初めてのケダモノ
「まったく。手合わせする気も失せたわ。何なんじゃ?そこの娘の方が強いではないか?」
呆れた様子で幼女が俺をディスる
というかもうお姉さんモード終わっちゃったのか?目の保養をする暇すらなかったよ。
「いや、せめて男と戦わせてくれない?これでも帝国の剣にも勝ったことがあるし」
まぁ、ほぼマグレで一回勝っただけだけどな。
「ウソつくではない。あの勇者トモヤ殿にかったなどとどの口が言うのじゃ?」
しかし、俺は嘘つき呼ばわりされてしまった。
「いや、まあ、運が良かったからな。っていうか、勇者トモヤって誰のことだよ?」
なんか違和感のある単語が聞こえてきたが、幻聴というわけではないの?
トモヤは強いけど、勇者というガラではないんだけど。自称勇者とかなら黒歴史もんだけどな。
「お主が帝国の剣と呼んでいた者じゃよ。現時点では人間の中では最強なんじゃ。」
ま、マジか?
ほんとに勇者なの?
勇者ってあんなに脳筋な訳?
「はぁ?強いのは分かるが、最強なのか?まぁ、よく勝てたよな。もう二度と戦いたくないけど。」
そう、こっちの奇襲に経験だけであっさり対応していたし、本当に悪夢的な強さだったよな。
「橋本、それ、ちょっとフラグっぽいからそういう発言はしない方がいいと思うわよ」
あぁっ、たしかにもう一度戦いそうなフラグ発言だったよな。
「えっ?ほんとなのか?あの最強の勇者トモヤ殿じゃぞ?お主かそこまで強くは見えんのじゃが?」
「いや、かなり運がよかったからな。さすがに次やって勝てるとは思えないし。」
まぁ、勝手に自滅してくれたようなもんだしな。
「否定はしないんじゃな?これはかなり掘り出し物かもしれん。」
「いや、だから、決闘祭には出ないからね。」
「大人バージョンの儂と一晩でどうじゃ?」
「えっと、、良いんですか?」
「まぁ、それくらいお主の戦力に期待しているということじゃ」
「ちょっと‥橋本、受ける気じゃないでしょうね?」
そう言われてハッとなった。
そうだ。こんなこと仲間にバレたらどんな目で見られてしまうことか?
例えばイオリにゴミムシでも見るような目で見られるかもしれない。‥いや、それはそれで‥
やっぱりダメだ。
諦めるしかない。
「すまない。仲間を探すのが最優先なんだよ。正直、心配だし」
「そうか。ならば仲間探しを手伝ってやる。そういう条件ならどうじゃ?」
ロリ姉さんは間髪入れずにそう提案してきた。
どうやら元から断られる事は予測していたようだ。さすが。やはりタダの幼女ではないな。
「それは勝っても負けてもでいいなら、その条件でのむよ。宮下さんもそれでいいか?」
「そういうことなら構わないわよ。但し、一晩とかいう条件は無しなんだからね」
宮下さんは腕を組んでそんなことを言う。
だが、残念ながら腕を組んだくらいで宮下さんに谷間が出来ることがなく、なんとなくいたたまれない思いをしてしまい、目を逸らした。
「ほうっ、なるほどな。そういう事じゃったのか?よく見ればお似合いじゃな。そうかそうか。うんうん、若いって良いもんじゃの。
橋本とやらもこの娘を大切にするんじゃぞ」
そう言ってロリ姉さんは俺の頭を撫でる。
側から見れば何やら微笑ましい感じだが
訳知り顔で何かを納得している様子はなんだか俺が気に食わない。というかたぶん勘違いだ。
「いや、なんか勘違いしているからな。俺と宮下さんはそんな関係じゃない。」
そう、ここで強く否定しなかったらまた宮下さんに怒られてしまう‥のか?
宮下さんが俺のことどう思ってるか正直よく分からないんだよな。
「そうよ。そこの幼女魔法使いさん、私達はそんなんじゃないんだからね。」
宮下さんはロリ姉さんを指差して必死に否定している。
あ〜、たすかった。
やっぱり、否定するのが正解だったか?
「わかった、わかったわ。それより、これからの打ち合わせに晩飯などどうじゃ?」
ロリ姉さんに誘われたので俺は例のお店を探すのだった。
その店は労働者から貴族まで肩を並べて食事を楽しめるお店のようで、店は喧騒に包まれていた。
しかし、そのテーブルはカチャカチャと食器とスプーンの触れ合う音だけが聞こえていた。
「‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
ロリ姉さんはバンッ‥と机を叩いた。
「ふ、ふ、巫山戯るんじゃない。何黙々と食べてるのじゃ?」
「あっ、すまない。ビーフシチューがあまりに美味しすぎて夢中になってしまった。それで、何を打ち合わせするんだ?」
「それはじゃな‥次回に続くじ「お待たせ、セツナ」
ロリ姉さんがドヤ顔でそう言ったところで横槍が入る。
横槍を入れた人はロリ姉さんと違って美人のお姉さんといった感じで、ニコニコと微笑んでいる。一緒に居ると癒されそうなふんわり系の美人さんだ。
「ああっ、これが決闘祭に出場するもう1人のメンバーのナツミじゃ。」
ロリ姉さんあらため、セツナさんは無い胸をはって仲間を紹介してくれた。
「ああっ、そうなんですか?ナツミさん、宜しくお願いします」
俺はナツミさんに手をさしだしたのだが
「な、なんで、オトコがメンバーにいるんですか?よ、よらないでください。ケダモノ」
ナツミさんは俺の手を払って俺を罵倒した。
俺は訳が分からず呆然としていた。




