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だれもいないのが当たり前の荒野

 だれもいないのが当たり前の荒野で

 自分が立っているという不思議

 どこを目指そう

 なにを願おう

 だれかに出会うことだけは

 あり得ない荒野で

 荷物はなかった

 過去はなかった

 荷物と呼べるほどの荷物は

 過去と呼べるほどの過去は

 だれもいないのが当たり前の荒野では

 指先がすぐに乾く

 だれかと出会っても触れることが出来ないほどに

 ぼろぼろと崩れる

 その致命的乾燥は全身に及んでいくように思える

 だが心配は杞憂に終わる

 だれもいないのが当たり前の荒野では

 だれかに出会うことだけはあり得ないから

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