの魔法は効果がないようだった。一瞬、気まずい空気が流れたような気がしたが、わたしは無視した。


「カ、カノさん、ごめんなさい。うっかりして」


カノさんは項垂れながら呟いていた。


「こ、このままでは戻れないわ・・・」


カノさんは再び泣き出してしまった。

この後、カノさんから色々と聞いてみた。どうやら角が折れたため、竜の姿に戻れないようだった。

また、角が生えるには、10年ぐらいかかると告げられた。それまでずっとカノさんの姿のままになるらしい。

とりあえず、戦いはわたしの勝ちで終わり、ドラゴンたちは、カノさんとドラゴン語で何やら話し合った後、しぶしぶと自国へと引き上げていった。


「カノさん、あのドラゴンさんたち、カノさんとの別れを拒んでたけどいいの?」

「カノ様、一人だけ残られるのですか?」


わたしとよこたんが心配そうに声をかけると、カノさんは、ドラゴンを見送りながら答えた。


「わらわだけ残しては行けないと騒いでたわ。でも、わらわにはまだやらなければならないことがある」


後半の言葉は小さく呟いていた。どうやら重要な任務があるようだ。


「ところでななさんに質問があるのだが、いいかな?」

「え、何? カノさん怖いんだけど」

「ななたんはわたしが守ります」


カノさんはわたしをじっと見つめた。まるで観察するかののような目だ。何かを探っているような目をしている。


「ななさんは、人間なのか?」

「はー、何、言ってるのカノさん、それはあまりにも酷いよ! 人間に決まってるでしょう!」

「ななたんは、か弱い人間ですよ」


カノさんのあまりの言葉に異議を唱える。


「か弱い人間がドラゴンの中でも上位のわらわを圧倒するものなのか?」

「異世界召喚されたから、こちらの世界の常識はわからないよ。でも、そういう人もいるんじゃないの?」

「いえ、ボクの知る限りでもドラゴンを素手で倒すのは、ななたんだけです」

「異世界召喚? なるほど、それならあるのかもしれない・・・うーん、あるのだろうな」


よこたんが言い終えた後、カノさんは一瞬、驚いた声を上げた。それから小さく頷いてフムフムと納得していた。


それからわたしたちは、飛行魔法で城の近くまで移動し、周囲にバレないようにこっそりと着地した。飛行魔法が使えるのがわかると色々と面倒なことになると、よこたんからのアドバイスである。


カノさんは、重要な任務があると言うことで、わたしたちに付いてきたのだ。その内容は、世界滅亡に関係するので、シークレットだと告げられ、それ以上は訊ねられなかった。


まー、わたしとしては、もっとカノさんと遊んでいたいので、理由はどうでも良かった。今まで喧嘩して話せなかった分、色々と話したいことが溜まっていた。



わたしの誕生日が近いので、どこか遊びに行きたいと母に告げると・・・私立高校で学費&電車&バス代がかかるからガストにしようと言われた。やったーガストだ! 嬉しいです!

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