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果歩が新たに加わって何日も時が経ち、私がここに来てから早1年が経った。今日は任務がないから図書館へ向かった…最近新たな本を購入したとボスが言っていたから読むことにしたのだ。図書館は使用人の数人が管理しているので常に誰かが司書の当番を行っている為、借りる際は声をかけて用紙に記入するのみ。
「すいません、この本を借ります」
「はい、ではこの紙にご記入ください」
借りた日付を書く。
「その本は中々面白いお話でしたので陽和様も楽しまれると思います」
「そうだといいけど」
今日は天気が良いから裏庭のベンチで読もうかな。そう思いながら裏庭に行くとベンチには夕陽が座っており、本を読んでいた…黒い髪くて少し長い髪が風に揺れ、その姿にドキッとした。
「陽和?陽和も本を読みに来たのか」
「うん」
「今日は天気が良いからな…立ってないで隣に座りな」
夕陽に言われて隣に座る、夕陽を見ると既に読書が再開されていて本当に本が好きだという事が分かるのだがドキドキするこの気持はなんだろう。
結局読書にあまり集中出来ずにお昼の時間になってしまった。次の日も、そのまた次の日も夕陽を見るとドキドキしてしまう…これはなんだろう…苦しい。
「…果歩」
「どうしたの?」
別の日に果歩に相談することにした。
「あの、あのね」
「うん」
「最近、夕陽を見ると…ドキドキするの」
「へぇ…」
「何故?」
「いや、何故って言われてもそりゃあ…ああそうか、うーんどうしようか」
「果歩は知ってるの?」
「知っているけど…うーん…よし、女子会を始めよう。都姫さんと摩耶さんも呼んで」
急遽、その日の午後から女子会というものが始まった。場所は私の部屋でメンバーは私と果歩、都姫さんと摩耶だ…都姫さん、仕事は大丈夫なのだろうか。
「果歩から聞いたことを言ったら行って来いと言われたわ」
「さすがお父様ね」
「娘の恋愛が気になっている父親って感じですね」
私にはよく分からないことだ。
「さて、陽和の悩みは何かしら?」
「…最近、夕陽を見ると…ドキドキして、読書に集中できない」
「そこで読書に集中できないことを言うのが陽和だよね」
「陽和はその感情が何かを知りたいのよね?」
「はい」
一度果歩に教えてもらったけど詳しくは教えてもらっておらず理解が出来ていない状況だ。
「それはね、恋なのよ」
「こい?」
特定の男性にドキドキしたり胸が痛くなること恋なのだという。
「好きという感情は知っていても恋は知らなかったのね」
「恐らく、いらない感情だと思われたのね」
「実際、実験には不必要ですからね」
「恋…私、夕陽に恋、してるの?」
「ここまで本当の意味で初恋な子を見ると微笑ましいわぁ」
「可愛い」
恋だと分かったけど…少し困惑している。
「最初の恋を不安に思わなくていいのよ、特に相手は夕陽だしね」
「そうね、夕陽と陽和だったら既に相思相愛みたいなものじゃないかしら」
「あれって夕陽さんも陽和も無自覚ですけどね」
言っている事がよく分からないが、自分の恋が自覚してその日は終わった。
次の日、部屋にある姿見を見て驚いた。
「陽和様、背が伸びましたね?」
「…そう、だよね?」
「はい…昨日まではいつも通りでしたのに」
自分の背が伸びていた…先日誕生日が来たから17歳になったわけだが、昨日まではいつも通りの慎重だったのだ。でも突然身長が伸びるなんて、そんなことあるだろうか…朝食の時も皆に身長の事を聞かれた。
「突然な所が気になるけれど、身長が伸びてよかったわね」
「陽和が私と同じくらいの身長になちゃった!」
稀に身長の事を気にしていたから嬉しい…と思っていたがその日の午後、知識で知っていた生理が来た。あまりにもだるさに寝込んでしまった。
「不安だったけど、ちゃんと生理が来てくれて良かったわ」
