目覚め その二
「ん.........」
目を開けると、見慣れない天井が目の前にあった。
「........ああそうだ。俺は会社から帰る途中にトラックに跳ねられて.......それで.....」
カプセルベッドのようなものから体を起こし、あたりを見渡す。
そばにあるハイテクそうな医療器具とは対照に、部屋の作りが木や石でできている。
キィ
木製の扉が開き、先ほどの女が入ってきた。いや、さっきは寝ていたからわからなかったが、女というより少女だった。
『具合はどうですか?』
そばの椅子に座って少女が聞いてくる。
「....だいぶ良くなったよ。」
答えながらこの少女を見つめる。
どうにもこの見た目でこの口調というのは違和感がある。
「いくつか聞きたいことがあるんだが、いいか?」
『どうぞ』
「ここはどこだ?日本.....にしてはこんな設備はおかしいよなぁ」
『ここはアダルガント王国の外れにあるダルカス森林です。ーーデータベースに参照ーー【ニホン】という地域は該当なしーーー』
???????
どういうことだ?
待てよ....これはいわゆる異世界転生ってやつか?なんか前世の記憶を保持したまま別世界に魂が転生するとかいうアレ。
そのことを少女に話すと
『【異世界】ですか......うーん 聞いたことがありません』
そっか....
あっそういえば
「なぁ、鏡...ああええと自分で自分を見る反射板みたいなのはあるか」
『ああそれなら』
そう言いながら少女は両手を前にかざした。
するとかざした手から光の粒子が集まり、「鏡に近しい何か」が宙に現れた。
『これでいいですか?』
......なんじゃこりゃ。魔法ってやつか?どうやら本当に異世界に来てしまったらしい。
とりあえず自分の姿を確認しようと鏡もどきを見てみると
「......なんじゃこりゃ」
思わず二度同じリアクションをとってしまったのも無理はない。そこに映っていたのは、前世の平凡な面影もない、美少年だったのだ。
どうやら異世界転生は人の姿も変えてしまうらしい。
っていうか、年も若返ってないか?どう見ても15、6歳だぞこの顔は。
「ありがとう。もう大丈夫」
ようやく空きすぎた口を塞いだところで、俺はずっと抱いていた違和感を打ち明ける。
「なぁ、君は誰なんだ?名前は?ここで何してるの?っていうか、君は人間?」
『いいえ、私は人間ではありません。ここの中枢管理システム及びタイタン支援システムが搭載された、自律プログラムです。』
やっぱりか。いわゆるアンドロイドってやつ。今度はあまり驚かなかった。前世でこんな妄想を幾度もしていたからだろうか、驚きよりも高揚が勝っていた。
「なるほど。えじゃあこの家は君がすべて管理してるの?他に住んでる人は?」
『この施設に住んでいる人間は今はいません。私のシステム下で独立行動する仲間は何人かいますが』
今は.......?前はいたってことなのかな
「質問ばっかりでごめんだけど、もう一つだけ。さっき言ってた【タイタン】って何?」
さっきからずっと気になっていたことを聞く。
『タイタンを知らないとは、本当に別の世界から来たんですね』
小さく笑いながら、少女が立ち上がる。
アンドロイドでも笑うんだ、と思いながら俺もベッドから起き上がる。
『まずは見た方が早いでしょう。もうそろそろ戻ってくる頃ですし』
戻ってくる....?
とりあえず俺は少女の後に続いて、部屋を出ていった。
さぁさぁさぁ、やっと次回メカのお出ましです!!
メカの一般名称ってなやみますよねー
MSとかSTとか戦術機とか
なんかメカっぽくてかつファンタジーっぽさが欲しかったので「タイタン」にしました