#12 瓦礫沈淪、みーんな氏ねどす
どうぞ
永禄十二年(1569)十一月朔日
「ご尊顔を拝し奉り祝着至極に存じ奉りまする」
次郎法師がやってきた。
寒気がするほどの怜悧な瞳で真っ直ぐに見つめてくる彼女は、とても中性的な顔立ちをしていた。
井伊家は藤原氏。なのに天彦の目には古の若き俊英の絵が浮かんでいた。なぜなら彼女からは武家の匂いがぷんぷんとするのだ。
この天彦が感じる武家の匂いを言語化することはとても難しい。
DQNとも違い下衆とも違う。野性味とも少し違う。その手の人種が圧倒的に武家に多いというだけで公家にだってDQNも下衆もたくさんいる。実益のような野性味溢れる公家だって中にはいる。
ならば……、まあ追々、今は後。
そんなことより何よりも、この一周回って直視しがたい美顔もそうだが、次郎法師はイケボだった。まるで誰かさんを彷彿とさせる。
そう。次郎法師と対面した天彦が最初に直感したのはとある人物との共通項の多さであった。誰と。そう。
「惟任日向……」
天彦のつぶやきは拾われなかった。次郎法師こと井伊家の当主後見人次郎直虎は一瞬だけ左目を眇めたがそれだけで、とくにこれといったリアクションは見せずに天彦をじっと見つめつづける。
だが惟任に似ている。何がとは問わず正確さなど要らない。
天彦にとってそれだけでもう警戒するには有り余るほど十分だった。
さて給仕彦を除くと次郎法師とはオフィシャルでの初面会である。
だからか、
「うむ。井伊さんとお申しさんか。憚りさんにおじゃります。麻呂も今日という記念すべき日を嬉しくお思いさんにあらしゃります。やあやあそない改まって御大層な。忌憚なくお申しさんにあらはってよろしいさん。直言を許そ」
「はっ。ご厚情、ありがたく頂戴いたしまする」
天彦はいつ以来だろう一人称を麻呂にして一切のおふざけなく、求められる公家を演じて挨拶の言葉に代えていた。本当に無意識に。
のーん……!
しかしこのことを含めて天彦は痛烈に後悔していた。それを人は痛恨という。
というのも天彦はこの見舞いという名の謁見に意味を持たさないという意味合いでふざけようとしていたのである。
なのにこんな意味のある出会いも早々ないと気付いてしまったのだ。気づかされてしまったのだ。
だから眉こそ剃らなかったものの全力で白粉を塗りたくった高眉の麻呂化粧彦で出迎えた自分が滑稽に思えてならない。怪我人ならまだしも病人を演じたことを猛烈に痛烈に後悔していた。
だってすべて見透かされて完全にスベッているみたいになってしまっているのだもの。……その眼、やめてもらっていいですか。ハズいので。まぢで。
「お元気そうで何よりにございます。お怪我の具合も順調に快方に向かっているようですな」
「まあまあや」
「ではそのように」
「うん。そうしたり」
そんなちょっと不貞腐れた感情で次郎法師の挨拶を受ける天彦だったが、次の瞬間にはもう態度を変えていた。
「はっ仰せの通りに致します。また私が惟任日向守様と似ているとお褒めに預かりましたこと侍の誉に存じますれば、厚く御礼申し上げまする」
「……に、おじゃりますか」
はっきりと次郎法師を敵と見据え、それまでのちゃら彦から顔色無し彦に変容させて対峙していた。
一族一門一党二千有余を従える大菊亭家の当主としての顔で、凛然と敵性存在の前に君臨していた。
次郎法師の歯に衣着せぬこの惟任上げ発言、一見すると自然のように思われる。オフィシャルの惟任は将軍家と織田とを繋ぐ執奏役だから。
言い換えるなら二重家来なので、織田家従属国の国人家来が顔見知りであっても違和感はない。畏敬の念を示して当然のように思われる。が、……果たしてそうかな。少なくとも天彦にとっては違和感の塊発言であった。
何せ惟任と織田家は完全に真っ向から袂を別っているのだから。知らないとは言わせない。
そして面と向かって完全に袂を別った状態の今も惟任と通じていると言われてしまっては天彦とて冷める。興醒めせざるを得ないだろう。
