やはりダンジョン攻略は楽しい!!
「まさか、こんなところに面白そうなダンジョンがあるとはな。俺もなかなか運がいいな」
ここはどこかにある世界。
詳しい場所は分からず、放浪の旅でいつの間にかたどり着いた土地。
創はそんな世界で美味しいものを求めて食べ歩いたり、観光スポットになりそうな絶景を見て回っていた。
そして、創は放浪の果てにダンジョンを見つけたのだった。
ダンジョン。
それは男の浪漫であり、冒険と言ったらの代名詞だ。
その成り立ちは様々だ。
世界のどこかでランダムに生成されるように設定されている世界もあれば、神自らが手がけ、その世界の特徴にする場合もある。
中には全く詳細の分からないダンジョンや超存在によって作られたものなどもある。
実は創も世界中の様々な場所にダンジョンを作ったりもしている。
趣味として。
まあ、創が作るダンジョンは難易度が異常なほど高く、知り合い以外で攻略されたことは一度もないのだが。
ダンジョンを見つけた創は今すぐこのダンジョンを攻略したいと思った。
創は永久と言っても過言ではないほどの時を生きているのだが、未だに厨二病が完治していない。
それに、創は少年の心も未だに持ち続けている。
そのため、ダンジョンなどの厨二心をくすぐられるような男の浪漫系のものに弱い。
創はダンジョンを攻略したいと思っているのだが、一つ大きな問題がある。
それは創が強すぎて全くダンジョン攻略を楽しめないということだ。
創は世界の中でもトップクラスに強い。
というか、天井に位置する強さだ。
なので、ダンジョンを素の実力で攻略してしまうと敵が弱すぎるわ、ダンジョンの罠も一切効かないわ、構造も全て理解できるわで楽しめない。
彼はダンジョンを攻略するにはあまりにも実力が高すぎるのだ、
だが、創はダンジョンを攻略したい。
それも命をいつ落としてもおかしくないようなスリルを味わえるような。
そして、創は一つの案を思いつく。
まずはこのダンジョンの難易度を軽く測定する。
まあ、それなりの難易度で少し階層は多めとなかなか楽しめそうなものだった。
ダンジョンの難易度をある程度分かった創は己の肉体を改造し始める。
今のままでは強すぎて全く楽しめない。
ならば、己の肉体を弱体化させ、ダンジョンにあった強さにすれば良いではないか。
創はそう思い、肉体改造を始めた。
普通ならば、こんなめちゃくちゃな肉体改造など出来ない。
どうしても魂に引っ張られてしまうためだ。
だが、創は特別であり、強すぎるあまり魂の変容すらも容易い。
創はそうして己の肉体を弱体化させたのだった。
現在の体はちょうどこのダンジョンをクリアすることの出来るよりも少し弱いくらいに設定されている。
やはり少し適正レベルよりも低い方がスリリングかつ歯ごたえのある冒険ができるものだ。
そのように己の肉体を弱体化させた創は体の調子を色々と確認する。
そして、今の己が出来ることを確認した創は早速ダンジョンの攻略を始めたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ダンジョン攻略を始めてから約4週間が経とうとしていた。
創は順調に進んでいき、最下層のボス部屋までたどり着いた。
そして、創は激戦の果てに最下層のボスを討伐することができた。
ボスを討伐することの出来た創は
「いや〜!やっぱり歯ごたえのある戦闘は楽しいなぁ!!最近は俺が強すぎるあまり一方的な戦いばっかしてたから久しぶりの感覚を味わうことが出来た!!本当にダンジョンに来て正解だったな!!」
久しぶりに手に汗握る冒険が出来てご機嫌のようだった。
ボスを討伐した創はダンジョン踏破者の一番の楽しみであるお宝タイムに入る。
ボス部屋から先に進んでいくと、大きな扉を見つける。
