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初めての砦探索


「歩きながらでいいのだが、あの自称お嫁さんの少女について教えてもらえないだろうか?」

エリシスがそう切り出した。

やはり、楓の正体が気になるのだろう。


「私は橋本楓。お兄を探してここまで来たんだよ。女の子はお兄の半径3メートル以内に近寄らないように。これは脅しじゃないから、よろしく」

楓は自己紹介?なのか警告なのかわからない事を話し始めた。


「うーん、それを決めるのは妹ちゃんじゃないからね。シンヤ君が集めたメンバーにいちゃもんつけないでくれないかなぁ?」

それに対してコトハさんが笑顔で応戦する。

‥‥確かに、、笑顔なんだけど、、妙に怖いんだが、、、、ど、どういうこと?


「‥‥くやしいんだ?わざわざ、京言葉なんかで他の意味に変えなくてもいいと思う」

楓がコトハさんに目も合わせず言い返す。

というか意味がわからない。


「あなたの態度だと、どちらかというとそれのほうが近いでしょ?ほんと勘違いも甚だしいと思うのだけれど。」

コトハさんも楓に目線を合わせず、しかし、突き刺すような鋭い口調で応戦する。


というか?なんの話ししてるの?

俺が言い争いの意味を理解しようと頭をひねっている内に、バトルが始まろうとしていた。


楓がコトハさんの懐に入っての裏拳を放つ、、前に何とかトモヤが楓を止めた。


「言葉で言い返せないからってすぐ手がでる。もっと慎みを持ったほうがいいよ。い、ち、お、う、女の子なんだし。」

コトハさんが楓を見下すようにそう言い放つと、今度はコトハさんのアタマにトモヤのチョップが入った。


「いい加減にしろ。そこの脳筋女はともかく、お前はこのパーティーのブレーンじゃないのか?それを『いちゃつく』の意味の中の一つ『言い争う、もめる』とかけて、『シンヤと脳筋がいちゃつくともめるぞ』ってな意味で挑発してどうする?あと、シンヤ、お前は1番の当事者なのになぜなにもしない?それに、リーダーなんだろ?このパーティーはバカばっかなのか?」

トモヤが苛だたしげな口調で叱咤する。


それなのに俺は、『あー、そういう言い争いだったんだ?』っと感心していた。トモヤ、解説ありがとう。


もしかして、わからなかったのは俺だけ?

いや、普通わからんよな?

『お前ら全員文学部卒業かよ?』ってツッコんだ方がいいところなんだろうか?



「ごめんなさい、 冷静さを欠いたわ。仲直りの握手しましょ?」

コトハさんは全ての煩わしいものを一気に吐き出すかのように深呼吸した後、そう切り出した。

うん、さっきまでの剣呑さがない。

感情のコントロールが相当うまいのだろう。


しかし、楓は無言で出された手を払った。


その時人が怒りに染まる瞬間を初めて見た。コトハさんからドス黒いオーラが噴き出しはじめた。

みんな行こう、ここもじき腐海に沈む。


「ガルム、あいつ、やっちゃって」

そのコトハさんの言葉が開始のゴングだったかのように第二ラウンドが始まった。




‥‥10分後、ようやく熱が冷めた2人はお互いに嫌々ながら謝罪した。


そして、先に進むこと20分。

とうとう、洞窟の出口が現れた。


「やっと出口だな。これで出てみたら入口だったとかはないよな?疲れたし、ゆっくり休みたいな。」

俺は敢えてフラグを立てるような台詞を呟きながら、洞窟を出ると目の前には砦がそびえ立っていた。


「えーと、、、幻術?じゃないよな?どういうことだ?」

見た感じ、人が居る気配はしないが魔獣はチラホラ確認できた。


うーん、砦を迂回したいけど、砦が出口の真ん前にあり過ぎて迂回ルートはほぼない。

砦を抜けるしかないか?


砦の正面の跳ね橋はおりているし中に入るのは難しくなさそうだ。


「皆んな、ここは砦を正面突破しかないと思うけどどう?」


「俺は正面突破大歓迎だ。漢は黙って正面突破だろ?」

トモヤは非常に男らしい意見を口にした。


「うーん、2人ずつくらいならユニで運べるけど、アヤみたいな遠距離攻撃を持っている敵が居たらアウトだもんね。ここは前衛にトモヤさん、妹ちゃん、ガルム。中衛にエリシスさん、アヤ私。後衛にシンヤ君とイオリちゃんぐらいが妥当かな?」

コトハさんは少し首を傾げて思索にふけったと思ったらやけに具体的な案を出してきた。


バランスが取れている気がするし、悪くない。俺はそう思ったが


「はぁ〜っ、、、さすがパーティの参謀役と言ったところか?しかし、露骨すぎて反感を買ってしまうとか考えないのか?」


「‥‥、トモヤ‥さんでしたっけ?心配しなくてもあなたも、妹ちゃんもそんなこと考える性格ではないでしょう?」

コトハさんは作り物めいた笑顔でトモヤのクレームに応じた。

ごめんなさい、2人が何のこと話しているかわからないんだが、、、いや、、、待てよ、、話の文脈から言ってパーティ編成の話に違いない。

一見完璧に見えるパーティ編成に何か裏が隠れているとしたら、、、?


