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未来の霧
喪って
喪って
喪いつづけるだけなのだろうか
いまも胸をかきむしるこの喪失感に
もはや耐えられそうにないのに
まだ喪わなければならないのだろうか
生きているかぎり
生きているかぎり
未来の霧は
どれだけの喪失を覆い隠しているのか
それがあまりにも怖くて
一歩もここから踏み出すことができない
なにもかもが白に包まれて
どこに行くこともできなくても
喪失がもたらす無色に比べたら
あの惨憺たる剥落に出逢うくらいなら
このまま白い霧のなかで
ただうずくまって死を待ちつづけたい