「そう、なの?」
「そうよ、生理は女性にとって一番大切なことだからね…陽和の場合、それ以前の問題だったけど身長も伸びたと明菜から報告来てる。良かったわね」
この人は医務班の大鳥紅波さん、私がここに来てから全ての体調管理を見てくれている人。固形物が食べれない状態だった時私が食べる物の指示は全てこの人だったとのこと…いわば私の主治医的存在だ。
「陽和の身体的な事は全て私が任されているから、辛いようなら直ぐに言いなさい」
「うん…今、痛い」
「何処が痛い?」
「お腹…より下の方」
「そう…陽和の身体は不安定だから薬をあまり使いたくないのよね…明菜、カイロ持ってきてくれる?」
「はい」
カイロ?カイロといえば冬に使うあのカイロだ。
「お持ちしました」
「ありがとう…このカイロを腰の方に張ると少しは楽になるわ」
数分でカイロが暖かくなり痛みが少し和らいだ。
「後は少し寝てなさい」
「うん」
おやすみなさい、と言った後直ぐに寝ることが出来た。
次に起きたのはガチャッという扉の音で目が覚めた。
「悪い、起こしたか」
「夕陽?」
「揃っと起きる頃だろうからって紅波さんに頼まれた。暖かい飲み物…起きれるか?」
「うん」
起きるとお腹の下がズッシリと来る感じがする。夕陽から飲み物を受取り中身を見るとココアだった…それを飲むとどことなくほっとする。
「暖かい」
「だな」
夕陽の手にもココアの入ったカップが握られていた。
「…夕陽」
「ん?」
「今まで言えなかったのだけど…私を、あの場所から助けてくれてありがろう」
「任務だったからな…でも、陽和に出会えて俺も良かった。ありがとう」
「ッ!」
夕陽の笑顔は何回も見ているが…今の笑顔は反則だ!
「どうした?」
「な、なんでもない」
「くっくっく…陽和が焦っているのがよく分かる」
「く、紅波さん」
「なんですか紅波さん」
知っててこの人は…もうやめてくれ。
「くくっ…さ、男は隣で待ってなさい」
そう言って夕陽を退出させた。
「くっ…面白いのが見れた」
「…いじわる」
「いじけるな…それより陽和、ふと気付いたんだが今回ので大分痛みが分かるようになったわね」
「あ」
そういえば、ここに来る前痛みとかまったく感じなかったのに。
「一年経ってようやく本来の形に戻ろうと頑張っているな。陽和、これからも何があるか分からない…少しでも変だと思ったら言うこと…いいわね?」
「はい」
出ていく紅波さんと変わるように夕陽が入ってきた。
「カップ持っていくな。俺も仕事に戻る」
「うん。夕陽、ありがとう」
「どういたしまして」
その言葉と同時に額にやわらかい感触がした。
「えっ」
夕陽はにやりと笑って部屋を出ていった。
「えっ…な…」
今の感触は間違いなく…唇…夕陽が、私の額に…き、キス…。
「っっっ!!」
今の私は顔が真っ赤になっているだろう、恥ずかしくて手で顔を覆ってしまうほど。
「ひ~よ~り~!大丈夫…って!な、なに!?顔真っ赤だよ!?」
「か、果歩…」
「本当に真っ赤!どうしたの?」
「ど、どうしよう」
混乱して説明できない。
「お、落ち着いてッ!落ち着こう陽和」
「果歩が焦ってどうするのよ」
「摩耶さん!」
「ま、摩耶」
果歩と摩耶に説明をしなければ。
「さ、さっき…夕陽が…ひ、額に」
「キスでもされた?」
「え!…え!?本当!?」
「う、うん」
摩耶、そんなにニヤニヤした表情でこっちを見ないでほしい。
「やるじゃない、夕陽」
「わぁ…すごい」
「うぅ…」
恥ずかしすぎて布団に潜り込んだが2人に笑われるだけだった。この光景が明菜が戻ってくるまで続いたのだから本当に恥ずかしいものだ。
でもまさか、その数日後にあんな事が起きるなんて誰も予想などできなかったのだ。
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