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プロローグ
ドラゴンの咆哮が聞こえる。友好国リザリー王国に向かう検問所が大騒ぎだ。長い列に並んでいた人々は右往左往と逃げていく。
私には見覚えがある。
太陽の光に反射する綺麗な銀色の鱗。あの銀色は、推しの髪色と同じだ。
「ま、まさか……そんな……!」
逃げ惑う人々の中、私はそのドラゴンを迎い入れる。綺麗な翡翠色の瞳……。間違いない。このドラゴンは、私の推しで、この国の第二皇子であるリアム・アゼルハルト。
私の10倍ぐらい大きいドラゴンは、銀色の粒子となり、ゆっくりと人間の姿へと戻ってゆく……。
「ッ!!?」
(って、は、はだかぁあぁああーーーー!!!?)
ーーガバッ
(っからの、抱きついてきたぁあぁあーーー!! ウェルカーーーーム!!)
……。
(じゃない!!! な、なんで!?)
見た目に反して、私の心の中は大パニックだ。
(なんで、追いかけてきたの!? 私はただの世話係で、番は聖女のはずなのに!!)
裸の男の子に抱きつかれる私、ルシア・クロス16歳。中身は、前世を知る35歳独身女。
……そう。すべては私が、推しを救うために『お世話係』に立候補したあの日から始まったのだ。
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