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ブレイクオンスルー  作者: カレーライスと福神漬(ふくじんづけ)
29/40

29 最高のカード!

 昼休ひるやすみが終わった。

 

 おちかね、

「メーン・イヴェント」、

 午後ごごは、いよいよ、三年生の登場とうじょうだ。

 

 第一試合は、

<A組対C組>

 今大会こんたいかい、最高のカードである。


 体育館たいいくかんは、満員まんいんであった。

 二階の来賓席らいひんせきには、智子の母親の姿も、見える。

 

 お店の多忙たぼうな時間を、やりくりして、

 こころならずも、

 むすめの、

 高校生活こうこうせいかつ最後さいごとなってしまった、

 バスケットボールの試合を、観戦かんせんしに、やってきたのだ。


 かい先生とだん先生は、教職員用きょうしょくいんようの席に、

 となわせで、

 お茶を飲み、かきピーをつまみながら、すわっていた。

 二人の表情には、ピリッとした、緊張きんちょうがただよっている。


 C組とA組が、

 それぞれベンチ前で、

 本番ほんばんへ向けて、コンセントレーションを、たかめている。


 準備体操じゅんびたいそう

 ボールを使ってのハンドリングやになってのパス練習、

 作戦さくせん確認かくにんなどを行っていた。


 A組の、バスケットボールの精鋭せいえいたち。

       たいする

 智子(ひき)いる、C組の混成こんせいチーム。

 

 いったい、どんなゲームを、見せてくれるのだろう。

 観客はかたずをのんで、試合開始を、いまいまかと待っている。


 C組のベンチには、

 ゲームウエアを身に着けた、犬城優希けんじょうゆきの姿も、見えた。

 身体を、

 小刻こきざみに、ふるわせ、

 黒目くろめちのひとみおくに、

 を思わせるような、

 熱いものを、たたえていた。


 リーダーの智子ともこは、即座そくざに考えを、あらためた。

 ただの一度も、

 練習に、参加さんかしなかった優希を、

 先発せんぱつメンバーから、はずそう、

 ペナルティーを、あたえようと、めていた。

 

 だが・・・やめることにした。

 彼女のの中に、

 殺気さっきを、ともなった闘争心とうそうしんが、感じられたからだ。

 こんな優希を見るのは、はじめめてだった。


 自分の直感ちょっかんに、けてみることにした。

 

 バスケットボールの指導書しどうしょに、いわく、

[直観ちょっかんとは、

・・・指導しどう基礎工事きそこうじ・・・

その一部いちぶすものなり]


 ベンチに、こしかけている優希。

 彼女のじられた右手みぎてには、

 かがみ破片はへんが、

 しっかり、にぎられていた。



集合しゅうごう!」

 ホイッスルの音。

 主審しゅしんから声がかかった。

 両軍りょうぐんベンチから、

 先発せんぱつメンバーが、小気味こきみよくダッシュした。

 

 場内じょうないのざわめきがみ、シーンとしずまりかえる。

 

 コート中央ちゅうおうに、主審しゅしんをはさんで、

 智子(ひき)いるC組と、

 精鋭せいえいようするA組が、

 向かい合った。


れい!」

 審判のかけ声にしたがって、両チームの選手が、たがいに一礼いちれい


主将しゅしょう、どうぞ、おやわらかに」

 バスケットボール部では、

 智子のパートナーである、かおるが、言った。

 

 しかし、A組のだれかから、

 こんな声も、こえてきた、

「いただきまーす!」

 早くも、

 優勝トロフィーや副賞ふくしょうを、ゲットしたつもりでいる。

 

「ユイのやつだな!」

 智子にはピンときた。

 

 ユイは、オールマイティーで、

 才能さいのうゆたかな選手だったが、

 どこかおっちょこちょい、

 要所ようしょで、ポカミスが出てしまうタイプであった。

 にくめないキャラではあるが。

 

