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百合の花咲くドローもある 作者:ゆりかぜ
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第九話

会場描写がわかりにくくてすいません……
全然想像付かない、という方は、
カードゲーム グランプリ会場 
等で画像検索して頂ければどういう会場かわかると思います。
「わぁ、すごい人だね……」
 待ちに待った金曜日。私と風音は店長に車で連れてきてもらって、グランプリ会場に来ていた。会場は大規模な展示会や同人誌即売会なんかが行われているホールで、そこに四分の三程に所狭しと並べられた長机と椅子。残りは買い物ができるブースになっていて、すでに大勢の人が買い物をしたり、カードを広げてトレードをしたりフリープレイをしたりしている。
「まだまだ少ない方だよ。明日になったら本戦の参加者だけで三千人以上になるんだから、こんなもんじゃないよ」
「すごいですね……こんなのがあるなんて私、全然知りませんでした」
 キョロキョロとあたりを見回している風音。きっと想像してたより規模が大きくて驚いているんだろう。私も初参加のときはそうだった。
「さて、じゃあまずは大会の申込みだけして、その辺のショップとか見て回ろっか」
「うん、あ、遊里ちゃん。その……人が多いから、手繋いでてもいい?」
 確かに、人が多いし私には風音を守るという使命もある。はぐれないように手を繋ぐのは良い提案だと思った。
「そだね、繋ごっか」
 そう言って、風音の手を握る。風音の手は柔らかくて、ちょっとぬくい。普段あんまり手を繋いだりしないから、慣れない感覚にちょっと戸惑う。手を繋いでいるのが美少女の風音ということもあるし、なんだか少しドキドキしてしまう。
 風音と手を繋いで歩いていると、なんだか周りの人に見られているような気がする。まあ風音は可愛いからしょうがないかもしれないけど。
 人の視線が若干気になりつつも会場をウロウロしてると、すぐに受付が見つかった。ちょうどカップル限定大会の募集も始まる時間だったので手早く受付を済ませて、買い物ブースを冷やかしに行ったりして大会が始まるまでの時間を潰した。
 買い物ブースには普段なかなか見ることがない、20万円とかするカードがあったりして、風音はすごく驚いていた。私はというと、手を繋いでウィンドウショッピングしてるこれって、デートっぽくない?とか思ってしまい、さらにドキドキが高まっていた。
 ……いや、ウィンドウショッピングって言うと聞こえはいいけど、実際見てるのはトレーディングカードに書かれた宝石とかだから、何か違う気はするけどね。
 そんなこんなでウロウロしていると、大会の時間になりアナウンスで参加者の呼び出しがあり、私たちは大会の開催場所へと移動した。




「愛し合ってるかーい!?」
『おおおおおー!』
 司会の人のマイクパフォーマンスに、野太い声の返事がこだまする。そう、もちろんここはカップル限定大会の会場です。
「見事に男の人だらけだね……」
「そうだね……」
 周りを見渡すと、70人程の人が周りの席に座っているけれど、そのほとんどが男の人だった。話には聞いていたけれどカップルって言い張れば問題ないというのは本当だったみたいで、私達みたいに女の子同士のカップルも2組、男女のカップルが4組。後は男の人同士だった。
「女の子はこれだけ珍しいってことだね。声かけられても着いてっちゃだめだよ風音」
「大丈夫。私には遊里ちゃんがいるからね」
 そう言ってニコッと笑う風音。あぁ可愛い。ここが家なら飛びついて抱きしめてしまいそうだったけど、自制心を全開にしてなんとか耐えた。周囲から「百合だ……」だの「キマシタワー」だの聞こえてたけど気にしない。
「それではルールを説明するので、しっかり聴いてくださいね」
 おっと、風音とイチャイチャしてる場合じゃなかった。今から大会が始まるんだから気合い入れないと。なんせ練習はほとんどできなかったから、私が風音をしっかり引っ張っていかなきゃいけない。お父さんにも風音の事は任されているんだから、頑張って勝つぞ!




