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初めてのファッションショー

「まず、朝一で私とアヤとコトハが明かりの調達する。毒消しはイオリとリーダーで頼む。とりあえずそんなところか。

リーダー、あと戦術はどうする?」

必要な道具の調達はエリシスが仕切っていたが、戦術はオレに任せてくれるようだ。


「そうだな。まず、俺とエリシスが前衛で、後衛がアヤとイオリ。真ん中がコトハさんで行こう。

ところで、コトハさんは戦闘の時はどんな魔獣を召喚するんだ?」


「ズラトロク、エアレー、ガルムの誰かを

使うよ。そして、スピードならガルム。力強さならエアレー、可愛さならズラトロクで選んでるよ」

えっ?可愛さって、ズラトロクの存在意義ってそこなの?


「なら、とりあえずガルムを基本として相手が大きい場合はエアレーで行こう。

ほっこりしたいときはズラトロクで、、、

後は、今回はイオリは見学だからな。絶対に魔法は使わないようにね。」

押すな押すな的なものじゃなくて、ホントにイオリに魔法を使わないようにクギを刺して俺の言うことは終わった。


「わかったと思うの。」

イオリもここは素直に返事してくれたのでホッとしたよ。


「あと、何か言いたいこととか意見のあるやつは居るか?」

俺は話しを締める前に一応形だけ、みんなに聞いてみた。


「 レン達とは協調して魔獣と戦うのかな?

それとも交互に戦って行くの?

魔王の配下とは戦うの?

それとも勇者隊に任せるの?」

残念ながらコトハさんは言いたいことがいっぱいあったようだよ。


俺は勝手に勇者隊と一緒に行くことを決めたのに肝心なことは何も決めてなかったよ。

これでも、頑張ってリーダーやってるつもりなんだけど、、


「悪かった、明日朝にちゃんと詰めてくるよ。」


それにしても、コトハさんは前の世界では仕切るのとか好きじゃなかった気がするんだけど、、、、俺がリーダー力低いだけなの?


「俺としては魔獣とは交互で戦う。そして、魔王の配下とは戦わない方針でいく予定だよ。他に意見がない場合は解散するから、今日は早めに寝るようにな。」

俺がそう言って話しを締めると、誰も異論がなかったので解散となった。


そして、宿に帰ると俺はベッドに横になり、、寝れなかったけど寝たフリしてた。

色々考えてたら更に寝れなくなって、そのまま夜が明けた。


「おはようと思うの。もう皆んな準備ができてると思うの」

イオリが起こしてくれたのでそのままイオリの頭をナデナデする。


イオリが目を瞑って気持ちよさそうにしてると部屋の扉が開き、アヤが部屋に入ってきた。


そして、俺の側に寄ってきたと思ったら、なぜか今度はアヤが俺の頭をナデナデする。

なんの儀式だよ。


ナデナデを暫く堪能した後、朝食を済ませ、各々買い出しに出た。

俺はイオリと毒消しを調達に行く。


「いらっしゃい。カネヅ‥‥お客さん。お客さんのようなモテそうにない男子には必須の惚れ薬がちょうど入荷したんだけど買わない?」

またまた、カネヅ‥‥って、やっぱりこの世界の店員にはお約束の言い回しなの?

な、なに〜?惚れ薬?さすが異世界!なんでも有りだな。

もちろん、買うよ。買う買う。


「えっと、今、あんまり手持ちが、、、、

ちなみにおいくらなんですか?」

手持ちのお金はあるけどなるべく沢山買いたいし、値切ろう。


「銀貨5枚だよ」

あれ?意外と安い?



俺はカウンターに金貨の詰まった袋を置き、こう言い放った。

「あるだけ全部くれ。」


しかし、その金貨の詰まった袋は可愛い女の子が掴んで俺に押し付けてくる。


「シンヤ様、なにやってるの?と思うの」

その可愛い女の子はもちろんイオリだった。

イオリは俺にドライアイスより冷たい視線を向けているんたけど、何かうまい言い訳を考えないと、、、


「勘違いするなよ、俺は別に本当に使う為に買うんじゃなくて、願掛けのために買うんだよ。いずれ、好きな人と結ばれますようにってな。」

じゃあ、なんであるだけ買うんだよ。とか言われたら返せなかったけど、幸いツッコミが入ることなく、イオリはただただ顔を林檎のように真っ赤にして何やらブツブツ呟いていただけだった。


「ところでお客さん、惚れ薬はどうします?」

店員さんはそう尋ねたけど、、、


「また今度買いにくることにするよ。それより、毒消しを、そうだな、20袋くれ。」

今惚れ薬を買うとマズイ。

後で1人でコッソリ買いにこよう。


「まいどありぃ〜」

店員は急に愛想が良くなりさっと袋に詰めて笑顔で毒消しを渡してくれた。



毒消しを買い終えるとまだ、時間があるのでイオリとブラブラ買い物をして回ったよ。

以前と違い、イオリと一緒に買い物出来るのは楽しかったけど、、、


「イオリ、ホントになにも要らないの?イオリの装備ってほぼ会った時のままだよね?」

防御力皆無な地味ぃなフード付きコート。


その中に来ているのも地味ぃな麻のシャツに麻のパンツだった。


イオリ《ウチの娘》の可愛さを全然引き立てられてないよ。



ということで、、、、ドンドンドンドン、パフパフパフパフ、、、、

第一回イオリんファッションショーを開催〜


今回はゴッドファッションアドバイザーとしてコトハさんに来ていただきました。


「うーん、イオリちゃんは可愛いからなに着ても似会うね。パーカーにデニムにスニーカーでボーイッシュなんだけど可愛さが全身から溢れててほんとにほんとに可愛いよ。」

早速上から下まで着替えさせられて、居心地悪そうなイオリの周りを何周も回りながら褒めまくるコトハさん。


「イオリはこのファッションどう思う?」

俺もコトハさんの言う通り似合ってると思うけど本人が気に入らないと意味ないから聞いてみた。


そもそも、この世界にパーカーとかスニーカーが有るのがオカシイ気がするけど、前にも転移者が居たらしいからその人たち発案なのかな?


