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望月と少年の非日常譚  作者: 義春みちを
3章 鍛冶屋を求めて。
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4章 1話:理解。そして自覚。

今日も今日とて、青い空が綺麗である。ガゼボで紅茶を飲むリリレヴァを横目に、芝の上で横になる。風が吹き、木々が揺れ、葉が自然の旋律を奏で。茶托にカップがことり、と置かれた。環境音が、目の前の風情を強調する。

そんな中、唐突に視界に入ってくる影。


「呑気なものだね。別に、客人扱いだし良いけどさ。そんなところにいたら踏んじゃうよ?」


紅茶を淹れていたマオだった。

逆光で黒い髪がさらに漆黒へと落ちる。


「良いじゃんか、俺に出来ることなんて少ないし。あ、一応風呂掃除ぐらいはしておいたぜ。ルナていのお墨付き。」


「余った時間で何しようと勝手だけど。自分磨きとかはしないの?と、いうか。よくそんな強さで今まで生き残ってこれたよね。比較的安全な都市部で定住してたってわけじゃ無さそうだし。」


チクチクと、言葉の節々が刺さる。しかし、言った当の本人は悪意が無さそうなのが本当に。


ふと、この前鍛冶屋ことオウミョウに言われたことを思い出す。なんでも、異質ではあるが水魔法に適性があるのだとか。なぜ異質なのは不明なまま。


「…なあマオ、魔法の心得とかあるか?」


「人並みにはあるけど…。そういうのはヴィオラやソルティアに聞いた方が」


「俺に教えてくれると思うか?」


「確かに」


と、いう事で急遽魔法教室が始まった。『まずはお手本』。そう言い、マオはこちらに手を向ける。


「その身で体感して盗め的な事⁈流石に死ぬって!何が出てもやばいじゃん⁈」


「黙って喰らえッ!!!」


ビュオッと、強風が吹く。




「…?」


「何か?これが僕の魔法、風魔法だよ。この風で拳を押して、斬撃を早くしている。一応使えるけど、魔法の出力が比較的弱くてね。」


例えるなら、扇風機を動かせる電気はあるが、ハンディファンしか無いような。


「魔力の種類はわかってるかい?」


「水らしいけど…」


それを聞いたマオは、ウツキの手を取る。


「じゃあ、手から出してみようか。」


手のツボを押されている。血行が良くなると出るって訳じゃなかろうに。しかし、血行が良くなると酸素や栄養が全身に回るとも聞く。同じように魔力も巡るのだろうか。どちらにせよ真意は不明だ。


「水魔法は、水を生成・操作する魔法だよ。思っているより、力を入れなくて良い。腕を動かす時も、いちいち『動かすぞ!』って思っていないだろ?魔力を意識して、手から放出。考えるだけで良い。一度コツを掴めれば、自然とできるようになる。」


オウミョウに言われたイメージを思い出す。血中の魔力を意識する。実際に血中を巡っているのかはさておき、体の芯から腕を通って手から放出。


じわっ…


手のひらに湧き水のごとく、少量の水が滲み出た。


「うわっ…

あ、いや。できたじゃ無いか。おめでとう。」


「え、いま『うわっ』って言ったよな?ちゃんと魔法だよ⁈」


微量ながら、2回目の魔法に成功した。しかし、1回目とは違い量が少ない。


「さっき言ってた出力って、生まれながらに決まってるのか?成長とかって…」


「するさ。ただ、僕の場合は強風程度で成長が止まっているだけさ。上限はあるけど、出力の練習をすればなんとでもなる。」


少し安堵した。毎回外部からの刺激がないと、あの1回目の出力で出せないとなれば、確実に凹んでいた。


「なんとなく分かってきたし、出力を上げる練習でもしようかな。魔力切れとかってどうするの?」


魔力は自分の力。ウツキ的に、王道は体力のように消耗品だが。ウツキの魔力が人並みとは聞いたが、具体的にどれぐらいを消費して魔法を出すのか。そもそも人並みとはどれぐらいなのかがわからない。そんな中、もし回復手段が無いとなれば、今ここで使うのは愚行と言えるだろう。


「命に関わるほど使わなければ、基本的には寝て起きたら戻っているはずだよ。『リョクマの実』という木の実を食べても復活するけど、一応高価な品だからそれを頼りにはしない方がいい。まあ、このタルカーニャの森にも群生しているけど…取りすぎないように。」


便利な物だとしても木の実は木の実。動物たちの食糧でもあるだろう。特に、後から来たウツキが獲るのは御門違いである。


閑話休題。更に魔力の流れを意識してみる。手に力を入れてみたり、逆に出来るだけ抜いてみたり。すると、上手い具合ストローを通るジュースほどの量で、水を掌から出せる様になった。


「…何してるんだい?」


「いやぁ、回復するならいくら練習しても良いかなって。少し出せても仕方ないし、出力上げたいな〜、と。…良い練習方法とか知らない?」


練習は方法も大切だ。腕を鍛えたいのにスクワットだけをやっても効率的では無い。

『負荷のかけ方』と考えた時に1番最初に思いついたのが、持続して出し続ける事だった。しかし、魔法の仕組み・本質を理解していないのだから、負荷のかかり方もわからない。


