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勝手な共鳴者

 助けを求めて叫んだって

 だれも助けに来てくれない

 それがこの世の現実だろうし

 人間の限界かもしれないけれど

 あなたのこころのどうしようもない叫びに

 共鳴させてはもらえないだろうか

 隣でうなずいてはいけないだろうか


 わたしはあなたを知らないし

 あなたもわたしを知らないだろう

 わたしはあなたを助けられないし

 あなたもわたしを助けられないだろう

 言葉と想像力を通してしか

 わたしとあなたはつながっていない

 なんらの関係も持っていない


 わたしはただ

 あなたの痛みを想像するだけだ

 あなたのだれにも伝わらない痛み

 あなたが胸に隠しつづけている痛み

 あなたを挫き

 あなたを諦めさせ

 あなたを無感覚にする

 あなたの過去に刻まれた痛み

 あなたの生存に埋め込まれた痛み


 もしもあなたに余裕があれば

 わたしの痛みを想像してほしい

 他人の痛みを想像することは

 少しは慰めになるだろうから

 だけどきっと

 あなたには余裕がないだろう

 急迫する痛みは

 あなたの優しさを蝕むだろう

 助けを求めて叫んだって

 だれも助けに来てくれないのだから

 そんな残酷な光景を

 残酷だと言うことすら許されずに

 ずっと見せつけられてきたのだから


 ただ

 人間の孤独は救えなくても

 痛みの孤独は和らげられる

 そんなふうにも思うから

 あなたのこころのどうしようもない叫びに

 勝手に共鳴する者を許してほしい

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