創はその大きな扉を開けると、中には金銀財宝が部屋から溢れんばかりに部屋を埋め尽くしていた。
創は金銀財宝を手に入れるのはダンジョンらしくて良いと思ったが、正直言って金銀財宝はいらなかった。
それは創にとって金銀財宝など無限に生み出すことが出来る。
それに、創の資産は神国アヴァロンの王ということもあり、測定不能なほどの資産を持っている。
他にもお金を使う必要がないことが多く、金を必要ともしていなかった。
そのため、創は金銀財宝をどうするのか迷った。
だが、このままほって帰るのも何だか気分が乗らない。
だから、金銀財宝は全部持って帰ることにした。
そうして、お宝タイムも終えた創はダンジョンの外へ繋がる魔法陣を見つけ、それを使ってダンジョンの外に出た。
すると、視界に一人の女性が入ってくる。
そして、創はその女性を見るなり顔が大きく歪む。
「創くん、遅かったね?大体4週間くらいかかったのかな?アイナも待ちくたびれたよ?」
彼の前にはアイナが立っていたのだ。
創はいきなり現れたアイナに言葉を失う。
どう言い訳すれば、助かるのだろうか。
創は必死に脳を働かせる。
「創くんさ、アイナたちの暮らしている世界では放浪の旅に勝手に出てから1週間も経ってないから問題ないと思ってるでしょ?アイナは気づいているよ?創くんの体感時間では大体一年近く家に帰ってないっとことを」
創が脳を必死に働かせている時、さらに追い打ちをかけられ、完全に思考が止まってしまう。
そう、創はいつもの癖でアイナたちに何も言わずに家を飛び出し、放浪の旅を行なっていた。
創たちが住んでいる世界では1週間も経っていない短い出来事だ。
だが、創の体験した体感時間では約1年が経っていた。
これは創たちが住んでいる世界と他の世界では時間の進み方が違うことで起こる現象だ。
時差のようなものとでも思っていてくれ。
そして、創が1年間近く放浪の旅に出て遊んでいたこともアイナにはバレていた。
創はどう言い訳しようかと頭をフル回転させる。
至高の天才とまで呼ばれたその頭脳をフル回転させ、良い案を模索し続ける。
だが、見つからないのだ。
自分の身が助かる方法が。
創は絶望しながらも諦めずにもがき続けていると、
「まあ?今回の旅では浮気してないし?アイナは穏便に済ませてあげても良いと考えているよ?」
アイナが創に話しかける。
今回の放浪の旅では創は一度も女性に手を出していない。
そのことが功をなし、アイナの機嫌を最底辺まで下がることは免れた。
そして、創は腹を括り、今までのことを素直にアイナに話し、謝った。
それだけでは足りないと創は考え、先ほど手に入れた金銀財宝の中からアイナに似合いそうな装飾品をお土産として渡す。
そうすると、アイナの機嫌が直ったことを創は確認する。
アイナの機嫌が直ってよかったと創は心の中でため息をつく。
そうして、アイナに許してもらえた創はそのまま家に帰ろうとする。
そうすると、
「だけどね、創くんだけダンジョン楽しんでずるいよ!!アイナも創くんみたいにダンジョンに潜りたいよ!!」
アイナが自分もダンジョン攻略をしたいと駄々を捏ねた。
いつもの創なら怒られた後だとしても断っている。
だが、今回の創は違った。
久しぶりに手に汗握る冒険譚が出来たため、いつも以上にテンションが上がっていた。
そのため、
「そうだな、久しぶりに二人で戦うのもありか?ちょうどこの近くにもう一つのダンジョンを見つけたんだけど、そこに二人で行くか?」
創はアイナのことをダンジョン攻略に誘った。
創からダンジョン攻略に誘われたアイナはとても嬉しそうに笑いながらその提案を了承した。
そうして、二人は新たなダンジョンに挑んだのだった。
そして、二人は他の家族からめちゃくちゃ怒られたのだった。