第30話 カリーナとスラ子が大暴れ配信!?
<<【カリーナ&スラ子】魔族と魔物コンビが無双するダンジョン配信【バズリア】>>
「私の魅力に跪きなさい。カリーナよ」
「今日も商売繁盛や。バズリアのお財布担当、スラ子やで!」
【コメント】
「舎弟コンビきた!」
「姉御ー!」
「どんな配信になるんだ!?」
「無双期待」
「今日はA級の暗闇洞窟ダンジョンで無双するわよ!」
「カリーナの姉御に無双して貰って、同接数爆稼ぎで報酬もチャリンチャリンや!」
「あんた本当にお金が好きなのね。そういえば、どれくらい貯まったの?」
「むふー! そいつはトップシークレットや。いくら姉御でも教えられんなぁ」
ドヤ顔で胸を張るスラ子のぷにぷにほっぺを、カリーナが突っつく。
「何よ、勿体ぶるわねぇ。そもそも、そんなにお金を稼いでどうするの? スラ子、別に贅沢している訳でもないし」
「ふっふっふ。大きい買い物があるんや。それを手に入れるんが、うちの本当の夢や!」
「あら、初耳ね。何なの?」
「えーっ。秘密や、秘密。もし手に入ったら、そのときは教えるわ」
「頑固な子ねぇ。まあでも、良いわ。絶対教えてよ?」
「勿論や! ふふふ」
会話を進めながら、二人はダンジョンの中へと足を踏み入れていく。
【コメント】
「スラ子の欲しいものって何だろうな」
「本当の姉妹みたいで可愛い」
「金ぴかの豪邸とか?」
「いや、商人ギルドを買い取る気と見た!」
「大がかりな計画過ぎて草」
「暗くなってきたなー」
「確かに、画面見えにくいかも」
「ほんまや。流石、暗闇の洞窟やな。うち、暗いの苦手なんや。カリーナの姉御ーっ!」
スラ子が泣きつくと、カリーナがやれやれと笑う。
「仕方ないわね――白夜灯火 (びゃくやとうか)」
カリーナが詠唱すると、周囲には可愛いハートの形をした光の玉がふわふわと浮き上がった。
「わあ、可愛い! 明るい! これ、次のグッズの参考になるわ」
「まったく、ちゃっかりしてるわねぇ」
「試作品は姉御にプレゼントするから、待っててな!」
「……!! ま、まあ、貰っておいてあげるわね?」
【コメント】
「でた、ラブリー魔法!」
「ハートライトは普通に欲しい」
「明るくなった」
「流石です、姉御!」
「ラブリーライトはカリーナに似合う」
二人は会話しながら、ダンジョンの奥へ進んでいく。
入り口近くは弱いモンスターが多く、カリーナがあっと言う間に殲滅していった。
スラ子はその後ろを付いて回り、ダンジョン内に落ちている品物をせっせと拾い集めている。
「またまた、お宝ゲットや! この鉱石は、売れば300ゴールドくらいになる!」
にへへと笑うスラ子を見て、カリーナが肩をすくめる。
「あんた、よくやるわねぇ。でも、気を付けなさい。そろそろ上級モンスターが出てくる場所よ」
その言葉に被せるように、バサバサと何かが飛び回る音が響いた。
「ひえっ、あれ!」
スラ子が慌てながら指さす先には、巨大な白い蝙蝠が飛んでいる。
その姿を確認したカリーナは、ふっと小さく息を吐いた。
「ああ、あれはエコーバットね。それなら――」
「いやあああああっ!! 蝙蝠怖いいいいいっ!!!! うち、あかんねん、昔、襲われたトラウマがっ!!」
「ええ!? ちょっと、スラ子ぉ!」
【コメント】
「おお、エコーバット珍しい」
「でっかい」
「待って、エコーバットって確か」
「叫んじゃだめだ、スラ子!!」
「て お く れ」
カリーナは慌ててスラ子の口をむぎゅっと手でふさぐ。
「スラ子、静かにしなさいっ。エコーバットは、音に引き寄せられて、群れが集まってくる習性があるのよ!!」
「ぴえ!?」
だがしかし、全ては手遅れだった。
洞窟の奥から、ドドドドドドドッ、と風音を唸らせながら、巨大なエコーバットの大群が押し寄せてくる。
「いにゃああああああ!?」
「いやあああああああ!!」
カリーナは反射的に、スラ子を小脇に抱えて走り出した。
【コメント】
「大 惨 事 ☆」
「凄い絵面だ」
「詠唱姫の全力ダッシュが見れるのはバズリアだけ!」
「スラ子が完全に虚脱して、荷物と化しているの笑う」
「逃げろおおおおっ」
洞窟の脇道に一旦逃げ込んだカリーナは、体勢を立て直すとエコーバットの群れへ向き直る。
「良い度胸じゃない、コウモリ達。私の実力、見せてあげるわ!!」
「きゅう」
ちなみにスラ子は、近くで完全に伸びていた。
「いくわよ――詠鎖!」
カリーナの詠唱と共に、虹色の星で出来た鎖が四方八方から出現し、エコーバットの群れを絡めとる。
「とどめよ。覚悟なさい! 天火降臨!!」
――ゴオオオオオオッ!!
