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小悪魔マユ  作者: 大橋むつお
62/118

62・AKR47・6

小悪魔マユ・62

『AKR47・6』   



 かくしてルリ子と美紀はオモクロのメンバーになった。

 

 オモクロは、略称こそ変わらなかったが、正式名称は変わった。

 オモシロクローバーではない。


 想色クロ-バーである。


 オモシロ系の色は一掃され、清楚とビビットが同居したようなアイドルグループになった。

むろんセンターは、奇跡のようにのし上がってきた吉良ルリ子である…。


 マユが、このことを知ったのは、その週の日曜日であった。

 週末は拓美に体を貸してあるので、マユは魔界の補講である。



 この日が、魔界の補講の最初の日にあたっていた。



 正直気が重い。


 マユがオチコボレになってしまったのは、悪魔概論Ⅰを落としたからである。

 悪魔概論Ⅰは、悪魔にとって基本中の基本である。

 以前にも述べたが、悪魔とは、もともと天使であった。人間の魂の救済方について、他の天使と意見が合わなくなって、ケンカになってしまった。それがサタンである。三位一体であるので、天使に盾突くことは神に刃向かうことである(三位一体とは、父=神 子=キリスト 精霊=天使の三つが同じであるということ)ので、多勢に無勢、サタンは天界から出ざるをえなかった。で、悪魔概論は、サタン流の人間救済方の基本が示されている。頭の良い小悪魔たちは、丸暗記して、十三日間の実習をそつなくこなして、悪魔になっていく。

 しかし、マユは筆記試験の段階で落ちてしまう。魔法のかけ方という問題では、いつも救済という点ではなく、面白いことという点に比重を置いて答えてしまうからだ。


 たとえば、こんな問題があった。


 ◎IT時代における、悪魔的な人間救済について、八百字以内で答よ

 

 マユは、こう答えた。スマホの写メに同時進行機能の魔法をかける。なぜならば……以下略。


 デーモン先生は、この答で、マユの落第を決めた。写メに同時進行機能の魔法をかけると、写したものが現実の時間に沿って変化していく。ベッピンさんを撮って、数時間後に見てみればスッピンの寝顔が見えてしまう。おいしそうなスイーツを撮って、数時間後に見れば、消化されたそれなりの姿に見える。マユは、それに臭いの再生魔法をかけることもデコメ付きで答え、あまりの不真面目さに落第させられた。

 で、これは、人間界に飛ばされてから実際にやってしまった。その相手がルリ子であった。


「そのルリ子に雅部利恵(天使名ガブリエ)がイッチョカミして、アイドル界を引っかき回しておる。マユ、おまえは人間界にもどって、なんとかしなさい」

 デーモン先生は、きっぱりと命じた。

「でも、わたし、休日は拓美って幽霊さんに体貸してるんです」

「ケルベロスのポチを貸してやる」

「え、あたしポチになっちゃうんですか!?」

「しかたないだろう。小悪魔が使える人体は一つだけなんだからな」

「そんな、片脚あげて電柱にオシッコするなんて、ヤですよ!」

「ポチには、変身能力もある。ポチの中に入ってから人間に化ければいいだろう」

「でも、先生。ポチってリアルだから、お風呂にも入らなきゃならないし……トイレにも行かなきゃなんないしい!」

「仕方ないだろう。これがマユの試練なんだ」

「そんな、リアルトイレなんて考えらんない!」

「それなら、拓美と相談して、一つの体に同居することだな」

「……もう」

「それに、マユはフェアリーテールの世界もやり残したままだからな」

「あれは、バグっちゃったから」

「バグは、いずれ回復する。取りあえずは、天使とタイマンはってこい」

「タイマンっすか……」

「怠慢こいちゃだめだぞ」

「……オヤジギャグだし……」

「来月の十三日は金曜日、悪魔の力がみなぎる吉日だ。存分に戦ってこい! ガハハハハ……」


 不敵で、無責任な高笑いを残して、デーモン先生は消えてしまった。足もとではポチが嬉しそうにお座りしていた……。




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