第三十四話
不思議と体が軽く感じる。
「……………………ん」
翔はゆっくりと瞼を開けると目の前には木目の天井があった。
「あれ………」
どうして自分は部屋の中にいるのか。それにこのふかふかした感覚は……。
翔は目覚めた脳を働かせ自分の置かれている状況を確認する。
「な、なんでベッドで寝ているんだ……?」
目覚めた翔だが何故自分がベッドの上で寝ていたのか理解ができない。
確かイスピナードと戦って、意識を失ったところまでの記憶しかないが。
「目が覚めたのね」
不意に声が聞こえ翔は慌てて上体を起こす。
「……お、お前、は……?」
視線の先の光景に声が途切れて出てしまった。
「そんなに驚くことじゃないでしょ」
そこには椅子に深く座っている少女がいた。
「い、いや驚くだろ! な、なんでお前がここにいるんだ?」
自分の置かれている状況が整理できない翔は溢れる疑問を抑えることができなかった。
「お前は確か、爆発の中心にいて……。そ、それに俺はなんでここにいるのかも分かんないし、俺が気を失ってからどれだけ時間が経っているんだ?」
「そんなに慌てなくても順を追って説明してあげるわよ」
これまでの少女の態度とは打って変わって協力的な態度に多少なりと困惑してしまう。
「まず気を失っているあなたをここまで連れてきたのは私。それに怪我を治したのもね」
その言葉で自分の体の傷が全て治っていることに気がつく。
「ほ、ほんとだ。でもなんでそんなことを……」
「だから順を追って説明するって言ったでしょ」
「あ、はい」
「あれからそんなに時間は経ってないわ、多分一時間くらいかしら。で、ここは町の宿屋の一室。もちろん使っていることがバレたらめんどくさいから隠れて使っているけど」
「え、それってタダで使っていることになるんじゃ……」
「いいのよ。誰かの目に止まったらすぐにあなたの仲間が飛んでくるんだから」
あなたの仲間と言われてどこか複雑な気持ちになってしまう。
「……でも、もう仲間じゃないかも。俺はイスピナードと戦ってしまったから……」
「ああ、私に変な能力を使った者ね。初めて会ったから油断してしまったわ。自爆するなんて久しぶりだったし」
「じ、自爆?」
普段は使われない言葉に聞き返してしまった。
「あなたも見てたでしょ。動けなくなった私が自爆してたの」
確かに少女を中心に爆発をしていたのは記憶している。そのおかげで翔は助かったわけだがそれが自爆だったとは思いもしない。
「確かに見てたけど、でも自爆なんてしたら……」
「あなたの言いたいことは分かるわ」
と、そこで少女は一つ間をおいた。
「……そうね、少し話す順番が逆になるけど、私も別の世界から来たから能力を貰っているわ。『不老不死』っていうね」
やはり少女もチートの能力を持っていた。
だが何故か不老不死という言葉を投げ捨てるように言った。
「このせいで私は自爆しようと何をしようが死ぬことができないのよ。まあさすがに自爆したら完全に体が修復するには時間がかかるけど。でもそれであの変な能力から逃れることができたってわけ」
それは強引なやり方であった。体の感覚が全て失っているのなら体自体を失くしてしまえばいいというチート能力がなければ成立しない方法だ。