「…要は『瞬間的にどれだけ出せるか』なんじゃ無いかな。だからずっと出すより、一瞬に魔力を込めるとか?まあ、ずっと出してて持久力を鍛えるのも良いとは思うけど。」


「強い攻撃をドカンと一撃…!でも当たんなかったり、効きが悪かったり、敵の数が多かったりしたら…。

…弱いけどチクチクずっと攻撃されたら嫌だよな。よし、やっぱり持久力上げてから出力上げるわ。」


「君、性格悪いよね。」


□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇


それから数日が経った。


魔法の練習を続け、なんとか弾のようなものを射出できるようになった。しかし、流体の水はどうにも威力が上がらない。


「威力を上げるとなると、指先から出して、ウォータージェットみたいにしてみるとか?金属をも切断する水…いいな。」


仮に、手からウォータージェットを出せたとしても、異世界の住人に通用するのかは怪しい。本来の使い方として、火花の散らないエンジンカッターと考えると汎用性は高いのかもしれないが。


そんなことを考えていると、背後から声をかけられる。


「ウツキ殿、今お時間ありますか…?」


「暇だけど…、もしかして校舎裏にお呼び出し⁈」


何を言っているのか理解に苦しむルナティアが、ゴミを見るような目でウツキを見つめていた。


「買い出しです。たくさん買い込むので、割れやすい卵を持たせます。それだけです。」


「…ハイ。喜んで同行させていただきます。」


華麗なるスルースキルを披露され、有無も言わずについて行く。


□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇


他愛のない話をしつつ、大量の買い物をした。ルナティア曰く、「少しでもお嬢様のお側に居たい」だそうな。私情と言うよりは、護衛の為らしい。


以前話していた『人種主義』と言う思考は、多少なり皆の脳の片隅にあるようだ。特に、『血を吸う』という人間離れした『吸血鬼』は恐れられているようだ。例えそれが、彼らにとって生きる為の行為だとしても。


ダンピール=半吸血鬼であり、リリレヴァは誰から恐れられても———退治されようともおかしくないのだという。また、ウツキが来る前も日の民にちょっかいを掛けられたりしていたそうだ。


「え、やばいじゃん。『俺が守ってやらないと』とかでどうこうできる量じゃないじゃん。」


「はい。真面矢場(まじやば)です。あくまで可能性の話ですが。日の民の目的は、常人には理解できませんし、したくもありません。人間は…勝手に恐れて勝手に向かってくるだけです。国直属の騎士だったり、名のある人物以外は気にするだけ損ですよ。」


この事をリリレヴァが知っているなら、多少なり傷ついているはずだ。得体の知れないものと、いつ爆発するかわからない感情。どちらも予測不能故に、気にするだけ無駄だそうだ。


「…暗くなってきたな。」


少し湿っぽいような、暗いような。そんな話から話題を逸らそうと空を見る。


「そうですか?ここら辺は灯りも付いていて明るい方かと。」


「…そう、なのか?」


夜から真っ暗闇の消えた街で暮らしていたウツキは、この世界の逢魔時(おうまがどき)の暗さが明るいとは思えなかった。


「ウツキ殿って、どれだけ都会から来たんです?これだけ明るければ暗いだなんて言わないと思いますけど」


「…いや、空の話。」


意味もなく、嘘をついた。


しかししばらく歩くと、次第に『こんなものかもな』と思い始めた。元の暮らしていたところは、完全な都会でもなく、かと言って田舎でもない。夜は白い街灯がぼんやりと点き、民家の明かりで足元は見えるぐらいだった。先までは街灯なんて無く、かろうじて前は見えるものの、足までは見えないほどだったが、今は一変して



「明る…すぎます…。」


「こんなもんじゃ…」


『こんなものじゃないか』。そう言い切る前に、ルナティアは荷物を地面に置き、走り始めた。

どこぞの部族かと思うほどに速い彼女に目が届かなくならないよう、必死についていく。幸いにも、目の前は明るく、姿が闇に溶けてしまうことはなかった。むしろ、明るすぎて目が少し眩むような。



「………うそ」



目の前をギラギラと照らすは、大量の炎。火柱と黒煙とで、屋敷は見えない。


「……かけて、ください」


「ぇ………?」


「早く私に水をかけてくださいッ!貴方じゃ遅いし、焼け石に水ですッ!早く!」


すっぽ抜けていた自身の魔法の事を思い出す。慌てて水を開ける。自分から言い出したとはいえ、水をかけられようが怖いぐらいに動じない。


「足手纏いですから、ついてこないで下さい。」


先ほどよりも速く日の中に飛び込んでいく。

取り残されたただの少年は、火に飛び込む根性など持ち合わせていなかった。消火は後回しに。誰かの無事を確認する為に、自分の道を作り走り始めた。


誰かを助けられる程、ウツキは万能ではない。手の届く範囲で、手を伸ばし始めた。

おはこんばんちゃ、みちをです!

やっと始まりました、4章です!いや、速くね?このペースだと30章とかいきそうですけど⁈

てか眠い!もう少し書く予定でしたが限界です!

週休2日キボンヌッ!!!(切実)

寝ます!2時12分!おやすみッ!

アンチでもいい(根拠のない批判以外)から感想ください!

また来週!

          _,,..,,,,_

         / ,' 3  `ヽーっ

         l   ⊃ ⌒_つ

          `'ー---‐'''''" すやぁ…

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