三話 冒険者って何だろう
目が覚めると木造の部屋のソファに寝かされていた。
目の前には只者ならぬ雰囲気の男が座っている。
その男は私に向かって話しかけた。
私が起きあがろうとする事を手で制した。
「やっと起きたか、名を言うのが遅れたな。
私はフェセンハルツ・ハルトマン、この街の冒険者ギルド『ブルーバード』のギルド長だ。」
「あの、冒険者ギルドって何ですか?」
「冒険者ギルドも知らないとは…いや、すまない。
冒険者ギルドとは回復薬の提供やクエストの依頼者との仲介など冒険者の支援組織のようなものだ。
冒険者になる自体は冒険者ギルドに加盟しなくても出来るが、冒険者ギルドに入ると冒険者として身分証を
発行できたり、武器や防具を割引価格で購入したり出来る。
冒険者になる上で絶対入っておいた方がいい組織だ。
それに野良の冒険者は問題を起こす事が多いから、野良というだけで処罰の対象にもなりうる。」
「他にはどんなギルドがあるんです?」
「例えば、商工、魔法、輸送、薬師、
ギルドではないが宿屋の座もあるな
教会も大法院という元締めがいる。」
なるほど、何か仕事をするならギルドに加入する事が必要不可欠なんだな。
今は輸送業も商工も元手がないから出来ないだろう。
ならば魔法か冒険者か薬師、う〜ん
魔法も薬師も余り得意じゃなさそうなので冒険者が良さそうだ。
「あの冒険者ギルドに加入したいのですが、どうすれば出来るのですか?」
「この銅のカードに血を垂らして欲しい。
そうすると貴方のデータがそこに保存されると共に身分証になる。」
「血…ですか?分かりました。」
血で契約をする事はlynxでも同じだった。
私も血ですると何か特別感があるので押印するときは大体血で押している。
起き上がり渡されたナイフで指先を切りカードに垂らす。
そうするとカードに自分の名前と冒険者のランクと名誉点というものが記された。
現在のランクはFで名誉点はゼロだ。
名誉点って何だろう。
「名誉点って何ですか?」
「名誉点の説明がまだだったな。
この世界には魔物というものがいる。
まあ出会えば分かるだろう、
人間に敵対している者たちだ。
その魔物がこの街に来ないのは何でだと思う?」
「街のことを恐れているから?」
「ほぼ正解だ。
大きな街には、この街もだが、守りの聖剣というものがあってな、
その剣が魔物が恐れるオーラを出しているんだ。
ただ守りの剣も魔力が足りなくなると魔物が寄り付いてしまう。
そこで魔物が体内に持っている剣のかけらというものを持ってきたものに報酬として名誉点を与えている。
名誉点は1点あたり20G程の価値で冒険者ギルドで買い物ができ、公営の宿も名誉点で借りる事ができる。
あと、名誉点の累計でランクも決まる。」
「ほへぇ」
「まあ良い話を戻そう。
率直に聞く、転生者とは何者だ?」
「えっと、私たち転生者は一回死んでいるんですよ。
そこで確か…本来の寿命より早く死んだからもう一回人生をやろう、みたいなことを言われて、
で、そこで自分の種族や技能とかアビリティを決めて、ここに来たみたいな感じです。」
「なるほど、なら納得がいく。」
「へ?何がですか?」
「いや、鳥人はとても珍しく、少なくとも飛べるほどの翼を持った者はこの大陸ではすでに絶滅している。
貴殿の言う転生者と思われる者でも鳥人は貴方しかいないが、リルドラケンなど絶滅寸前の種族も多くてな」
「鳥人少なかったんですね…種族による強い弱いってあるんですか?」
「ある。私はメリアという種族で体に花が一輪咲いている事が特徴だ。
体力が脅威的に多く、寝る事を必要としない種だ。
鳥人は資料に余り残っていないが一応A級の鳥人が一人いた事は分かっている。」
「そう…何ですか」
紙飛行機な事は分かっていたがそこまで強い人がいないと分かると悲しくなる。
暗くなっている私を察したフェセンハルツが外へ行こうと提案してくれた。
私が到着した河畔の街rivaはこの国ステランペロ帝国で四番目の都市らしく、
街の中心を流れる大きな川anglstrada(天使の道)の周りに
漆喰で固められた白い石造りの家が立ち並び、まるで真珠のような輝きを放っている。
見惚れているとフェセンハルツが声をかけてきた。
嬉しそうに目を細めている。
「美しいだろう?この街は。この国で最も美しい地方都市と呼ばれている。
帝都はもっと美しいが、一度行ってみると良いぞ」
「本当に美しいですね、私がいた街もこんなに美しい街は見た事が無いです。」
一通り街の散策が終わると私たちはギルドに戻った
これから冒険者としての基礎やルール、また技能や魔法、アビリティの使い方を習うらしい。
私も技能がどのように使えるか私自身もよく分かっていなく、魔法はさっぱりなので
教わって使えるように指導をしてくれるそうだ