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ワタシハ

「オボエテナカッタ…。アイツハ、ワタシノコト、オボエテイナカッタ」


――駅のホーム。

ガタッと、後ろの方で何かが落ちる音がした。


アア、ワタシガイキテイルコロノユメ。


――隣に並んでいる君は、気にしなかったみたい。

でも、私は振り返った。

女の人が小物入れを落とした様子だった。

すぐに拾おうとしゃがんだ、その時―――

グラッ

「きゃっ!?」

ドンッ。

一瞬、何が起こったか分からない様子の君。

私はすぐに理解した。

小物入れを拾おうとした女の人がバランスを崩し前にいた君にぶつかった。

近寄る電車。

正晴(ただはる)っ!」

そして、そして、

君を押しのけてかわりに飛び込む体勢になった私――。

「小夜子!」

だんっ。背中に強い衝撃がした。

上を通る電車。

「きゃー!誰かが!」

「救急車を呼んで!」

叫び声をあげる人の声が、どんどん…どんどん。

遠くで聞こえるようになってくる。

「血が!」

『アレ、オカシイ。ワタシガミエル。チガデテル。タクサン…』

「駄目です…もう――」

『ソッカ、シンダノネ、ワタシ』

「さよ…こ…」

『タダハル、サヨナラ。イママデ、アリガトウ…』


「おや、またかい?」

「ッ!…ソウデス」

「そんなに忘れられないのだな、うむ」

「?」

「よし、もう一度、あの世界に戻ってみてはどうだね?」

「デキルンデスカ!?」

「いいよ。今、彼は「まさはる」と言う名だ。行くんだ。さあ――」

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