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第八話


「なあ、あの少女に会うことってできるの?」


 翔は気になりヒウロに問いかけた。


「私も会って話したいけどどこにいるのか分からないのよ。現れる時はどこかの街が光の線で囲まれた時だけ。その中心に必ずいるけどしばらくしたらどこか行ってしまうから」


 光の線とは初めの街で紫に発行しながら浮かび上がってた線のことだろう。


「それ俺も見たな、少女とは別に男がいたけど」


「あら、そうなの? そういえばこの街は光の線に包まれていないのに何でカケルと少女はいたの?」


「え、そ、それは……」


 翔は言葉が詰まってしまった。


 その理由は知らなかったとはいえ少女を助けたことと、おそらく話の流れからして仲間であろう男を攻撃してしまったことがあるからだ。


「どうしたの?」


 ヒウロは心配そうに聞いてきた。


 ここまで親切に話してくれたのだから話さないわけにはいかないだろう。


「え、えーと、実を言いますと……、最初は別の街にいましてそこで少女が男と戦ってるのを助けるためにこの街に飛んできたんですよ…………」


「もしかして、その男って頬に傷がある?」


「多分、あったと思う」


 するとヒウロは何故か驚く。


「へー、カケルってすごいのね。ライオネット……って言っても分からないよね。その男の名前なんだけど、ライオネットから少女を連れて逃げるなんて」


「いやいや不意打ちがうまく決まって運が良かっただけだし、チートの能力があったおかげだから」


 実際に翔を別の世界の者だと認識しておらずそのおかげで助けることができ、さらに翔の攻撃には無傷であった。あのまま戦ったら負けていたのは目に見えている。


「でもそれは来て早々災難にに遭ったわね」


「な、なあヒウロは少女を助けたこととか怒らないのか?」


「別に怒りはしないわよ。だって仕方のないことでしょ、この世界に来たばっかで事情も何も知らないんだから。私としてはライオネットに攻撃したところが面白くていいと思うけど」


 ヒウロはそう言い微笑むが、翔にとっては何も面白くはないし、できれば会いたくはない。


「それだと今から楽しみね」


「え……?」


 その一言で嫌な予感がしてしまう。


「だって今からライオネットに会うんだもの」


「…………マジで?」


 まさか思った次の瞬間には現実になるなんて想像していなかった。


「正確に言うならライオネット達と会う、かな。少女以外の別世界の者は全員が一応私たちの仲間だから会った方がいいでしょ」


「え、全員が仲間なの?」


 ここはいくつかの派閥があるものだと思っていた。翔がよく読んでいた漫画やラノベではそのような設定が普通であったが。


「そうよ。だって世界を壊されるのが嬉しいなんてありえないでしょ」


 そう言われればそうである。


「カケルがこの世界を壊したいなら別だけど、私としては仲間になって欲しいかな」


「そんな世界を壊したいなんて、それに俺を助けてくれたんだから」


「ありがと、そう言ってくれると助かるわ」


 するとヒウロは三階建ての家の目の前で立ち止まった。


「それじゃあ紹介するね。ここが私たちの住処っていうのかな、拠点にしているところ。カケルの元いた世界でどんなところに住んでたかは分からないけど、そこそこ大きいと思うよ」


 そう言われ建物を見ると確かに立派である。他と同じ煉瓦造りであるが一際大きい。


「さあ入って」


 扉を開け入るヒウロの後に続き翔はついてく。


「ライオネットー、いるー?」


 扉を開けながらヒウロは呼んだ。翔としては一番最初に会いたくない者なのでできれば別の者を呼んで欲しかった。


 翔は恐る恐る部屋に入り後ろ手で扉を閉めた。そこは真ん中に大きな机があり囲むように椅子が五つ置かれているだけの部屋であった。後ろの方に扉があるのでその先に別の部屋や階段があるのだろう。


「ヒウロか。ちょっと待ってろ」


 扉の向こうから聞いたことのある声がし翔はゆっくりとヒウロの後ろに隠れる。


 そして奥の扉が開かれ頬に特徴的な傷がある男が出てきた。


「どうした、何か用事でも……って、そいつは」


 当然、体が全て隠れるわけないので普通にバレてしまった。


「紹介するね。別の世界から来たカケルって名前なんだけど、ライオネットは一回会ってるよね」


 ヒウロは体をずらし完全に翔の体が露になる。


「ど、どうもです」


 不自然な会釈で翔は挨拶した。しかしライオネットは返さずヒウロの方へ向く。


「ヒウロ、これは一体どういうことだ?」


「私たちの仲間になるから連れてきたのよ」


「仲間って……。そいつが何したか知ってるのか?」


「もちろんよ。ライオネットがカケルに負けて少女を連れ去られたことよね」


 何故負けたと言ったのか。それだと自慢げに話したみたいになってしまうし、事実と違っている。


「俺が負けた? ……お前、そんなこと言ったのか?」


「ま、まさかそんなこと言うわけないだろ! ヒウロ、変なこと言うなよ」


 ライオネットの剣幕から逃げるようにヒウロに振る。そもそもの原因はヒウロなどでどうにかしてほしい。


「あら、違った?」


「違うに決まってる! 俺はあの場から逃げただけだし」


「そうだったかしら」


 正直ここでそんなとぼけたボケはいらない。翔にとっては一度攻撃してしまっており、さらに少女を逃してしまったので変に気に触るようなことはしたくない。


 翔は横目にライオネットを見ると、ライオネットは呆れたようにため息をつく。


「はぁ……、まあなんだ、ヒウロのおふざけは置いといて。少女を助けたことも過ぎたことだし、あの様子だとこの世界について知らなかったんだろ?」


「ま、まあ……」


「なら仕方ない、か。とりあえず立って話すのもあれだから座るか」


 ライオネットは一つの机を囲んでいる椅子に腰掛ける。それに翔とヒウロも席についた。

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