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【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?【改訂版】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

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第50話 人前で愛を誓ってくださいました

 きつく抱き締めて喜んだ竜帝による呼び出しがかかり、3日後の早朝は貴族達が王宮に詰め掛けました。事前に手筈を整えていた父が名を読み上げると、テユ様が玉座に腰掛けます。この国を守護してきた竜帝陛下の着座に、誰も異論は唱えませんでした。


 これで正式に『竜帝テュフォン陛下』がこの国の王として承認されたことになります。


 竜達もそれぞれに役職につき、人間の貴族がそれを補佐します。国としての形は保つことで、事前に話し合いがなされたようでした。女の知らない場所で男は政を決め、男の知らない噂で女は互いに競い合うのが貴族社会です。今後はそれも見直され、能力が高い女性の登用も増えていくとお伺いしました。


 この国は大きな変革の時期を迎えたのです。人と竜が手を取り合う国、なんて素敵なのでしょうか。


「竜帝陛下と我が娘である竜の乙女エステファニアの婚姻は、最短の祝い月の初日とする」


 祝い月と呼ばれる季節は、花が咲き乱れ国が最も豊かになる時期です。あと半年なので忙しいのですが、テユ様がどうしても早くと望まれました。ドレスやヴェールは急いで手配すれば間に合うでしょうが……。


 ちらりと顔を見ると、蕩けるような甘い視線が向けられて首や耳まで赤くなりました。


 この場では竜の権威や地位の確認、王宮の処理、王族の処断、国民への説明内容に至るまで、詳しく語られています。読み上げる父ベクトルは、どうやら宰相に近い地位を与えられたみたいだわ。引退はもう少し先の話になりそうですね。


 絢爛豪華と言えば聞こえはいいですが、派手好みな王宮の建物は竜達により解体され、建て直すことに決まりました。テユ様まで入れても13人なのに平気かしら? と首を傾げれば、竜は精霊を使役するため問題ないそうです。


 数百年前にセブリオン家が変えた国名セブリオは、元の名称である『竜国ティタン』に戻すことが満場一致で決まりました。民には本日、周辺諸国へも近日報せを出して国名は統一されます。人間の国王は廃止され、竜帝テュフォン陛下を頂点とした竜による政が始まるのですから。


 急激に進む国の改革と変貌ぶりに、貴族達も期待を滲ませています。閉塞した過去の王政と違う、新しい竜の治世が始まれば、当然でしょう。


 考え方が斬新で、新しい知識や手法を取り入れることに前向きな竜達は、若い貴族の才能を伸ばすことに意欲的です。徐々に有能な平民を混ぜていき、古びた考えは一新されます。家柄ですべて判断された過去ではなく、実力を認めて取り立てる竜が作る未来に人々は希望を見出していました。


 玉座から立ったテユ様が手を差し出します。どうしたらいいか迷う私の背を、フランカが強めに押しました。素直に玉座への段を上がる私の手を受け、彼は玉座の前で膝をつきます。どうしましょう、恥ずかしいですわ。


 竜帝として国の頂点に立ったばかりの君主の行動に、貴族は驚いて顔を見合わせました。


「ステファニー、我は民の前で改めてそなたに問う――我が手をとり、竜国ティタンの妃として共に国を守ってくれぬか? 我はそなたに永遠の愛を誓おう」


 そっと手袋の甲に唇を押し当てます。くるりと返して手のひらにも口付けられました。そこまでされたら、受けないわけに行きませんわね。策士なんですから、もう!


 人の赤い血(感情)がないと揶揄される『青い血の貴族』でも、すべての愛情を捨てたわけではありませんし、私はあなた様に恋心を芽生えさせたばかり。


 アデライダ伯母様譲りの度胸で切り抜けて見せましょう。


「エステファニア・サラ・メレンデスは、国の守護たる竜帝テュフォン陛下の妃となり、愛を捧げます」


 婚姻で竜に誓う文言を少しだけ変更して、私は微笑んで言い切ってみせました。沸き起こる拍手の中、彼の手をしっかり掴んで引っ張ります。


 お覚悟なさって――早く、私を抱きしめてくださいませ。

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