ましてや公家と武士、彼我の関係性に釘というか壁というのか感情的に明確な線引きをされたのでは天彦の洒落っ気も影を潜めるというもの。現実世界に引き戻されて尤もであった。
つまり次郎法師の発言は意図して天彦を試していた。ならばどういう意図で。それは追々紐解かれる。
さて、対する次郎法師も天彦の変化に気づいたのだろう。それまでの決然とした表情を更に険しくギアを上げた。
「ほう。本性を剥かれましたか。聞きしに勝る重圧にございまするな」
「お弁ちゃら申して強請られても何もしてやれんのん。あいにくと当家は公道を旨としておってな。万年困窮しておってな」
「あはは、将軍家に刃向かう筆頭様が御冗談を申されますな。ましてや困窮などと片腹痛い。武家の土地を口八丁で分捕って、好き放題なされているとは専らの噂」
「所詮はお人。如何に優れた者でも時には我を忘れるとしたもの。ましてやお人さんとは己の信じたいものだけを信じたいとしたもの。故に事実無根なれど噂は致し方無く存じておじゃる。されどそれは身共の生きる道に非ず。言い訳は致さんがいと哀し。幼気な心には辛いのであらしゃいますようで、毎夜およよと枕を露で濡らしておじゃります」
「貴卿がたとえ氷のように潔癖で雪のように潔白であろうとも、世の悪口は免れぬと、そう仰せにございまするか」
「そうなん。ようゆうてくれはりましたん」
「ほう。……これはこれは。これぞ公卿の神髄にございまするか。僭越なれど卑賤の身ながら本気の本気で感心致しましたぞ」
おいそこ。なに笑い堪えとんねん。見たからな。
アンガーマネジメントなんて基本の基。とか。嘯きながらも天彦は内心で無礼千万な家人を咎め、けれど一方では油断なく次郎法師に意識を傾けて、ひりつく会話を淡々と続ける。
ストレートな嫌味にはスイーパーな京風で返して。むろん100氏ねどすの感情で。
時に難解な証明式を解くように、あるいは難易度の高いパズルを完成させていくように、じわりと端から攻めていく。
「こないな幼気なけんけんさん虐めても面白いこといっこもないさんよ」
「五山と一言に括りましても広うござる。果たしていずこのお稲荷様にございましょうか。いずれにせよこのような叡智の権化を遣わされるのです。さぞや霊験灼然なお山にございましょうな」
「麻呂は野生のけんけんさんなん」
「ふっ、御冗談も大概に召されませ。ましてや先に仕掛けられたのは貴卿にござる。我ら下々は貴種の戯れにただ懸命に抗ってみせるのみ」
一つわかった。次郎法師は虎松と接触したことを咎めている。いや完全に怒っていた。
確かにエッヂが利き過ぎていたかもしれない。
天彦は反省と後悔の入り混じった感情を隠さず、正直に気持ちを伝えることにした。少なくともこの件だけは。
「それは誤解さんにおじゃります」
「あれも誤解、それも誤解。貴種とは実に面妖な種族にございますな。我ら武家には到底及びも付きませぬ」
「はて面妖、面妖はて。……都合の良い風見鶏と訳すると不思議と合点がいきますがどないさん」
「解釈はご随意になされませ。貴種の思惑に我々下々なる者が口を挟めるものでもなし」
「なんぞお茶でもあがらしゃりますかぁ」
「無用。お気持ちだけありがたく頂戴いたします」
「まるで毒でもお気になされているかのような固い口調、麻呂もさすがに傷つくん」
「まるでではござらぬ。井伊家では主家の教えに忠実に常在戦場の心得を旨としてございますれば、何卒ご寛恕くださいませ。ならんどうしてもとご不快を御申しつけならば致し方なし。この場にて腹を召しまするが如何哉や」
「敵地と申されるんやな」
天彦の言葉で一気に場に緊張の度合いが増した。
だが次郎法師はこれといって身構えるでもなく、涼しい顔で応接する。
「ならばお答えいただきたい。我が後見養子が御家菊亭に酷く怯えてござるが、これはどういう仕儀にございますのか」
「それも含めて誤解さんにおじゃります」
「然様にございますか。ならば私も語る言葉はございませぬ」
なーる。
次郎法師は養子の件とは別に何かを伝えに来た。その意図だけは確と読み解けたのだが。