「遊里ちゃん、ここでこれ使うね」
「うん、それでピッタリ8点で私達の勝ちのはず!」
「うーん……負けですね、ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
 対戦相手の男の人カップルに勝ち、私たちは怒涛の四連勝。全部で五回戦なので、後一回勝てばなんと優勝。正直ここまでこれるとは思ってなかったけど、この大会はパックを剥いて出てきたカードを使い、その場でデッキを組むタイプだったので、出てきたカードの運が良かったこと、そして風音が予想以上に上手になっていたことが原因だった。
「風音、すごいね。なんだか前よりも上手になってる気がする」
「……うん、実はちょっと勉強したんだ。インターネットで上手な人のブログとか見てみたりしたの」
 おぉ、風音ってば勉強家。
「遊里ちゃんがあそこまで本気でお父さんを説得してくれたから、私も本気でやらなきゃダメだと思って。私、遊里ちゃんの役に立ててた?」
 そうだったんだ……風音は本当に良い子だなぁ。
「うん。私が気付かなかったようなことも教えてくれたし、ここまで勝ててるのは風音が頑張ってくれたおかげ。それにあれは私が風音と遊びたかったからだし、そんなに気にしなくても良いよ」
「良かった。私も遊里ちゃんと楽しく遊びたいから勉強しただけだから、大丈夫!」
 褒められた風音は心の底から嬉しそうな笑顔を浮かべる。この笑顔を見るために頑張ってるんだなぁと思う。風音の笑顔があれば何でも頑張れる気がするから不思議なものだ。
「あのー、ちょっとインタビュー良いですか?」
 そんな感じで二人でイチャイチャしていると、ふいに声をかけられた。見るとさっきの司会の人で、運営のTシャツや腕章を付けている。
「参加者の方何名かにインタビューさせてもらっているんですが、良ければいくつか質問に答えてもらえませんか? すぐ終わりますので」
 ちゃんとした公式の人みたいだし……ちょっとならいいかな。インタビューなんて普段されないから面白そうだし。風音に目をやると、大丈夫といった感じで頷く。
「良いですよ」
「ありがとうございます。ではさっそく……」


 インタビューの内容は、大体がカードゲームに関することだった。いつから始めたか、普段はどこで遊んでいるか、好きなカードは何か、等々。もちろん叔父さんのお店を宣伝しておいた。
「では最後に、お二人にとってカードゲームとは何ですか?」
 最後になかなか難しい質問がきた。うーん、何だろう。出会いのきっかけ?共通の趣味?そんな普通の答えだと面白くないだろうし……あ、良いの思いついた。
「運命の赤い糸、ですね!」
 ぐっと握りこぶしを作って答えた。きっとこういうのを求められているはず。求められるとついつい答えたくなるよね。
「ゆ、遊里ちゃん!?」
「おぉ、お熱いですね!では最終戦もそのラブラブな調子で頑張ってくださいね」
「はい、ありがとうございます!」
 司会の人は良い答えを貰えたのが良かったのか、ニコニコして立ち去った。
「赤い糸……ラブラブ……」
 残されたのは平然としている私と真っ赤になった風音。さっきの受け答えを額面通りに受け取ったのかな。きっと風音なら真面目に、仲良くなるキッカケでした。って答えてそうだしね。
「風音、今のは流れというか……ノリで言っただけだからそのまま捉えなくても良いんだよ」
「ノリ……そう、ですね。うん。あんまり私ああいうの得意じゃないから、とっさに出てくる遊里ちゃんはすごいね」
 少し落ち着いたのか、いつもの顔に戻った風音がそう言う。適当に思いつきで言っているだけだからすごいってこともないような気はするけど、素直に褒められておこう。
「…………私は、本当に赤い糸でも……」
「第四回戦が終わりました! 最終戦の前に、優勝の副賞を発表しまーす!」
 風音が小声で何か言おうとした時に、司会の人の声が響く。
「優勝者にはパックの他に……なんと、関東の某有名テーマパークのチケットが進呈されます!」
「えぇ!?」
 司会の人が右手に持ってヒラヒラと振っている券は、皆が大好きな某テーマパークのチケットだった。何を隠そう、私はこの某テーマパークが大好きだ。と言っても小さい頃に一回行っただけなんだけど。近々行きたいと思っていたところにこのチケットの賞品。これは絶対欲しい!
「風音! 絶対勝つよ!」
「う、うん。遊里ちゃんってああいうの好きだったんだね」
 私のテンションの上がりっぷりに驚いている風音。もしかしてちょっと引かれてるかもしれない。
「うん、実は好きなんだ。勝ったら一緒に行こうね!」
「え、私でいいの?」
「もちろん! 一緒にいくためにも、最後は絶対負けられないよ!」
「遊里ちゃんと一緒に遊園地……うん、頑張る!」
 こうしてやる気が燃え上がった私と風音は、見事に物欲に釣られて最終戦に望むのであった。
次回で最終話(多分)です。
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