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初めてのホットドッグ


あっさり砦を抜けたが、やはり仲間は先に進んでいるよう誰もいない。


レンに教えてもらったオツキ村はそんなに遠くない筈だ。とにかく、急ごう。


「ところで、なんで泉の中にルイが居ることがわかったのかしら?」


「‥‥俺は常々疑問だったんだよ。童話の金の斧銀の斧の話にしても、あれは美女が予め用意していたものなのか、それとも魔法か何かで一瞬で出したものなのか?」


「それで、、橋本は予め用意していた説を信じているってこと?」


「そういうこと。予め用意していたなら何処かに保存庫があるんじゃないかと睨んでいたんだけど‥‥まぁ、どこに隠しているかは泉の美女がアイコンタクトで教えてくれたからね。」

恐らく、アリアのようにルールに反しない範囲内で便宜を図ってくれたんだと思う。

さすが、アリアの部下だけのことはあって俺に甘いことこの上なかった。


さっすがアリア様、部下の教育が行き届いてる〜


「そういうこと?でもまぁ、感謝してあげなくもないわ。ルイを助け出すことが出来たし。それにしても不思議よね。橋本はいつもいつも、私が困った時に現れるのよね。」


「まぁ、そんなヒーローみたいな登場が毎回できればいいんだけどね。」


「橋本は私にとっては‥‥‥ゴブリンよ、なんとかしなさいよ。」

ビックリしたぁ、一瞬、『お前は私にとってはゴブリンも同然だ』って言われたのかと、、、

ちょうどいいタイミングでゴブリンが三体現れただけだったよ。


「あれ?もしかして、今、頼れるのは俺だけ?」

残念ながら、ダーツ召喚も、ラックゾーンも使った後だ。一体ならまだしも相手は三体だし、正直逃げるのが一番いいかもしれない。


「 」

宮下さんが敵に何か魔術を行使したように見えたが、ゴブリンはダメージを受けた様子はない。ということはデバフか何かの効果があるのだろう。


とりあえず、一体ずつだ。

俺は相手の右側から回り込み、一体に斬りつけた。浅い?


ゴブリンが反撃に棍棒を振り上げて、振り下ろす。


えっ?あれ?


ゴブリンは誰もいない方向に攻撃した為、空振りをした。

ともあれ、相手が勝手にスキだらけになってくれたからチャンスだ。


「最近、あんまり活躍できてないからたまにはカッコイイとこ見せてやる斬りぃ〜」

俺は袈裟斬りでゴブリンを完全に仕留めたが、

後ニ体残っている。


しかし、残りの二体も誰もいない方向に攻撃していた‥‥なんなんだ、こいつら?


とはいえ、俺は警戒しながらもあっさり二体を仕留めることが出来た。相手がバカで助かったよ。


しかし、宮下さんのところへ戻ると、、、、

「ほら橋本、私のこと、褒め称えてもいいのよ。」

と無い胸を張って、褒められたいオーラ全開で俺を出迎えた。見えない尻尾がブンブン振られている所さえ容易に想像させる態度だ。


あれ?この娘、何か褒め称えるようなことしたっけ?

昔のイオリのように可愛く応援してくれたとか、そういう事もしてくれていないよな?


そうなんだよな。この娘可愛いのにこういうコミュ症な態度や、KY発言のおかげで、全くモテてなかったんだよな。


とはいえ、今は宮下さんと俺しか居ない。スルーするってのはちょっと難しいだろう。


あっ、もしかして?

さっきのゴブリン君のおかしな行動は宮下さんのスキルのお陰なのか?


「もしかして、相手に幻覚を見せるスキルに目覚めたのか?ズゴイじゃないか。宮下さんウェイカップって感じだね」

『宮下さん覚醒』って感じで WAKE UP《覚醒する》をちょっと、流暢っぽく言ったのが間違いだった。


「だ、だ、だ、誰がAカップですって?橋本、お仕置き、、は、ご褒美になっちゃうし、、、死にたいの?」


「いや、ワザとじゃない。ワザとじゃないんだ。」

俺は五体投地して宮下さんに謝罪したんだけど、、、


「橋本、、、それ、弁解になってないのに気づいてないのかしら?ワザとじゃないって事は無意識に口に出したってことよね?