‥‥‥なるほどな、、、そういうことか?

俺は思わずニヤリと笑みを浮かべてしまった。

楓とトモヤという濃いメンバーの加入ですっかり惑わされてしまったよ。


まさか、、、中衛にアヤとコトハさんを配置することで、、戦闘中も百合百合しようだなんて、、、、

とりあえず戦闘中、ずっと観察してていいかな?



「はいはいっ、そういうことにしといてやるからさっさと進むぞ。まだ暴れ足りないからな。」

しかし、トモヤはサッと切り替えて戦闘モードに移行したらしく、肩を回していた。

もしかしたら騎士団というところは同性同士が仲良くすることはそんなに珍しくなかったのかもしれない。


でも、トモヤに一つだけ言いたいことがある。

『俺を狙うのは勘弁してくれ』



俺がそんなことを考えている間に、そのまま跳ね橋を渡り中に突入した。


辺りを見回すが、誰もいない。

狙うとしたら扉を抜けたあたりだと思ったんだけど、、

数メートル歩いて、更に扉を開くと大きな部屋があった。部屋には10メートルくらい上空に部屋を囲むように通路があるが、そこには死角もないし、やはりそこにも誰もいない。また、部屋の奥側には小学校の低学年位の女の子が1人でボォーッと立っている。


あれ?迷子?なわけないよな?


俺がどうするか逡巡している間にすでに皆は動き出していた。


前衛の2人と一匹が女の子に迫る。

そして女の子に話しかけると思ったら楓が右ストレートでぶっとば‥‥そうとした瞬間、、、楓の姿が搔き消えた。



事態が全く把握できていない俺は、『まるでイリュージョンだよな?』とか現実味のない思いを抱いていたが、



「まず、1人やったな。あと、何人殺せばいいかな?ひぃー、ふーっ、みぃ、よぉ〜、、、次、、なんだっけ?」

女の子はそんなことを呟いた。



「消滅させるスキル?それとも転移系スキル?どっちにしても一旦距離を取った方がいかも。みんな、下がって。」

慌てた声でコトハさんがみんなに指示を出す。


「言われなくても下がっている。」

そう言ったトモヤも俺たちの元へ下がってくる。

しかし、俺は女の子に見入っていた。


「すごいねぇ、手品の腕もそうだけど、演技力も中々だね。で、そろそろ、タネが気になるから、タネをみせてもらうよ。みんな、あの女の子の前までダッシュだ。俺にはまるっとお見通しなんだからな。次回解決編だ!」

俺の予測だとかの有名な『ゾウ消失トリック』と同じく、鏡を使ったものなのだろう。

原理は簡単だ。鏡をある角度に設置すると、一定の死角が生まれるのだが、そこに隠れてしまうという古典的なトリックだ。


きっと、楓は仕掛けられた鏡の裏に居る。

‥ということは今回、楓もグルなのか?


とにかく、鏡の裏の楓にきけばわかる。


そして、皆んなを連れ立ってダッシュし、女の子まであと2mというところで、気づいた。

あれ?鏡がない。



「‥‥まさか、、、こちらの狙いに気づくなんて、」

しかし、なぜか女の子が親の仇のような目で俺を睨んでいる。やはり、ハズレたとは言え種明かしはルール違反だったらしい。少女はびっくりして後ずさりしてしまっていた。


その時、周りの空気が一変した。


具体的には女の子の真ん前に落とし穴が。

いや、よく見るとまわりは落とし穴だらけだ、俺たちはよく落とし穴に落ちなかったよな。


更に俺たちが今までいたあたりの地面に大量の矢が刺さっていた。

そして、その上を見上げると上空の通路から弓を持ったゾンビのような兵隊が大量に矢を放ったことがわかった。


「まさか、この部屋の景色全体が幻術だったなんて。よく気づいたよね。頭に血が上ってたとはいえ、冷静な時でもここまで大規模なスキル行使ができる人がいるなんてやっぱり思わなかったよ。シンヤ君よく気づいたよね。」

コトハさんが何か俺にはわからない理由で俺を褒めているし、


「それにしても敵も考えたものだな。自らを囮にして弓矢で一網打尽とはな。それに、シンヤは相手のスキルの欠点まで読み切っていたということなんだろうな。正直、シンヤは多少気が回る位の印象だったのだがな。能ある鷹は‥‥ってやつか。侮っていてすまない。」

トモヤは何か訳のわからない理由で俺に謝罪している。


ん?なにがおこってるの?

おこなの?

それとも、げきおこなの??


無意識に死語を口ずさんでしまったが、それどころではなかった。落とし穴に誰かハマっているんだ。

助けなきゃ。いや、、、誰かなんて迂遠な言い回しをしたけど、誰かはわかっている。楓だ。


俺は必死に穴から楓を出そうとしたが、、、

こんな時非力な自分が情けない。


トモヤが手伝ってくれてなんとか楓を穴から出すことができた。






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