中の下は契約する
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__________ 「いざ導かん…」 __________
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頭の中に変な声が流れ込んでくる。
男の人の、まるで私を導いているかのような声。
目を開けると、視界がぼやける。
何度か瞬きすると、少しづつ視界が開けてくるが、まだ意識がハッキリとしない。
「起きたかな?」
目の前には可愛らしい女の子。
フワフワとしたガーリーチックな服装に身を包んだ彼女は、私を見てニコッと微笑んだ。
私が彼女を訝しげに見つめると、「ふふっ」と可愛らしく口元に手を当てて笑い出す。
彼女は誰なのか、ここは何処なのか、私は何故ここにいるのか、必死に考えようとする。
でも思考が追いつかない。
頭がボヤボヤして、何か考えることを許さないとでも言われているようだ。
「あ…魔法解くの忘れてました。
どうです?少しは意識がハッキリとしてきましたか?」
『"魔法"?』
「はい、魔法です。貴方はこれから、別世界へ転生するんですよ」
『その前に、誰?名前を先に名乗るのが礼儀ってもんでしょ』
「あぁ、すっかり忘れてました。私はアルテミシア。
貴方の居た世界と別世界を繋ぐ管理者、所謂女神です。」
『はい?』
"女神"なんて、神話や物語の中でしか聞いたことがない。
でも、私の脳はそれを理解したかのようにスっと理解し、納得できた。
女神の言いたいことも、手を取るようにわかる。
「あら、とても理解が早いんですね。
少しの情報を貴方の脳内に流しただけで、すぐ理解する。」
関心したように呟いたアルテミシアは、
「貴方には腐った別世界を変えていただきたいのです。
私は直接手を下すことは出来ない。
貴方なら成し遂げられるような気がするから、貴方をここまで呼んだんです。普段ならこんな面倒なこと死んでもしたくないです。」
と私を真剣に見つめながら告げる。
『私が世界を変える…?いやいや、そんな能力も力もないし…』
「能力なら私が差し上げます。」
額に手をかざされると、周りに五芒星が浮かび上がる。
アルテミシアは目を閉じたまま、呪文を詠唱し始めた。
「汝に託すは別世界。汝に求むは別世界の変化。
我と契約し、魂にこの名を刻みたまえ…」
フワッと私の体が浮いたかと思うと、
手首にアルテミシアと名が刻まれる。
もしかして勝手に契約した…?
『え、もしかして契約…』
「?はい、もう既に契約済みです。」
『ちょっと、私はいいなんて一言も…!』
「ふふふ、契約したら解約は出来ません。死ぬまでです。」
妖しげに笑ったアルテミシア。
こいつ天使の皮を被った悪魔だ…。
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