 主審しゅしんが、センターサークルで、ジャンプボールをげる。

 智子とかおるが、

 向かいあうかたちで、ジャンパーをつとめる。

 

 注目ちゅうもく試合開始しあいかいし

 

 最高地点さいこうちてんたっしたボールが、ちてくる。

 智子は、

 高々(たかだか)とジャンプして、

 自軍じぐんのポイント・ガードであるサヤカへ、

 ボールをコントロールする。

 

 そのボールを、

 A組のユイが、ねらいすましてカット。

 ディフェンスを、ひょいひょいとかわし、

 かおるへ、バックパス。

 さらに薫から、

 切りかえしの速いパスをキャッチ。

 C組ディフェンスの間隙かんげきを、って、

 お手本てほんのような、

 ムダのないフォームで、

 レイアップシュートをめた。

 

 A組は、

 智子に強力きょうりょくなディフェンスを、

 二枚にまいつけ、

 ファールと紙一重かみひとえで、

 うごきをふうじ、

 速攻そっこう連続れんぞくで、

 ゴールを奪取だっしゅしていった。

 

 頭脳派ずのうはかおるの立てた作戦さくせんだった。

 がっぷりつに、んでも、

 素人集団しろうとしゅうだん凸凹デコボコチームに、

 けない自信じしんは、あったが、

 周到しゅうとうに、さくを、ったのだ。

 

 智子に、

 へん調子ちょうしを出されて、

 ゲームを引っかきまわされるのは、面白おもしろくない。

 

 どんな小さなリスクをも・・・ける。

 ゲームプランの、鉄則てっそくである。

 できれば、四十分のあいだ、沈黙ちんもくしていて、しかった。

 

 長いこと、一緒いっしょにプレイしてきているので、

 主将しゅしょうについては、

 詳細しょうさいりつくしていた。

 

 月吉智子つきよしともこ

 彼女はまぎれもなく、天才肌てんさいはだのプレイヤーである。

 

 このタイプはノリだすと、もうがつけられない!

 目標もくひょうを立て、それに沿い、

 こつこつと努力どりょくしていくタイプではなく、

 

 まれながらに、

 バスケットボール・ゲームの、

 カンどころを熟知じゅくちしている、

 天性てんせいの、右脳型うのうがたプレイヤーなのだ。


 ミュージシャンにたとえると、

 絶対音感ぜったいおんかんの持ちぬし、といえるかもしれない。

 

 かおるは、

 理解りかいえる実例じつれいを、

 何度なんども、眼前がんぜんに、きつけられては、

 智子の持つ、

 能力のうりょく不思議ふしぎさに・・・くびをひねらされた。

 

 インターハイ予選にのぞむ練習のときのことだ・・・

 だん監督が、

 予選突破よせんとっぱ秘策ひさくとして、

 新しく導入どうにゅうする、

 高校生には、高度こうど複雑ふくざつ連係れんけいプレイを、

 ボードを使って、説明せつめいした。


 チームメイトは、ひどくムズカシイ〈数学的ともいえる〉うごきを、

 竹刀しないを持った仁王におうちの監督かんとくの、

 きびしい罵声ばせいに、え、

 ほとんど、無限むげんとも思える回数かいすうを、

 反復練習はんぷくれんしゅうして、

 ようやく身につけていくのだが・・・

 

 智子はちがった。

 

 座学ざがくは、からっきしだったが、

 いざ、身体をうごかすと、

 複雑怪奇ふくざつかいき連係れんけいプレイの、

とくに、むずかかしいうごきを、

要求ようきょうされる、自身じしんのパートを>

 いとも、簡単かんたんに、やってのけた。

 

 チームメイトが、あっけにとられるくらい、すんなりと。

 

 しかも緊張きんちょうを、いられる試合しあいで、

 練習以上れんしゅういじょうに、

 首尾しゅびよく、実践じっせんしてしまう。 

 