巨大なハート型の火の玉が射出され、動けなくなったエコーバットの群れを薙ぎ払った。
【コメント】
「やっぱつええわ」
「スラ子生きてるかー?」
「ご覚悟っぽい台詞、ちょっとエモい」
「カリーナ!カリーナ!」
「高火力魔法気持ちいい!」
「ふええ。死ぬかと思ったわ。カリーナの姉御、おおきに……」
ふらふらの状態のスラ子が、カリーナへ礼を言う。
「別にこれくらい、どうってことないわよ。もう大丈夫なの?」
「うん。姉御は優しいなぁ」
「そ、そんなことないわ。普通よ!」
「ツンデレな所も好きやでー!」
「馬鹿言ってないで、先行くわよ!!」
【コメント】
「カリーナちゃん顔真っ赤」
「照れてるー」
「仲良し☆」
「昔は苦手だったけど、最近はカリーナばっかり見ちゃう」
「目覚めたか…」
「なんで姉御が苦手だったんや?」
コメント欄を眺めながら、スラ子が不思議そうに問う。
「そりゃ、魔族だもの。簡単に受け入れられるとは、自分でも思ってないわよ」
「そうなんか。なんや、馴染み過ぎて忘れてたわ」
「最近はね。でも、最初の頃は特に、離脱する人も多かったのよ」
カリーナは静かな口調でそう告げた。
スラ子は、そんなカリーナを丸い瞳でじっと見上げている。
「……姉御は、それでも止めんかったんやな」
「まあね。逃げ場がなかったっていうのもあるけど。ここなら、自分の好きなものを我慢しなくていいって気づいたから。それに、配信は楽しかったし」
そこまで言うと、カリーナは少しだけ顔を伏せてから小さく呟いた。
「だから、バズリアにも、視聴者にも……感謝してるわ」
【コメント】
「こっちこそ、ありがとう!」
「もう仲間だと思ってる」
「良い話を引き出してくれたスラ子も有能」
「なんかしんみりする」
「ルーベウス戦のライブは今思い出しても熱い」
「ええなぁ、姉御は。みんな、応援してくれてるんやな」
ぽつりと呟くスラ子を、カリーナが呆れたように見下ろした。
「何言ってんのよ。あんただって、仲間でしょ?」
「ふぇ?」
「バズリアに入った時点でね、そういうもんみたいなのよ。これは不審者の方針。あいつ、あれで頑固だからね。拒絶不可能、選択権無し!」
冗談めかしてそう言って、カリーナはにっこりと不敵に微笑んだ。
「だから、あんたの夢も応援するわよ。私も、皆も」
「あ、姉御……」
【コメント】
「良い話だなー」
「スラ子を応援するためにグッズを買おう!」
「まずバズリア存続のための布教が先か?」
「応援するのって、結構楽しいと知った」
「わかる。日々の仕事、頑張れる」
「みんなも、ありがとうな。うち、頑張るわ! あっ、あそこに金貨が!」
感極まったように声を震わせたスラ子が、次の瞬間には落ちていた金貨を追いかけて画面外へ走る。
「こらこら、スラ子。そんなに走ったら――」
くすくす笑いながら、カリーナもその姿を追いかける。
【コメント】
「やっぱりスラ子はこうでなくっちゃ!」
「画面外ダッシュは斬新」
「あれ、なんかこの壁おかしくない?」
「動いてる?」
「暗くてよく見えないけど、そう?」
「まさか、ここって」
洞窟の開けた場所に辿り着いたカメラが映し出したのは――
「うにゃあああああっ!」
金貨を拾い上げたスラ子が、洞窟の岩壁から伸び出た腕にひょいと摘まみ上げられている場面だった。
「岩鎧グール !!」
「ひえええっ。うち、食べても美味しくないよぉ!」
それは岩壁に擬態した、巨人型のモンスターだった。
そして奥からも、続々と高レベルモンスターたちが姿を現してくる。
「どうやら金貨は、人間をおびき寄せる為の罠だったみたいね。……まあ、釣られたのはスライムだけど」
やれやれと頭を押さえた後、カリーナは不敵な笑みに表情を変える。
「良いわ。この無双配信に相応しいじゃないの。みんなまとめて、倒してやるわ」
「姉御っ!」
「いくわよ、スラ子。みんなも応援なさい!」
【コメント】
「うおおおおおおお!」
「いっけー!」
「倒し方、参考にさせて貰います」
「スラ子を助けてええ」
「がんばれー!」
「あ、スラ子も物を投げて応戦してるぞ!」
その後のモンスター討伐の大奮闘に、コメント欄は爆発的な盛り上がりを見せた。
Fever Gage ★★★★★☆☆☆☆☆




