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テーブルの下

 テーブルの下にだれかいる

 でもだれも信じてくれそうにない

 テーブルの下は血でいっぱいだ

 でもだれも信じてくれそうにない

 テーブルの下の惨状を

 テーブルの上しか見ない人に

 伝えることなどできはしない

 万が一きづいても

 かがんでおそるおそる瞥見するだけで

 すぐさま背筋を伸ばし

 なにも見なかったように

 テーブルの上の華やかな会話に戻るだろう

 テーブルがいつか

 崩れ落ちでもしないかぎり

 ああああああああ

 おおんおおんおおんおおん

 テーブルの下から阿鼻叫喚

 テーブルの上の果物皿が

 震えるグラスと音を立て

 女主人と客人たちが

 はりついた笑顔をひきつらせる

 それでもテーブルの下の虐殺は

 テーブルの上では存在しない

 だってテーブルの下は暗いから

 だってテーブルの下は暗いから

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