如何せん頑なでこう警戒網を張られていては突破口が見当たらない。弱った。
天彦は本心から弱っていた。なぜならこの邂逅、必ず意味があると確信しているから。必ず今後を占う大きなターニングポイントとなると確信しているからであった。
ならば考えろ。答えはきっとそこにしかない。
天彦は心をどこかに追いやるほど深い思考の淵に落ち込む。
惟任日向守光秀。
一介の豪族や国人が気軽に会える人物ではない。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの織田でさえ一目も二目も置く、天下に号令の掛けられる人物の内の一人である。
その権勢は凄まじく、あるいは幕府政所を取り仕切る性質上世間では大宰相などと呼ばれてもいる。本チャンの天彦を差し置いて。
今やもう副将軍と呼ばれだすのも時間の問題だろうと思われる時の人。魔王様を差し置いて。
ルイス・フロイス司教曰く。惟任日向守光秀。裏切りや密会を好み、刑を科するに残酷であり独善的だが己を偽装するのに抜け目なく、戦においては謀略を得手とした。忍耐力に富み、政治手腕に措いても計略と策謀の達人であったとか。
つまり確実にラスボス級の超大物。何より天彦の菊亭にとっての宿敵であり仇敵であった。それは感情も“すん”となる。
何しろ彼女、次郎法師はそうとわかった上で挑発してきたのだから。主君徳川家康の名代と名乗った上で謎を掛けてきたのだから。
絶対に解く。意地でも絶対に。
これはいったい何を意味するのか。
単純に家康という人物の史実に語られる逸話や為人(義理固エピや人情話)を一旦すべて取っ払って考えると、これは明らかな宣戦布告と受け取れた。
だが事がそんな単純であるはずがない。人が人。もっと複雑でややこしい意味がそこにはきっとあるはずなのだ。
しかもそれが正解なら徳川家を含めた織田包囲網への伏線ともなる。故にあり得ず、だからこそこの問題の難易度を飛躍的に上げていた。
あったら話は単純である。あったら織田は既に詰んでいる。お仕舞いです。なので考えずともよいはずである。思考停止ではけしてなく。そう信じたいからでもけっしてなく。単純に織田信長と言う人物読みで。あの魔王様がそんな間抜けなはずがないと天彦は信じるから。……果たしてそうかな。
本能寺で易々と出し抜かれてんじゃん。近江の義理弟に裏切られてんじゃん。
という根源的な問いはさて措き、いずれにしてもだがすべての状況証拠がどう考えても惟任と徳川の秘密裏の結託を導き出してしまう。
そして何故かはわからないが次郎法師は伝えに来ている。ともすると天彦にこの謎を解いて欲しそうにして。
しかしその何故さえわかれば容易に解けるはずのこの謎が、ほとんどコールドケース並みに迷宮化していてはどうにもならない。
それは天彦だけの結論ではなかった。
それを証拠に謁見の間に詰める菊亭総勢二十名ほどの内のイツメンたちが、いつにない深刻な表情で熱心に話に聞き入って、そこはかとない緊張の静寂を纏っている。
結論、まぢわからん。
天彦の強固にバイアスの掛かった思考では靄がかかって謎が解けない。あるいは問題その物が初めから天彦の理解の及ばない超難易度の高い問題であったとか。
いずれにしても天彦には解けそうもない。ならば口説くしかないのだろう。目の前の固く口を結んでいる美人侍さんを。
「こないな吹けば飛ぶようなけんけんさんを、虐めてもおもしろないさんやと思わしゃりますけどなぁ」
「あなた様は本当にお利巧様です。幼少のころからの人質同然の暮らし向きも虎視眈々とお過ごし召され、一瞬の内に秘された牙を御剥きになられた。それは我が主君に通じる苦難の道。甚だご無礼を承知で申し上げまする。菊亭様と我が主君は甚だ共通項の多い似た人生を歩んでおられる。ならば双方、思考が似通るのも道理。でなければ御自らを畜生に例える真似などできはしませぬ。そして今もそうして惚けて見せているのが何よりの証にございます」
まぢ、まんじ……!