 主将しゅしょうの動きに、みちびかれるようにして、

 複雑ふくざつ連係れんけいを、

 ゲームのなかで、

 ほかのレギュラー選手たちも、

 あやつ人形にんぎょうのようにでは、あったが、

 どうにかこうにか、こなすことができた。

 

 実際じっさいに、

 自分たちのパートのうごきを、

 自家薬籠じかやくろうちゅうのモノにするまでには、

 さらなる日数にっすうを、ようした。

 

 次元じげんが、まるでちがう。

 驚嘆きょうたんすべき能力のうりょく、というほかない。

 

 欠点けってんは、

 あきらめが、はやいこと。

 ネバリづよめんも、あるにはあるが、

 コンスタントに、発揮はっきされるには、いたらなかった。

 

 一緒いっしょにゲームをしていて、

 闘争とうそうほのうが,

 鎮火ちんかしていく場面ばめんを、

 何回なんかいか・・・経験けいけんしていた。

 

 そうなると、

 監督やチームメイトが、

 いくら気合きあいを入れても、どうにもならなかった。

 まるで別人べつじんになってしまう。

 

 智子対策(たいさく)は、出鼻でばなをくじくこと、

 エンジンが駆動くどうするまえに、

 ぶったたいておくことに、きる。

 

 味方みかたとして、

 参謀役さんぼうやくとして、

 心をくだくのは、

 監督かんとくにも、

 みみにタコができるほど、言われていることだが、

 少々(しょうしょう)身勝手みがっては、

 おおめに見て、

 智子の気分を良くして、プレイさせてやる、ことだった。

 

 彼女にノリが出てくれば、

 自然しぜんと、いい流れになるし、

 チームが、ビシッと一本いっぽんに、まとまるのであった。

 

 インターハイ予選決勝よせんけっしょうのときも、

 しんじられないような、シュートの連続れんぞくで、

 ギリギリの接戦せっせんを、もぎ取った。

 

 あのときの智子は、

 なにか、かみがかっている、としか思えなかった。

 潜在脳力せんざいのうりょくちがいを、

 まざまざと、見せつけられた、感じだった。

 彼女の場合、

 ノリ(・・)さえ出てくれば、

 そういう状態にまで、がるコトは、

 まれではなく、

 普通(プラス)(プラス)ぐらい・・・であった。

 

 てるものと・・・たざるもの・・・

 残酷ざんこくなまでに、一線いっせんかれている。 

 それが・・・才能というの・・・魔物まものなのである。

 

 A組は、

 第1(クォーター)を、

 速攻そっこうにつぐ速攻で、ゲット。

 てきのリーダーの動きを、

 ふうじることにも、成功せいこうした。

 

 C組は、

 ポイントガードのサヤカが、

 しばし、いいタイミングで、

 シュートにつながるようなパスを、出したが、

 相手あいてのディフェンス・テクニックは、

 そのうえを、いった。

 

 二枚のはげしいマークが、

 智子を、平凡へいぼんな選手に、としめ、

 彼女に、はなたれるパスを、分断ぶんだんする。

 

 インターセプトのあざやかさは、

 C組の選手たちに、いきませた。

 まるで、こころなかを、まれているかのようだった。

 

 それも、ある意味いみ、しかたがない。

 フェイントが、未熟みじゅくなため、

 訓練くんれんんだプレイヤーのには、

 簡単かんたんに、さきが、読めてしまうのだ。

 かなしいかな・・・経験けいけん、というやつだ。


 C組 6対27 A組



 第2(クォーター) 開始かいしのホイッスル。


智子ともこぉー、優希ゆきちゃーん、がんばって!」

 二階席にかいせきの、智子の母親から、

 大きな声援せいえんが、かかった。

 

 手をこたえる、智子と優希。

「智子ぉー!けたら、ばんごはんきだからね」


「うるさいなァ、もーう!」

 智子のリアクションに、顔をほころばせる優希。

 

 智子の速いスローイン。

 味方みかたのポイントガード、サヤカがキャッチ。

 そのボールを、

 よこから、スッと出てきた、かおるの手が、

 強い力で、上から、たたとした。

 

