表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乱心令嬢リーベミオのたった一つの望み  作者: 池中織奈
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/45

ロベルダ公爵家のその後 ⑤

 レリオネル・ユウディスとリーベミオ・ロベルダの足取りは中々つかめない。そのことに国王も公爵も焦りを感じていた。



 ――王国と公爵家の力を持ってしても、彼らの行方は分からないのだ。

 神や精霊に認められた彼らは、その後、特に何か大事を成しているわけじゃない。というより、二人は既に目的を叶えてしまっているのだ。




(……早くリーベミオを見つけたいのだが)



 リーベミオの母親である公爵夫人は、すっかり落ち込み、心を病んでしまった。他の子供達のことを顧みれなくなってしまっていた。このままでは問題である。




 社交界の場にも出ていない。

 これまでパーティーやお茶会などに出ることを好んでいたのに、すっかりひきこもっている。




 リーベミオのことを考えるとそうやって楽しむことなど出来ないのだろう。




 公爵もそれは同意である。とはいえ、公爵は妻のように引きこもるような真似は出来ないのである。

 レリオネル・ユウディスとリーベミオ・ロベルダの足取りが本当に分からない。ただ辺境の地を調べていれば幾つか分かったことはあった。




(リーベミオが辺境の地へ追いやられてから、【ニクスの花】と【オランジュスカ商会】の傭兵団と商会が産まれている。そして……その二人は我が国から退いてしまった。もしかして、それに娘が関わっている……? あの地は特に名産品もないような田舎だった。そこから他国に名を馳せるような二つの団体が産まれるというのも不自然なことだ。しかし、その二つが立ち上がった時……リーベミオはまだ子供なのだ)




 【ニクスの花】と【オランジュスカ商会】。

 国内外に影響力のある大きな傭兵団と商会。

 その二つは突然発生した。そして理由も分からないうちに彼等は別の国に拠点を移してしまった。



 この国には居られないとばかりに、手を引いた。

 それはリーベミオが関わっているからじゃないのかとそんな考えが頭をよぎった。




(その二つを調べれば、もしかしたら……)



 そんな結論に至った公爵は、配下の者達に早急に調べさせることにした。しかし、中々上手く行かない。

 両方を調べようとすると、【ニクスの花】の傭兵たちが出てくる。明確に【ニクスの花】と【オランジュスカ商会】が繋がっている証ではあった。




 【ニクスの花】の傭兵たちは恐ろしく洗練されている。――その団長は、あまり人前には姿は出さない。

 噂だけが残っているだけである。姿を現さない団長。その存在に対して団長が畏敬の念を感じているらしいことも公爵は把握することとなった。

 姿が現さないが、傭兵たちにはとても慕われているらしい団長。性別さえも不詳で、傭兵団の仕事にはそこまで姿を現さない。噂では魔物討伐はしているらしい。そういう中々表舞台に出ない存在でありながらも、依頼も限られたものしか受けていないのに――団長は【ニクスの花】を統率している。

 それだけの実力者であり、カリスマ性のある存在であるのだろう。







(【ニクスの花】の団長に接触をすることが出来れば、リーベミオが何処にいるか分かるだろうか。娘に会いたいという思いを切実に伝えれば……)




 そんなことを考えながらも、公爵は顔色を悪くする。



 傭兵団の団長は、周りから求められても一切会うことが叶わない存在である。それこそ、他国の王族から求められても姿を現すことなどもなかったそうだ。

 そんな存在が、公爵の申し出に頷いてくれるかどうかさっぱり彼には分からなかった。

 そもそも手紙を渡して、【ニクスの花】の団長に会いたいと望んだところでそれが本人に届くかどうかも分からない。

 だから、望みが薄いだろうとは公爵は思っていた。




 それに手紙を出す行為は、【ニクスの花】の逆鱗に触れる可能性がある。その傭兵団は周辺諸国にも名が知られている実力主義者の傭兵団だ。

 今のところは、彼らが私利私欲に何か行動を起こしているわけではない。それでももし怒りを買ってしまえば、その戦力と対峙しなければならなくなってしまう。

 ――そう、だからこそ慎重に動かなければならないということは分かっていた。

 公爵は【ニクスの花】に手紙を送ることを国王にも相談していた。勝手に行ったことで、国益を損ねてしまうことは避けたかったからである。




 国王も【ニクスの花】の噂は十分に知っているらしかった。というより、国としても魔物討伐などを依頼したこともあったから、その実力も理解していたのだ。

 だからこそ、慎重に接しなければならない。

 公爵はもし、【ニクスの花】と敵対することになった場合は、自身が責任を取ると宣言した上で手紙を出すことにした。



 他でもない、娘に会うためである。

 公爵も、公爵家も、リーベミオ・ロベルダのことを疎み、辺境の地へ追いやってしまった。

 それから会うこともせずに、その存在から逃げてしまった。



 ――その結果が今である。もし仮に、公爵家がリーベミオ・ロベルダのことをもっと大切にしていれば、信じていれば……また状況は違っただろう。

 これはあくまでロベルダ公爵家がリーベミオ・ロベルダを乱心令嬢などと称したせいである。



 だからこそ、許してもらえるか分からない。会ってもらえるかも不明だ。



 それでも公爵は縋る思いで手紙を出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