天彦はこの瞬間に閃いた。
時は室町の後期も後期、あと数年もすれば安土桃山と言われる織田家全盛期の時代に入るのだろう。つまり絶賛戦国時代中。
織田期は地均しの時期であり終始ずっと血生臭い。だから天彦は戦国という時代ごとひっくるめて盛大なボケと設定して向き合ってきた。でないと持たない確信があったから。何せメンタルが雑魚いので。
むろん何かに付けてふざけたいという願望と、1から100まで平和であれと願う弱弱思想も少しあったかもしれないが、概ねメンタル維持のために設定していた。
けれどそんなフェーズもお仕舞いである。舐めプもこれにてお仕舞いである。
おふざけや余裕の応接といった諸々の舐めプが可能だったのも、言葉を選ばず言うなら偏に登場人物全員雑魚だったから。
言葉を選ぶならどうせ直ぐに滅ぶという事実を知っていたからで、こっちも雑魚いなら相手もザコいと高を括っていたからである。
だからふざけられたしちょけられたのだ。ところが……。
この瞬間気づいたのだ。気づかされてしまったのである。
あるいはそれは天下人とはこうして成るのだと。天下人とはこうした人物に支えられて成るのだと突き付けられたかのように。
次郎法師という人物を前にすると、天彦は痛感せずにはいられなかった。
「惟任さんは木馬やったんやね」
「はて、木馬にございまするか」
「そうなん。もう語らずともかまへんよ。身共はみーんなお察しさんなん」
「……ならば、お聞かせ願えますかな」
天彦は扇子を取り出しちょっと得意気に顎をツンと、
「謎が解けたん。なるほど悩ましい問題さんや。徳川さんも織田さんにも。延いては当家菊亭にとっても」
にわかに座に緊張が走りざわついた。それもそのはず。お家の大事はこの場の誰にとっても聞き捨てならない。しかも天彦が口にしたのだ。余程のことと推察できた。
「図星にございまする。ここから先はお人払いを、何卒!」
「さよか。皆、退いたってんか」
「殿!」
多くの家来がそれはダメだ危ないと言う。だが天彦は多くの反対を押し切って退けと命じる。
決然とした態度で渋る青侍たちを強引に捩じ伏せて退室させ、閑散とした謁見の間に二人きり。
天彦は勿体ぶらずに直球をぶつけた。
「内々に綸旨が出たか。織田討伐の」
「いいえ、ご綸旨までは存じておりません。……まさかよもやそのような仮説が立てられるほど宮中では……」
「いいやこれは早計やったん。忘れたってんか」
「はっ」
「いずれにしても天上天下唯我独尊。あるいは風林火山の幟旗が立ったんやね。三河、いや信濃やな」
「……何と、これほどとは。千里を見通すとは強ち大袈裟でもないのですね」
「大袈裟に決まってるん。そんなことより晴信さん、いや信玄公か。やはりしぶといさんやわぁ。生きていはったんやね」
「はっ」
天彦はそう言うがそもそも論、信玄公は一度たりとも死んでいない。そんな噂さえたったことはないのである。
緩く幽閉されていたただけで何ならむしろ君主であった頃より自由に行動していたと思われる。信虎からつづく代々の行動ロジックから鑑みるに。つまり勝頼を信用しすぎた天彦の片手落ちであり、天彦の得意とする人読みの限界でもあった。
「名が示す威光は健在なんやな」
「どうやらそのようにございまする」
「いつ知ったん」
「一昨日に。嘘偽りございませぬ」
「まあ嘘やね」
「なっ……!」
「焦らんでもええ。家康さんは大方人質でも取られはったか。あるいは裏で手引きする人物がいはって、それがお身内とわかっての隠蔽やったんやろし。ふむふむ……」
「恐るべき御慧眼、この通り御見それ致しましてございまする」
「どっち?」
「いずれも正解にございまする」
