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商人貴族~僻地で始める国家改革~  作者: ふぃん
第1章 新たな領地へ
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新ウォーデン領~ミカンダ地方~ <王国の簡易地図イラストあり>

挿絵(By みてみん)

叙任式が終わり、アークが男爵としてウォーデン家を継ぐことが決まった。早速ミカンダ地方へと出発しないといけないが、ミカンダ地方は王国の端っこになる。王国の中心から端っこまで移動するため馬車で10日ほどかかってしまう。


人が住んでいない草原や、深い森、連なる山なんかを移動する必要があるため、盗賊や魔物、ないとは思うがイワン侯爵家からの襲撃に用心する必要がある。そのため、アークは4人の他に護衛を10人ほど雇って移動することにした。


「納得できない!なんで私たちが領地を変えなければいけないのよ!こっちは父さまを殺されたのよ!?」


馬車の中では姉のイアンナが怒っている。事件の判決を聞いてからずっとこの調子だ。まあ、慕っていた父を殺されたのだからその怒りはもっともである。アークも貴族という身分じゃなくてただの一商人だったら、金を使って何としてでも復讐を果たそうとしただろう。


でも、そんなことをしたら父に怒られてしまうだろう。そんな生産性のない行為に無駄金を使うな!って。父は生粋の商人であった。


「向こうは侯爵家だ。王国が何とかしてくれなかったのなら、我々の力では何も言えない」

「それに、ウォーデン家は以前から王国に目を付けられていましたからね。」


アークと兄テュールは冷静に分析する。二人はしばらく都でじっとしていたことにより、父の不幸を受け入れて感情的にもある程度落ち着いていた。


今回の事件の反省をするならば、他の貴族を味方だと思い込んでいたことだ。

他国から魔族の品を仕入れて国内に流通させていたこと、それによって領内が経済的に潤っていたこと、商人から貴族になったことなど他の貴族から嫌われる要素はかなりあった。国境地帯だったので他国からの侵攻には警戒していたものの、国内の敵にも注意を払うべきだった。


イアンナは二人の弟をじろりと睨む。


「あんたたちは薄情ね。喧嘩両成敗だったとしても納得できないのに、向こうは少し賠償金を払うだけなんてやっぱりおかしいでしょ」


「それに、お父様が田舎から発展させてきた町や村が全部奪われちゃいましたね。また一から発展させないと、、」


妹のミネルヴァがしゅんとしている。父が亡くなってしばらくは泣いてばかりだったが、今ではある程度落ち着いている。意外と芯が強いのだ。




地図ではもうすぐミカンダ地方に着くという時、草原の向こうに大きな山脈が見えてきた。今まで見たことがないような大きな山だ。登って越えるだけで数日はかかるかもしれない。


「お兄様、この山脈を、、、越えるの?」

「ああ、あの山の向こうがミカンダ地方だ。」


アークは不安そうなミネルヴァを抱き寄せた。


「馬車で来れるのはここまでです。ここからはそれぞれ馬に乗ってください」


ガイドもしてくれる冒険者が言った。

それから丸一日、馬でも登れるようななだらかな斜面を探したり、小さな魔物の襲撃を撃退しながらなんとか山の頂上にたどり着いた。


最後尾で息を切らせながら登っていたアークは、頂上に並んで立ち尽くしている皆に一足遅れて並んだ。今から治めていくことになる領地を上から見たアークは息をするのを忘れてしまった。そこには地の果てまで平野が広がっている。まるで一つの国家のような広大な土地だった。


「ひ、、広い」

「あってるの?本当にあってるの?」

「面積だけなら公爵家レベルね」


兄弟たちが思い思いに感想を言う。


「この地方は広いし自然も豊かで暮らしやすいのですが、山と海に囲まれていること、それに西大陸の西端にあるラプラス王国のさらに西端にあって地理的に不便なため、人口が少ない田舎になってます。」

「確かに。まるで陸の孤島だな」


冒険者の説明に、テュールが頷いた。今まで王国の中でも最もにぎわっていた土地の一つを統治していたため、その落差には確かにショックを受けた。

しかし、商人脳を働かせる。こんなに広い土地、何でもできるではないか。農業でも工業でも、この国で最も発展することができるポテンシャルを秘めている。今からここの領主になると思うとワクワクしているのも事実だった。


「さあ、ウォーデン家の領地までもう一息だ」


領地のあまりの広さに元気とやる気を取り戻した一行は、日が暮れる前に山を下り始めた。


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