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第二十七話 少女は処刑人と言われる。

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 吉田よしだ英斗エイトはこの話には出てこない。

 主人公不在の小さなお話。



 私、エミリー・フリッツはバルバンディス跡地から遠く離れ、何も関係のないただの街にいた。

 街の名前には興味がなかったから、知らない。

 その町で、私は新聞のある記事を見つけた。

 『ヴァンヴォリック、半壊滅に追いやられる!?』、そんな見出しがでかでかと書かれていた。

 ヴァンヴォリックと言えば、横田ヨコタ俊祐シュンスケが私に吉田英斗という人間の戦闘能力を調べろと命じられたため、単純に吹っ掛ける目的で殺害を依頼した組織ではなかっただろうか。

 確か、契約書とかいろいろ欠かされた記憶があるから、そこで間違いないだろう。

 記事を見る限り、どうやら吉田英斗はかなりの力があったという事なのだろう。

 私は深く被ったフードをさらに深く被り、新聞を買うことにした。

 新聞を買って、内容を読むと被害の状況、討伐された人員の名前など様々な情報が載っていた。

 どうも、吉田英斗はあのマッチョな神様にかなり寵愛を受けているらしい。

 私は新聞を読みながら、暗く人通りのない路地を歩いていると、ドスンと何かにぶつかり、すこし後退った。


 「ごめんなさい」


 すかさず私は謝るも、目の前には巨漢が三人。

 ちょうど横並びになって歩いている真ん中の巨漢にぶつかったらしい。

 巨漢は私のことを見ながら、言う。


 「すぐ謝るのはいいことだが、俺にぶつかっといて、謝罪だけでどうにかなるって考えてるんじゃないよねぇ…?」


 どうやらチンピラだったらしく、私のフードを無理やり剥がすと私の顔を見て言った。


 「おめぇ、顔の傷なんだよ?…、でも、傷を無視して見てみると結構、可愛いじゃねぇか。詫びはお前の身体でいいぜ」


 正直、その言葉に吐き気がした。

 人の身体を貪る事、自分が優位だと思っていること、そして何よりも、私の右目を縦に切り裂く様にできた傷痕を指摘したことに、虫唾が走る。

 ふつふつと沸き上がる怒りを抑え、私は巨漢に言う。


 「…、謝罪は致しました、ここを通してはいただけないでしょうか」


 下手に出て、ようすを見ると巨漢は蟀谷に青筋を立てて、言い返す。


 「ふざけんじゃねぇ!俺にぶつかったんだ、体で払えって言ってんだよ!」


 巨漢はそう言い返すと、私に手を振るった。

 振るったが、その瞬間、私はその巨漢に指差し、呟く。


 「【従え】」


 その瞬間、巨漢の振るう手はその場で止まり、巨漢は完全に拘束されていた。

 そしてさらに私は呟く。


 「……、【同士討ちをしろ、お前は強者だ。弱者の二人を撲殺したのち、自らの首を絞めて自害しろ】」


 そう命じた瞬間、手を振るおうとした巨漢は後ろに並んでいた巨漢二人に向き直り、殴り合いを始めた。

 私は近くにあった段差に座り、その光景を眺めることにした。


 訳もわからぬまま、同士討ちをし、仕舞には二人を殴り殺した巨漢は涙を流して、


 「なんで!どうして?おれは、俺は!?」


 罪の意識と理解不能の脳の驚愕に普通じゃできない表情を浮かべていた。

 そして、涙を流しながら巨漢は自分の首を絞めだした。

 首を絞めて、彼自身の力では引き出せない力で力を強める。

 何かわかったのだろうか、男はか細く成った声で、


 「ご…、ごめんなさい、ゆるじて…ください…」


 突然謝り始めた。

 私はその仕草がおかしくて、口から笑いがこぼれてしまった。

 零れて、零れて、ちょっとだけ教えるように返してあげた。


 「この世界にはあなたの様な人間いらないの。幸せに生きる人が嫌目に合うような世界、厭、だしね」


 そう教えた瞬間、男は倒れた。

 ビクンビクンと何度か痙攣したのち、動かなくなったのを見て、私はため息を吐き、フードを深く被り直すと、その場から離れた。

 離れる途中ふと思い出す。

 優しかった母親をイジメ続けた町中の人間の顔を。

 その瞬間疼いた右目の傷をそっと抑え、地面を少しだけ強く蹴って、その場を駆け抜けた。

 目的地はもともと決まっていた。

 そこに急ぐだけだ。

 逃避もかねて、急ぐだけなんだ。

 そう言い聞かせながら、私の足は王都ビスタリアに向かって動いていた。

読んでいただきありがとうございます。

今回は短いです。

でも、主人公の話を長めに書いても、ね?

そんなこんなで次回は主人公組に戻りますよ!

では、次回もお楽しみに!

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