「なるほど。甲斐、いや武田と繋がったのは築山さんやね。人質は家臣の倅たちか、あるいは家康さん自身のお子さんか。寝返りの寝返り計を使われたな」
「……」
史実でも徳川は武田の旧臣を大量に雇用している。
すると何となくだが天彦の脳裏には、誰が絵を描いたのか想像できてしまっていた。
山本さんと言ったとか言わなかったとか。いずれにしても愚劣極まりない策であり、なるほど効き目は抜群である。
むろんいい死に方はできないだろう。絶対に。けれどそれは斯くいう天彦も同じである。つまり同族嫌悪の法則が発生して生理的な嫌悪感を覚えていた。
「ふーん、まあええ。答えにくいやろしな。それは大変さんやなぁ。けれど確かにそれなら信長さんにも相談しにくい。というよりしたらお仕舞いやね」
「やはり」
「うん。信長さんはご自分のお身内には甘いとこあるけど……」
「はっ、仰せの通りに」
人様には苛烈であった。とくに家来や下の者に対しては苛烈極まりない判断を下す人でもあった。
これは善悪や適否ではなく、単に性質の評価でもない。家を守るという行動を突き詰めてシステマティックにしたら誰だってそうするという話である。
例えるなら天彦だってきっとそうする。選択しなければ失うと仮定する比較対照があまりに巨大すぎるのだ。検討の余地はなかった。
しかしここに来て武田の復活。しかも経済でバカでかくなった地方経済圏の基幹都市を牛耳っての再臨とは。……痛い、普通に痛すぎた。猛烈に痛かった。まっまも復活してくるし。
天彦にとってそっちはそっちで痛烈に効いた。むしろ本線の問題が霞むと思えるほどの痛みを伴うだろうから。
「……まあしゃーない。そやけど何で身共を頼ったん。他にぎょうさんおったやろ」
「はい。いいえ。ですが私の一存であると前置きした上で申し上げまする。確信してございまする。菊亭様こそ当家に降りかかったこの厄災を、このお家の窮地をお救い下さる唯一無二の存在であると」
「それはええ、わかったさん。で、なんでや。なんで身共を頼ろうと決めた」
「はっ。有り体に申さば女の勘にございまする」
「あ、そう」
次郎法師さあ……
この設問中、一番訊きたくない回答だった。何せ一ミリも共感できないのだ。それは天彦の表情も渋るというもの。
すると天彦はこれでもかと不快感を表明した。手を水平に顎の下に沿えて、その顎というと謎に目一杯しゃくれさせて、極めつけは例のアレを発声して。
「あいーん」
「そ、それは如何なる」
「あいーん」
「くっ、卑怯です」
確かに卑怯だった。
何しろ天彦、自分が白粉をたっぷりと塗りたくった高眉彦であることをすっかり忘れてやっているのだから。
だがやはり時代は動いた。
やや形を歪に変えてでも、織田家の包囲網を着々と進行させていくのである。
【文中補足】
1、宮中言葉(女房言葉・公家言葉・京ことば)意訳
>ぎょうさん=たくさん
>けんけんさん=狐(またはお稲荷さん)
>憚りさん=ご苦労さん、お疲れさん
>公道(こうと)=質素で上品。公儀が示す質素倹約に適う行い
>氏ねどす=ありませんそんな下品な京ことばは。というのを弄ったオモシロである。
2、瓦礫沈淪(がれきちんりん)
光秀を語るときにしばしば使われる語句。彼が定めた惟任家中軍法に載っている語句。
自分は石ころのような存在だったけど信長さまのおかげで大きくなったよ。の意味。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
週はじめしんどいですねー。こちらはおもクソしんどいです。皆さまはお如何?
新卒の方もそうでない方も新年度、ぼちぼち張り切っていきましょう。ぼちぼちね。