 不規則ふきそくなバウンドをかえし、

 ボールは、コート中央ちゅうおうに立つ、

 優希ゆきの足もとに、ころがってきた。

 

 ボールをひろった優希は、

 ゴール近くまで、トコトコ歩く。

 

 相手チームの選手たちは、

 キツネにつままれたような表情ひょうじょうで、

 彼女を、見ている。

 

 優希は、ゴール前で、踏みって、ジャンプした。

 ヒラヒラ空中くうちゅうがり、

 ダンクシュートを決めた。


「・・・・・・!?」

 観客かんきゃくは、

 拍手はくしゅをすべきか、まよった。

 

 コートじょうでは、

 A組の精鋭せいえいたちと、

 C組の四人が、

 まったような時間の中で、ポカンとしている。

 

 ホイッスルがかれ、

「ファール!」

 が宣告せんこくされた。


 カタチの良いアゴにゆびをあて、

 くびを、かしげている優希。

 

 智子がそばに寄ってきた。

優希ゆき

ボールを持ったまま、トコトコ歩いてどーするのさ。

三歩以上歩さんぽいじょうあるけば、トラヴェリング。

ドリブルしなけりゃ、ファールをられるって!」


「ああ、そっか。わすれてた」


 優希のわるびれないリアクションに、

 智子のほおがゆるむ。


「まっ、いっか。

しかし、あのダンクには、花マルを進呈しんてい

私にもできない、高度こうどなスキルなんだから」

 ポジティブな智子は、友人のダンクを、称賛しょうさんした。


「どういたしましてじゃ☆」

 クルリと一回転いっかいてんターン、

 花のように、両手りょうてを、広げてみせる優希。

 

 彼女の仕種しぐさは、

 智子やチームメイトにいい雰囲気ふんいきをもたらし、

 C組に、負荷ふかをかけていた、

 おかしな緊張きんちょうをも、ふっしょくしてくれた。


「(ファールのひとつやふたつ、

どーってことないじゃん、

とにかく、楽しもうよ・・・このゲームを!)」

 てな具合ぐあいに。

 

 相手あいてチームのリーダーかおるは、

 智子のかがやきつつある顔や、

 リラックスした雰囲気ふんいきを、かもし出している、

 ほかのC組代表を見て、

 心の中で、したちした。

「(マズイな!)」

 

 智子専用ともこせんようのマーク二名にめいに、

 ディフェンスを、より強化きょうかするよう、指令しれいした。

「ファールをとられても、ぜんぜん、かまわないから!」

 念押ねんおしも、わすれなかった。


 あい変わらず、持てる力を、すべてり、

 智子をスポイルしている、A組のディフェンス・コンビ。

 

 C組は、

 ポイントガードのサヤカが、機転きてんかせた。

 みんなに指示しじを出し、

 急きょ、

 優希のほうへ、パスを集中しゅうちゅうさせたのだ。

 

 優希ゆきは、

 走り高跳たかとびで、披露ひろうした、

 華麗かれいなるジャンプで、

 おもしろいように、シュートをめていった。

 

 ランニングシュート、レイアップシュート、ダンクシュートが、

 連続して、ゴールネットをらし、くぐり抜ける。

 

 かい先生の、こわばった表情が、

 ようやく平常へいじょうにもどり、

 ニコニコ潜水艦せんすいかんが、浮上ふじょうした。


 だん先生も、自分の見こみに、

 マチガイはなかったと、

 大きくうなずき、あたまをテカらせる。

 


 サヤカから、

 スローインを受けた優希は、

 ドリブルしながらゴールへ疾走しっそうする。


 たいする、A組のユイは、

 獲物えものう、ハンターとし、

 シャープに、空気くうきいて、

 優希を仕留しとめようと、

 自慢じまん俊足しゅんそくをとばす。


 白熱はくねつのデッドヒート!