「シンヤ様はどう思うと思うの?」

イオリが俺に意見を求めてきたので素直に答えたよ。


「ほんとに可愛いし似合ってるけど、コトハさんの引き出しはこんなものじゃないって信じてるから色々着てみたら?」

俺のその発言から、今度こそ本格的にイオリンファッションショーが始まった。


「うわ〜原色だらけで目がチカチカしてくるよ。これ、原宿系ってやつ?」

これはダメだわ、なんか目に悪そうな色だらけだ。


「うーん、パンク系かぁ?鋲の付いた革のライダーズジャケットとかちょっと欲しいな。でも、この世界で需要があるとも思えないんだけど。」

なんでパンク系なんだよ。


「お〜〜、これは意外だったけど、、もの凄く似合ってるな。ほんとに凄く可愛いよ。

これにしよう、これこれ。」

俺は一目で気に入った。

それは黒をベースにしたいわゆるゴスロリファッションだったが本当にイオリによく似合っていた。


「え〜〜、確かにもの凄く似会うけど旅に出る服じゃ無いよね。靴はちょっとソレっぽいものでも歩きやすい靴はあるけど戦ったり走ったりしづらいんじゃないかな?」

コトハさんは自分の好みで着せたくせに真っ先に反論してきた。


でも、一理あるな。

コトハさんにしてもアヤにしても自分に似合う服を着ているけど決して動きやすさを犠牲にした服装じゃないんだよな。

よし、これは諦めて次の衣装に行ってみるか?


「ちょっと待って、イオリはこれが気に入ったと思うの」

イオリが顔を真っ赤にしてそう主張するので結局ゴスロリファッションに決めてしまった。


「イオリはやっぱり俺と気が合うな。」

俺がそう呟いた。


「朴念仁」」

とコトハさんは呟いたが俺には聞こえていなかった。



そしてそのままお買い上げしたんだけど、俺がお金を出そうとしたらイオリに大反対されたよ。

いつもお世話になってるし、なにかプレゼントしたかったんだけど。


だから、集合場所にはこのまま向かわず現地集合にして、俺は1人で魔法具屋に行くことにした。

もちろん、イオリへのプレゼントを買いに行く為だ。


そして、魔法具店に入ると猫耳の店員が笑顔で接客する。

「いらっしゃい。カネヅ‥‥お客さん。お客さんのようなモテそうにニャい男子には必須の惚れ薬がちょうど入荷したんだけど買わニャい?」

あっれぇ?さっき、聞いたのとほとんど同じセリフがまた聞こえるよ?


「あの?それってさっき薬屋でも言われたんだけど。

俺は素直にそう告げただけだ。


「ギクッ、何を言っているのかニャ?インチキニャんて言いがかりはやめてくれニャいかニャ」

彼女は額からダラァ〜っと尋常じゃない量の汗を垂らし始めた。

うん、あまりにも怪しい。


「あの、もういいよ。それよりも、この翠石の杖が欲しいんだけど。」

俺は正直ちょっとめんどくさくなってきたので本題に移った。

目の前にある杖は中々いいものに見えるし、長すぎずイオリにぴったりな気がする。


「えっ?惚れ薬は要らニャいの?」

猫耳少女はアテが外れたのか一気に食いついてきた。

なんだ?狩猟本能でも目覚めたのか?


「えっ?惚れ薬はいらないよ。どうしてもというなら君が飲んで見せてよ。」

俺はマタドールのように、さらりと華麗に躱して見せたよ。


「え〜、ミーが飲むの?」

彼女は耳をピーンと立てて驚いていた。


「偽物だから飲めないの?」


「そんなことニャいニャ。飲むニャ」

俺の挑発にあっさり乗って惚れ薬《偽物》を飲み始めた。あの緑色の液体。完全に青汁だよな?


涙目になりながらなんとか飲み干した少女は

「惚れたニャ」と若干棒読みで言ったので俺はすかさず彼女の肩を掴むとキスを迫った。


「何をするニャ」

彼女はそう言って俺を突き飛ばした。

突き飛ばされた俺は尻餅をついてしまった。


「イテテテ、なにするんだよ?惚れたんじゃなかったのか?今度はちゃんとキスするんだよ」

もちろん、俺は意地悪でそう言ってやったら、


「わかったニャ。ミーの負けニャ」

少女は両手を挙げて降参した。


「えーと、降参した猫耳さんにはこの杖を安くしてもらおうかな?」

そう言ってさっきから目をつけていた翠石の杖を指差した。


「こ、これは金貨二枚と銀貨18枚からは負けられニャいニャ」

そう言うので


「この店は詐欺を働いているって周りに吹聴して歩いていいかな?」

と笑顔で脅すと金貨二枚で売ってくれることになったので、俺はホクホク顏で集合場所に向かった。


あっ、もちろんチップとして銀貨18枚は猫耳少女に渡しておいたよ。

でないと、たぶんあの猫耳少女は店長から叱られるだろうしね。


すみません、ようやく次から魔王の配下との戦闘編に入ります。わりとサクサク進みます。

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