それに、無意識に口に出るって事は普段からそう思ってるからってことよね?」

宮下さんが笑みを浮かべてそう言うが、もちろん、目は少しも笑っちゃぁいなかった。


しかし、そこに助けが現れた。

炎に包まれた犬が二匹目の前に居る。

名前は鑑定が使えないのでとりあえず適当に名付けることにする。


ホットドッグはまだこちらに気づいていないようだ。そこで、隙を突いて攻撃しようとした時に後ろから宮下さんの声が聞こえた。


「あっ、間違え‥‥」


しかし、そんな声を無視して俺はチョーヤバイ短剣を振り切りホットドッグに致命傷を与えた‥‥‥筈だった。


「き、消えた?」

しかし、振り返ると奴が居た。かと思うと全く何も居なかったところから攻撃を食らった。

熱いっ。


未知の魔獣の未知の攻撃に完全に翻弄されてしまった。ダメだ、解決の糸口が見えない。


「橋本、私の声のする方に全力で走ってきて。その代わり目を瞑ってだからね。あと障害物は絶対に避けないで。」

宮下さんがそんなことを言うが、宮下さんと俺の間にはこの木なんの木気になる的な大きな木が立って居る。


「いや、これは避けるでしょ?」


「避けたらマジ殺す。」

なんて宮下さんが言うが、

お前は飛車か?

とは言え、なにか逆らえない雰囲気があったので、俺は目を瞑ったまま宮下さんの声がする方に全力疾走した。


「 」

宮下さんが何か魔術のような物を唱えた。

また、例の幻覚をみせるスキルか?


また、魔獣は明後日の方向に攻撃をするんだろうか?そして、予想外の所から攻撃が飛んでくるようにみえるんだろうな。


あれ???

それってどこかで聞いたことがあるシチュエーションだな。いや、聞いたことがあると言うか体験したことがあるような‥‥‥


まさか?


「宮下さん、もしかして、スキルを誤射して俺に当てちゃったんじゃ?」


「‥‥‥‥‥‥‥‥気のせいよ」


「何が気のせいなんだよ?今なら正直に話してくれたらゆるすから」


「‥‥‥‥‥‥‥‥気のせいよ」


「後でバレたらどうなるか分かってる?あんなことやこんなことしちゃうけど、、」


「‥‥‥‥‥‥‥‥気のせ‥‥ごめんなさい、慣れないスキルなものだから。魔獣の視神経を一時的に乱すと言っても結構むずかしいんだからね。」

‥‥俺は気付きたくないことに気付いてしまった。宮下さんのスキルの対象は『魔獣』のはずなのに、、、なんで俺に効いてるの?


「宮下さん、新しいスキルを手に入れたの?」

俺は一縷の望みをかけて宮下さんに問いかけた。


「あっ、違うのよ。これは魔獣支配のスキルの基礎みたいなものよ。完全に支配出来なくても乱すくらいは‥‥まぁ、初めて使ったんだけど」

‥‥もしかしたら、、宮下さんも気づいてしまうかもしれない。


目の前まで迫っていたホットドッグはナゼか同士討ちをはじめて、最後には二体とも消滅した。



「ところで、宮下さんはこれからどうするの?俺たちに付いてくるにしても、コナモ王国までいくつもりなんだけど」


「裏切られた私に何処へ行けと言うの?」


「いや、悪かったよ。何処か落ち着ける場所までは一緒に旅をしよう。」

そう行って先へ進むと


「橋本がどうしても、と言うなら仕方がないわね。ついて行ってあげるわ」

宮下さんは相変わらずの憎まれ口を叩きながら俺の後を追いかけるのだった。

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