 

 ユイが、いついた・・・

 ボールに、を、ばす。

「いただきマンモス!」

 

 その瞬間しゅんかん、優希の姿が、消えた。

 

 ユイの顔が、

 前後左右ぜんごさゆう

 そして・・・真上まうえく。

 

 優希は、

 いとを引くように、

 垂直すいちょくに、いあがり、

 一回転いっかいてんしながら、シュートをほうりこんだ。


 両腕りょううで真横まよこに広げ、

 ピタッと、着地ちゃくちを決める。

「ごちそうサマンサ!」

 ユイを見て、さらっと、優希が言った。

 

「キィーーーッ・・・!!」

 地団駄じだんだんで、

 くやしがる、ユイ!

 


 第2Q終了。

 C組 36対32 A組

 

 優希の活躍かつやくにより、ついに逆転ぎゃくてん

 

 C組代表の、意気いきがる。

 ベンチ内には、活気かっきが、しおのようにちてくる。

 

 A組の作戦さくせんは、ほころびつつあった。

 なにしろ、相手のボールは、

 ほとんど、智子には、集まらなくなっていた。

 二枚のディフェンスは、意味を、うしなう。

 

 C組は、

<優希にボールをまわせ!>

 というスローガンができたために、

 試合はこびの、こしが、すわった。


 智子は、

 主役しゅやくをうばわれたにしては、ゴキゲンだった。

 試合の展開てんかいが、息をきかえしたこと、

 親友しんゆう活躍かつやくが、

 素晴すばらしく、

 イイ刺激しげきあたえてくれていることにより、

 なんとも言えぬ、ワクワク感に、ひたっていた。

 口元くちもとは、逆への字(V)。


 第3(クォーター)むかえた。

 

 相手のパスボールをインターセプトした智子に、

 早速さっそく二枚のマークがつく。

 

 ボールを手にした智子は、

 ドリブルとピボットをたくみにあやつり、

 ディフェンスコンビを、翻弄ほんろうする。


 マーク二名は、

 ボールをインターセプトしようと、

 執拗しつように、手を、伸ばしてくるが、

 そうは、問屋とんやおろさない。

 リズミカルに、ぎりぎりのせんで、かわしていく。


 マーク一名の、ひかった。

るな!」

 智子は察知さっちした。

 これまで何度なんども、

 思いっきり、手や腕を、られていたのだ。

 

 相手のラフプレイが、りだされる!

 素速すばい身のこなしで、かわしきった。

 

 いちばちか、

 無理むり承知しょうちで、

 はなつ・・・ロングシュート。


 バランスをくずした体勢たいせいから、

 はなたれたボールは、

 地肩じがたの、とんでもない強さも手つだって、

 バッグボードのストライクゾーンを、

 はるかにはずし、二階席まで、スッコーン!と飛んでいった。


「いっけねーっ!」

 ボールの軌道きどうを見て、声をげる、智子。

 

 智子の母親に向かって、

 うなりをげて飛んでくる、暴走ぼうそうボール。


<はっし!>

 ウルトラ・ジャンプをし、

 ボールに、とびついた優希ゆき

 目にもまらぬはやさで、

 二階席にかいせきのフェンスを、

 キックでターン!

 ブーメラン軌道きどうで、

 美しくひるがえり、

 ゴール真上まうえへ、到達とうたつ

 スーパー・鯱鉾しゃちほこ・ダンクをめた!!


「おやまァ!」

 智子の母が、オドロキの声を、あげる。

 

 海先生と団先生は、のみ茶碗ぢゃわんでカンパイする。

 

 A組の代表だいひょうは、

 まるで、

 モーゼの紅海こうかいぷたりでも、

 目撃もくげきしたような表情ひょうじょうだ。


 観客かんきゃくは、大喜おおよろこび、

 拍手はくしゅ喝采かっさいあめあられ、おセンベイ。

 

 

 体育館内たいいくかんないのヴォルテージは、

 最高潮さいこうちょうたっした。


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