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無限に本を読みたい
本を読む時間が
無限にあればいいのに
速読なんてわたしはしたくない
散歩を全力疾走でやりたくないのと同じだ
ゆっくり景色を眺めて好きなだけ物思いに耽りたいだけだ
効率よく距離を踏破したくて散歩するわけではない
失われた時を求めてや源氏物語のような
長くて挫折しやすくそれでいて文学史においても重要で看板倒れではないたしかな読み甲斐や味わいをそなえた作品を読み終えたら
少しは読書欲も落ち着くかと思ったけど
とんでもない誤解だった
むしろもっと本が読みたくなった
これだけ長くて読みづらいと言われる本を読めたなら、なんでも読めるじゃないか、とタガが外れてしまった
読書に憑かれるとその対象は際限なく広がっていく
再読したい本が山ほどあるのに未読の大長編にまた手を出してしまう
再読するためにもまずは読まなければならない
いい本を見つけたら再読は義務のようなものだ
最低でも三回は読まないとなにもわからない
再読できるいい本を見つけるために、また読む
見つけると、再読しなければならない本がまた増える
そうやって見つけた宝の山が、もう一生分はあるのに
まだ足りない
わたしが天国を想像すると、いつも図書館に似てしまうのは
浅はかな欲望にすぎないのか




